前置き
例によって今回も前置きが長くなりそうなので、まあ読み飛ばしていただいても構いません。
個人でゲームを作っている人と、ゲーム会社とでは、作れるゲームに格差が生じます。
基本的に、人員と資金の潤沢なゲーム会社には、一人ぼっちあるいはごく少数人数での個人開発で対抗するのは難しいです。当たり前の話ですね。
しかし、どれだけでっかいゲーム会社だって、その始まりは個人開発レベルでスタートしたはずです。どうやってもゲーム会社と個人で格差があるように見える現在でも、新興のゲーム会社は次々に生まれています。
開発能力に絶対的な格差があるとしたら、なぜ資金も人員も足りていない新興ゲーム会社がその市場に食い込める余地が生じるのでしょうか?
その理由は、「社会では時々技術革新によって大きなうねりが生じる」からです。
技術革新と言うのは、トランプの大富豪における”革命”のようなものです。普段は勝ち組と負け組の間にはハッキリと壁があって、弱者が強者と入れ替わるチャンスは殆どありません。
しかし、大富豪で革命が起きるとその瞬間に弱者と強者が入れ替わって、立場がシャッフルされうる”チャンス”がそこに生じます。
社会に大きな影響を与えて我々の生活を変えてしまうような技術革新であるほど、そのチャンスも大きいものになります。
つまり、新興の会社というのは、元はと言えばそのチャンスの存在が目に見えていて、チャンスに手を伸ばした人達であるという事です。
もっと具体的な話をしましょう。
2006年ごろ、すでに家庭用ゲームの市場は強大なゲーム会社達に牛耳られており、新規参入は難しい状態でした。
しかし、ガラケーでソーシャルゲームを提供するというチャンスに目を付けたいくつかの企業がありました。グリーやモバゲーです。私は世代じゃなかったので詳しくないですが、元々はSNSが先にあって、そこにソーシャル要素のある簡単なゲームを乗せてみたという感じだったみたいです。
いわゆるソシャゲの走りです。
ガラケーのiモード上で提供されるようなゲームなので、見た目としてはショボくて、家庭用ゲームを作ってた会社からすると鼻で笑われるようなものだったかもしれませんが、実際は見た目の問題じゃなくて、それまでに無かったソーシャルなゲーム性が与えてくれる新しい体験が支持されたという事です。
家庭用ゲームはゲーム機を買わないと遊べませんが、携帯電話はみんな持ってたので、今にして思うとそこにはビッグチャンスがあった事は明らかです。
2011年ごろには、Cygamesがガラケー向けに「神撃のバハムート」や「アイドルマスター シンデレラガールズ」をリリースしてます。すでにガラケーソシャゲもクオリティによる差別化が必要になっており、個人レベルのチャンスは無くなってきていた時期でした。
しかし、ガラケーと入れ替わるようにiPhoneやAndroidのスマホ端末が登場しました。
あらためて説明するまでもなく、スマホによる技術革新の社会への影響は大きく、つまり個人開発者にも大きなチャンスが生まれた時期でした。
ガラケーアプリからスマホネイティブアプリへの転換期です。
このビッグウェーブに乗って成功した個人開発者も多かったと思いますが、私自身はそれほど上手く波に乗れたという感触はありませんでしたが、この波のおかげでUnityの需要が急激に高まって、私もUnityエンジニアとして働く事になったという恩恵はありました。
2014年には、Unityがバリバリ盛り上がってた時代にいきなりUnreal Engine4がリリースされました。(たしか当時は無料じゃなくて月額3000円のサブスクだった)
Unreal Engineはそれまではあまり個人で使うようなゲームエンジンという印象がありませんでした(無料のUDKもあったけど非商用オンリー)が、バージョン4で個人でも使用可能な価格で、技術的にも非常に高度な機能が搭載されて登場したので大きな衝撃がありました。
このUnreal Engine4の技術革新に速攻で食いついて活動していた人の中には今では大きく成功している人もいます。
私もずっとUE4は気になってはいつつも(パシフィコ横浜のUnreal Engine Festには毎年行ってた。タダだったし)Unityの仕事に追われてこの波にも上手く乗れませんでした。
同じころ、OculusがVRヘッドセットのOculus Riftの開発者向けキットの販売を開始しており、VRのビッグウェーブが始まろうとしていました。
私はたまたまゲームジャムで同じチームになったゆーじさんにOculus Riftを体験させてもらって、「これは面白い!」と思ってかなり食いつきました。
当時のVR界隈と言うのは面白くて、VRの未来に可能性を感じまくって自主的にVRの伝道師、エヴァンジェリスト的活動をやっている方々もいました。彼らVR個人開発者のこのような地道な活動がVRの認知度向上に繋がったので、その貢献は大きかったと確信しています。
私も界隈で色んな人と出会えたりして面白かったです。
VRのビッグウェーブもかなり大きなものでした。私も波に乗っかって、VRで3Dモデリングができる「Artstage」というアプリを作ってSteamでリリースしました。ですので一応波に乗ったと言えば乗ったと思いますが、それだけで食えるというほどのものではなかったです。
ちなみにOculusは、それまで散々個人VR開発者の恩恵に預かってきて、個人開発者との関係を大事にしていたはずなのに、正式版のRiftやGearVRを発売してOculus Storeを立ち上げると、「もう個人開発のしょぼいアプリは受け付けないよ」みたいな態度を表面化したように感じます。
Quest向けアプリも事前審査が必要になって、個人開発者が相手にされてない状況が強くなって、もうVRでは個人開発者のチャンスはあまり無さそうだなという印象があります。(でもAppLabでやっと個人開発アプリも受け付けてくれるようにはなったけど)
直近で大きな波だったと思うのは、vTuberブームでしょうか。2018年ごろからの現象だったかと思います。
当時はVRの波に可能性を感じて大きく投資を広げていた企業も増えていましたが、結局のところ、VRでのキラーコンテンツが見つからなくて、VRで何をやればいいのか模索の時期でした。
そこに、VR技術を応用してリアルタイムでキャラクターを動かすvTuberが登場して、その領域に一気に注力し始めた企業も増えました。
はてさて、こういう波以外にも、世の中ではディープラーニングの波とか仮想通貨の波とかまあ常に色んなチャンスの波が生じていたわけですが、キリが無くなるのでこれくらいにします。
ことゲームに関して言えば、最近はあまり大きなチャンスの波は起きてなくて、硬直化した状況にあると思います。
と言うのも、家庭用ゲームは相変わらず順当に進化を続けており、クオリティで殴りあうような戦いになっており、とても大変です。
スマホゲームも、原神などを見ればわかる通り、もはや求められるクオリティは家庭用ゲームと遜色ないレベルになってしまいました。
つまり求められる資金も人員も肥大化しており、レッドオーシャンと化しており、個人が食い込めるチャンスと言うのは小さいという事、つまり新規参入が難しくなってます。
さらに今私が懸念しているのは、ゲームのクオリティ云々を超えた次元で、ゲーム会社と個人開発者の間に決定的かつ致命的な格差が生まれつつあるのではという事です。
それが何かと言うと、「サーバーインフラ格差」です。
私はこれからの時代はゲーム会社のゲームだろうが個人開発だろうが、”マルチプレイヤーが当たり前”になっていくと思ってます。
マルチプレイヤーゲームを作るとなると、そこには何かしらのゲームサーバーが必要となり、つまりサーバーコストを払うハメになります。
最近流行っているバトルロイヤルゲーム、フォトナやフォールガイズでは、公式が用意した専用サーバ上でのみ遊べます。
専用サーバのホスティングには膨大なコストがかかりますが、何故バトルロイヤルゲームがそのようにしているかと言うと、チートを根本的に防ごうと思うと公式専用サーバが確実かつ手っ取り早いからです。
しかし、このようなゲームを個人で開発、運用する事って可能なんでしたっけ?
よしんば、めっちゃ頑張ってAWSを駆使してバトロワゲーム開発に成功したとしましょう。
それを、フリーで公開してtwitterで宣伝したら、メチャメチャバズッてサーバに人が殺到して、結果的に月額100万円のAWS代が請求されてしまいました!
いくらサーバ代が高くても、それだけプレイヤーを集客できたという事なので、長期的にはマネタイズして利益を出していく事は可能でしょうが、短期的に毎月100万円のコストを個人開発者が吸収する事は無理でしょう。
つまり、バトロワゲームのサーバコストのリスクを個人開発者は背負いきれないので、個人でバトロワ作るのは不可能という事です。
そんなわけで、私はこれからのマルチプレイヤー当たり前時代では、個人と大きなゲーム会社の間ではどんどん格差が広がっていって決して埋まらない不平等になっていくという懸念がありました。
そういう事を考えていた中で知ったのが、Epicが提供しているEpic Online Services(EOS)です。
EOSの提供するマルチプレイヤーシステムでは、無料かつ無制限に、リレーサーバも提供してくれます。
つまり、リアルタイムゲームサーバはタダで使えるようになったという事です。
無論、ホスティングされた専用サーバとリレーサーバでは話が違います。リレーサーバによるP2Pマルチプレイヤーではチートを排除しきれません。
とは言え、専用サーバまで用意して、チートを完全に排除する必要があるのはバトロワが競技性が高いゲームだからであって、例えばモンハンみたいな協力プレイのマルチプレイヤーならP2Pマルチでも十分かもしれず、ゲームの仕様次第です。
私はこれを知って、「Epicって気前がいいんだな~」と感心していましたが、そこに追い打ちをかけるように先日発表されたのが、EOSでのアンチチートとボイチャの提供です。
Epic Online Services が2つの新しい無料サービスを追加します
先ほど、フォトナは公式専用サーバだから、根本的にチートが防げると言いましたが、実はそれだけだと不十分で、何故ならクライアント側だけで出来ちゃうチート(ウォールハックなど)があるからです。
ですのでフォトナではEasy Anti-Cheatというアンチチートソフトも導入して、クライアント側でのチートを防いでいます。このようなアンチチートソフトのライセンス料は目玉が飛び出るほど高いという噂で、インディーゲーム開発者には手が出ないものでした。
それが無料。
ボイチャも同じような話で、メチャメチャコストがかかるものでしたが、無料になってしまいました。
「そんな旨い話があってたまるか!」と警戒したくなるほどの旨い話です。
Epicは、マルチプレイヤーゲームの開発でネックになるインフラコストなどを次々と無料化していってます。
この恩恵を受けるのは、個人開発者もゲーム会社も同様ではあるものの、実際には元々金を持っていたゲーム会社より金の無い個人開発者の方がアドバンテージが大きいです。
つまり、Epicは私が懸念していたような、サーバインフラコストにより広がりつつあった個人と会社のマルチプレイヤーゲーム開発格差問題を解消してくれたという事です。
私はこれはEpicが生み出してくれた新しいチャンスの波だと思います。
今すぐこのチャンスに食いついてUnreal EngineとEpic Online Servicesを駆使してマルチプレイヤーゲームを作ったら面白い事になるかもしれないなという事です。
「でも、それだったら今までUnreal Engineをずっとやってた人にアドバンテージあるんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、ある程度はそうですが、EOSに関しては今からでも出遅れないと思います。何故なら、EOSはSDK自体は前からあったものの、ずっとUEやUnityへの統合プラグインが用意されてなかったので、殆どの人は手が出なかった状態だったからです。
そして、ちょうど今、EOSがUEに統合されつつあり、(UE5EAにEOSプラグインが入ってる。ただしまだドキュメントは無い)もうじきUnity統合プラグインも完成するはずなので、今からでも間に合います。
「スマホゲーム会社だってすぐ食いついてくるんじゃないの?」とも思われるかもしれませんが、スマホゲーム会社は必ずしもリアルタイムマルチプレイヤーゲームのノウハウを持っているとは限りません。
原神みたいなオープンワールドマルチプレイヤーゲームやフォトナのようなバトロワゲームの流行に合わせて開発をすぐさま転換できるかは分かりませんが難しいかもしれません。
それに、ゲーム会社なら別にEOSによる無料化とか関係なく、マルチプレイヤーゲームをやりたかったらすでにやってるはずです。
Unityをずっと使っていて、Unityエンジニアを大量に雇用している会社がUEに転換できるか?というと、それもまた難しいかもしれません。個人開発者なら、UEで作るとなれば単にUEをやればいいだけなので簡単です。(ちなみにEOSはUEでもUnityでもなんでも使えます)
そんなわけで、今回のEpicが作ってくれたチャンスの波は、決してビッグウェーブではないかもしれませんが、意外と気付いてる人が少なくて、だから乗ってみるのも面白いかもしれないなという話でした。
さて、クソ長い前置きが終わった所で、本題に入ろうかと思います。
ここまで話した通り、Epicは無料のEOSで、本来ならメチャクチャ膨大な金額がかかるインフラコストを、全て肩代わりしてくれるそうです。
これは、実質的にゲームを作ろうとしているあなたに対して、凄い金額の札束をポンとくれているのと同じ状況です。
面白いのは、ゲームを作らない人は1円ももらえない事です。当然ですが。
ゲームを作ってリリースすれば、事実上メチャメチャお金がもらえる事になります。そして、ゲームが人気になればなるほどメッチャ大量のお金をもらっている事になります。
Epicが純粋にゲームを作ろうとしている人を応援しようとしてくれている気持ちが表れてる施策だな~と感じますね。
↓こちらの記事では、Epicみずからが、「人気ゲームだとボイチャとアンチチートで数百万ドルかかりますが、EOSでは無料で提供します」みたいな事を言ってます。
しかし、どれだけ私がここで爆アド!爆アド!!と叫んでもイマイチピンと来ない方もいらっしゃるかもしれないので、実際の金額ベースで、Epicが与えてくれる恩恵に全力で乗っかると、どれくらいのお金がもらえてる事になるのかざっくりと算出してみたいと思います。
Epicの恩恵に乗っからない場合はどれくらいのコストがかかってしまうのか?という話でもあります。
Epic Online Services(EOS)
先に、どんなゲームを作る事を想定するかを決めたいと思います。
まあ何でもいいですが、Valheimみたいなサンドボックスサバイバルゲームで、これを私が作った結果、何かの間違いでメチャメチャ売れてしまったとしましょう。
RustみたいにPVP重視のモードも入れた結果、割とチートする人が出現して、チート対策も重要になったとしましょう。ボイチャもできます。そういうゲームです。
Epic Online Servicesについては別にUnreal Engineでゲームを作る必要は無く、Unityでも利用できます。
・リレーサーバ
リレーサーバ代については、同じくリレーサーバを提供してるPhotonCloudと比較してみます。
https://www.photonengine.com/ja-JP/Realtime/Pricing
PhotonCloudは2000CCUのプランで月額67,532円です。そのようなゲームを仮に3年間運用したとすると、243万円かかります。EOSならタダです。
リレーサーバ代としてEpicから実質243万円もらった。
・アンチチート
EOSが提供するアンチチートソフトは、Easy Anti-Cheatという、フォトナやApex、RUST、Dead by daylightで採用されている最高級のアンチチートソフトです。
高級なアンチチートソフトはOS上のアプリケーションレベルを超えて、OSの下のカーネルレベルで動作するので、チート検出能力が段違いです。
このようなアンチチートソフトが本来いくらなのか?というと、問い合わせないと教えてくれないので分かりませんが、↓こちらのredditスレでは、とあるアンチチートソフトの値段は月額6千ユーロ(約78万円)だったという噂です。
この噂ベースで算出してみると、アンチチートソフトへの3年間の支払いは2808万円となります。
アンチチートソフト代として、Epicから実質2808万円もらった。
・ボイチャ
ボイチャはVivoxが有名ですが、Vivoxも5000CCUまでは無料で使えるので太っ腹ですが、それを超えちゃうと一気に高額な料金がかかってきます。
発表されてる価格イメージを見る限り、少なくとも無料分を超えると月額2500ドルからかかってくるようです。
仮に月額2500ドル(約27万円)だとすると、3年間の運用で972万円です。
ボイチャ代として、Epicから実質972万円もらった。
これらのEOSの3つのサービスだけでも、あなたは3年間で4千万円分のアドが得られる事になります。
しかも、それはEOSのサービスの一部です。それに、今後も新しいサービスが追加されるかもしれません。
その他
EOS以外にも、Epicがゲーム開発者に無料で提供してくれているものは色々あるので羅列していこうと思います。EOS以外だとUnityは恩恵を受けられなくてUEオンリーなものが多いです。
・Megascans
ご存知の通り、UnrealEngineではMegascansが全部無料で使えます。これは全部でいくらのアドバンテージなのか、正確には分かりませんが、ざっくり300万円分くらいになるようです。
Megascans代として、Epicから実質300万円もらった。
・毎月の無料アセット
Epicは、マーケットプレイスの有料アセットを毎月無料で提供してくれています。
適当ですが、毎月3万円分くらいのアセットをくれています。
ちょうど2年くらい前からやっているので、2年前から毎月コツコツもらっていた人は、全部で72万円分くらいのアセットをもらえているハズです。
マケプレアセット代として、Epicから実質72万円もらった。
・Unreal Studio
UnrealStudioとDatasmithを使うとUE4にCADモデルなどの色んな形式の3Dモデルをインポートできるようになります。
Epicはこれを月額5千円で提供する予定でしたが、気が変わってタダになりました。
3年間で18万円の節約です。
UnrealStudio代として、Epicから実質18万円もらった。
・Infinity Bladeアセット
Epicは2019年に、400万ドル相当の「Inifinity Blade」のアセットを無料でリリースしました。
Epic、400万ドル相当の『Infinity Blade』のアセットをリリース。Unreal Engine マーケットプレイスのおすすめ無料コンテンツも更新。
Infinity Bladeアセット代として、Epicから実質4億円もらった。
・Paragonアセット
Epicは2018年に、1200万ドル相当の「Paragon」のアセットを無料でリリースしました。
Epic Games、1,200万ドル相当の Paragon アセットを無料で公開
Paragonアセット代として、Epicから実質12億円もらった。
というわけで、あなたはすでにEpicから16億390万円もらっているという事に気付きましたね。
…いや、まあInfinity BladeとParagonはさすがにこじつけっぽいのでスルーするとして、それを抜かしても390万円のアドがある事が分かりました。
Epic MegaGrants
さて、これまでは、「本来お金がかかるものを無料で提供してくれているので実質お金もらってるようなもん」という話でしたが、Epic MegaGrantsについては、マジで現金がもらえます。
これが何かというと、Unreal Engineを使ってなんか面白い事をしようとしてる人を応援するためにお金を配っちゃうというものです。
最初にEpicがやったのがUnreal DevGrantsというもので、総額500万ドルが用意されてました。例えば”ジラフとアンニカ”が受賞してます。
総額 20 万ドルを超える新たな Unreal Dev Grants 受賞者発表!
DevGrantsは用意していた500万ドルが尽きた時点でいったん終わったんですが、今度はなんと総額1億ドルのEpic MegaGrantsが始まりました。
”黄昏に眠る街”はMegaGrantsを受賞しています。
MegaGrantsについて、詳細はおかずさんの解説動画があります。
MegaGrantsで景気よくお金を配りまくってて、おかずさんの話によると、このペースで行くと今年の夏~秋くらいまでに応募しないと予算が尽きるっぽいので、急いで応募する必要があるでしょう。
落ちても何回でも再応募できるらしいし、応募するだけやってみて何の損も無いので、Unreal Engineでなんかやってる人は応募した方がアドだと思います。
MegaGrants、はよ応募しないと終わっちゃうよ!と慌ててしまうかもしれませんが、DevGrantsが終わったと思ったらMegaGrantsが始まったって感じなので、MegaGrantsが終わってもまたすぐ次のなんちゃらGrantsが始まるんじゃないの?と言う気もしますが、実際どうなるかは誰にも分かりません。
受賞率は、応募者の7%くらいらしいです。
ちなみにいくらくらいもらえるのか?というと、枠としては5千~50万ドルだそうですが、Godot Engineでさえ25万ドルなので、個人制作のゲームだと1~2万ドルとかでしょうか?(適当)5千ドルと言うのは本当に最低ラインで、大抵はもっと上になるらしいです。
まとめ
さて、そんな訳で、”もしあなたが大人気マルチプレイヤーゲームを作ろうとしている個人開発者だったとすると、Epicはすでにあなたに4400万円(3年分)をくれている”という話でした。
他にもEpicはArtstationの買収に伴いArtstationの学習コンテンツを一定期間無料化してくれたり、とにかく色々と提供してくれていて、挙げるとキリがありません。
Epicはたしかに個人開発者に大きなチャンスを提供してくれていますが、例えばアンチチート無料の恩恵を受けたければ、アンチチートを使うようなゲームを作る必要があります。当たり前ですが。
EOSのアドバンテージの恩恵を受けるためには、EOSを使いこなす必要があるという事です。
そして、アドを全部拾ってこそ、最大のアドが得られて、それで初めて個人開発者がゲーム会社を出し抜けるチャンスが見えてくるかもしれないなと思ってます。
Epicが作ってくれた今回のチャンスの波は、そういう物のように見えます。
これまでは、個人で本格的なマルチプレイヤーゲームを開発しようとしても、下手に人気が出てしまった時のリスク(サーバ代、ボイチャ代)が恐ろしくて躊躇してしまっていたのを、Epicがリスクを取り除いてくれたので、今この瞬間は個人でも攻めていけるチャンスが生まれるかもしれないという話です。
今回の記事は自分用のメモみたいな側面が大きいですが、誰かの参考になれば幸いです。