家のパソコンのCPUをRyzen3950Xに買い換えました。3950Xは10万円します。
今までは5年以上前に買ったCore i5 4690K(4コア/4スレッド 3.5~3.9GHz)をずっと使ってました。4690Kは当時2万5千円くらいだった気がします。
色々買い換えるハメになった
CPUのメーカーがIntelからAMDに変わり、当然CPUのソケットも変わったので、マザーボードも買い換える必要がありました。
AMDのマザボは最初のZenコアからずっとAM4ソケットが使われてるので昔のマザボでも3950Xは動かせます。最近の奴だと2万円くらいのX570か、1万円くらいのB450の二択です。
X570はPCI-Express 4.0規格に対応しており、B450は対応してないという大きな違いがあります。
現時点ではPCI-Express 4.0に対応してる機器はほとんどありませんが、例えばこちらの記事で紹介されてるSSDは対応しており、リードが5000MB/s、ライトが4400MB/sというヤバいくらいの速度があります。ちなみにPCI-Express 3.0だと速度が3500MB/sで頭打ちになります。
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/sp/1200648.html
せっかくZen2コアのCPUを使うならPCI-Express4.0の爆速SSDを使いたいな(理由は後述)と思い、X570マザボと1TBのPCI-Express4.0対応SSDを買うことにしました。
選んだマザボはASUSのTUF GAMING X570-PLUSというヤツです。パソコン工房の通販で3950Xとセット割引されてたのでこれにしました。ASUS PRIME X570-P/CSMというヤツも選べましたが、正直どっちでもよくて、TUFの方がSATAの数が多いからTUFにした気がします(その分USBが少ないけど)
ちなみに数日前の記事によると、B450とそれより古いマザボはZen3(次のAMDのCPU)への互換性が切られてしまうようです。X570はサポートされます。B450にしないで良かったです。どうしてCPUソケットがAM4のままなのに互換性が切られてしまうの?という疑問がありますが、古いマザボでBIOSアップデートを頑張ってもマザボメーカーは一文も得しないしそれより最新のマザボに買い換えてほしいみたいな事情があるらしいです。
また、B550というマザボも6月に発売されるそうです。これはX570のようにPCIe4.0に対応しており、なおかつB450くらい安いらしく、発売されたらこれが鉄板でしょう。(でもTUF GAMING X570-PLUSは高いだけあってVRM電源回路が14フェーズ(例えばTUF B450-PRO GAMINGは6フェーズ)もあったりするので、やっぱ3950XみたいなハイエンドなCPUを動かすならそれでもX570の方が安牌という説もあるかも)
メモリも今までのPCではDDR3でしたが、このマザボではDDR4しか動作しません。しょうがないのでDDR4のメモリの16GBx2個セットを買いました。1万5千円くらいです。メモリのクロックは3200MHzで、これはZen2CPUのメモリ定格動作周波数の最大値です。メモリクロックなんてPC性能に対して影響あんま無さそうですが、AMDのCPUはIntelよりメモリクロックによる性能への影響が大きいらしいです。そういえばメモリはマザボのスロットに端から詰めて刺そうとしましたが、マザボの説明書に「メモリは一個開けて差さないとデュアルチャンネルが効かないよ」的な事が書かれてたので刺し直しました。そんな細かいルールがあったとは。
Ryzen3950XにはCPUクーラーが付属してません。Ryzenの他のCPUは結構立派なクーラーが付属することに定評がありますが、3950Xともなるとちょっとやそっとのクーラーでは冷やしきれないからという事だそうです。もちろん4690K付属の小さいクーラーを使い回すのも無理です。というか空冷クーラーじゃなくて簡易水冷クーラーという、なんかポンプで水を循環してラジエータで冷やすみたいなゴツイ仕組みのクーラーが公式では推奨されています。しかし、簡易水冷というのは機構が複雑な分だけ値段が高い上に故障率が高く、動作音もうるさいとデメリットが目立ちます。ネットの記事では簡易水冷じゃなくてもハイエンドの空冷なら十分3950Xを冷やせるみたいなことが書かれていたので、一番最強の空冷クーラーと言われているNH-D15を買いました。1万円くらいです。
このCPUクーラーはこのマザボのソケット(AM4)に対応する金具が入ってないので、AM4に対応させるための金具も別途買う必要があります。500円くらいです。
https://www.pc-koubou.jp/products/detail.php?product_id=630142
NH-D15にはCPUグリスが付属していますが、せっかくなので性能の良いグリスにしようと思って、よく知りませんがオーバークロッカーの清水さんモデルとか言うSMZ-01Rを買いました。千円くらいです。
実際のところNH-D15で3950Xを冷やせるのか?という点ですが、今のところ普通に冷やせてます。CPUが全コア100%でぶん回り続けても温度は60度くらいから動きません。Ryzen Masterを見てみると、温度よりも先にEDCの140W制限に引っかかってて、発熱に余裕があってもそれ以上CPUのクロックは上がりません。なのでCPUファンが全力で回ってるような音がした試しがないです。
最低限必要なパーツは揃いましたが、この際PCケースも新しくしようと思ってP110 Silentというヤツを買いました。9千円くらいです。今まで使ってたPCケースは10年以上前のBTOで買ったPCの奴をずっと使い回していて、ファンはケース背面に一個しか付いてなくて、今となってはエアフローに不安を覚えます。新しいケースはファンがいっぱい付けられる奴にしようと思って探しました。P110 Silentはケースの前後に一つずつファンがついていて、別途4つくらい追加で設置可能です。とりあえず以前のケースのファンを奪い取って前面に追加しました。他にP110 Silentを選んだ決め手としては、遮音性能に優れてる(CPUファンがでかいので遮音性がある方が良さそう)のと、ストレージが結構沢山積めるのがメリットです(買い換えるたびにHDDが増えちゃってるのをせっかくなので全部積みたい)。
このケース、結構でかいですが、組んでみると内部スペースが割とスカスカです。こんなに奥行きサイズが必要あるんでしょうか?まあ内部スペースが大きい方が冷却的に有利だったりするのかな…?
それと、NH-D15を使う場合はこのPCケースはオススメできません。CPUファンがでかすぎてサイドパネルが付くか付かないか本当にギリギリでした。NH-D15の高さは165mmで、P110 Silentの対応CPUクーラーは165mmなので、スペック的には大丈夫なはずですが、クーラーの2つ目のファンを付けると位置的にメモリに干渉するので少し上にずらして取り付ける必要があり、高さが上がってしまいます。メモリはプレーンな形でヒートシンクで高さが上がったりしてなかったので本当にギリギリケースに収まりましたが、ちょっとでも特殊な形のメモリだったらアウト(つまり2つ目のCPUファンの設置を諦める)だったと思います。
最近ストレージの容量に不安を覚え始めてたので、この際なので容量のでかいHDD買おうと思いましたが、東芝の8TBのものが売り切れだったので、いっそ東芝10TBのヤツを買いました。2万2千円くらいです。Seagateの8TBのヤツなら1万4千円くらいで安く買えますが、今まで買った内臓HDDの中で唯一Seagateの物だけが故障しているので安いとはいえSeagateは何となく避けてます。こちらの記事でもSeagateの壊れやすさが証明されてます。
https://news.mynavi.jp/article/20150418-a103/
購入までの流れ
4月の頭くらいから、急にPCを新しく刷新したいという考えに囚われ始めて、色々検討を始めました。
最近はIntelよりAMDの方がコスパがいいという話を聞いていたので(主に野生の男さんがtwitterで死ぬほどRyzen推してたのを見て)次はRyzenにしよっかなと思ってました。
最初に狙っていたのはRyzen3700Xです。4万円くらいで8コア16スレッドという、数年前なら考えられない数のコアを積んでいます。しかもこの値段でIntelの上位モデルのCorei9-9900Kに匹敵する性能らしいのでコスパ最強でしょう。
しかし、ちょうどその時Amazonのタイムセールで3700Xが格安で売っていた事をタイムセールが終わった後に知りました。これが悔しすぎて、3700Xを買う意欲が減退しました。じゃあどうせなら安売りされてなかった3900X(12コア24スレッド 6万円くらい)にしちゃおうかな!でも3700XがTDP65Wで済んでしまっていたのに比べて3900Xは105Wに増えてしまいます。じゃあどうせなら3950Xも105Wだしそっちにした方がワッパ高くてエコなのでは?という勢いで4/17に3950X購入に踏み切り注文しました。
あと政府のコロナ支援で全国民に10万円配布されると発表され、じゃあ3950Xは実質タダじゃんと思って購入が後押しされました。
まああれやこれやと買ってたら結局20万円くらいかかっちゃったんですけど。
平常ならアキバのツクモとかドスパラに行ったりしてあれこれ現物を見てから何を買うか決めるところですが、外出自粛の風潮だったので全てを通販で買うことにしました。
何をどこでどう買えば一番オトクかはかなり頭を捻りました。例えばドスパラやパソコンSHOPアークのサイトでクレカで買えばキャッシュレス5%還元が受けられます。パソコン工房では受けられません。たかが5%とは言え、購入額が20万ともなると還元額は1万円にも達します。還元はなくてもパソコン工房は品揃えに優れてますし、2万円以上のPCパーツを買うと10%ポイント還元キャンペーンもやっていました。
さらに色々調べてみると、Paypayモールで購入すれば何を買っても10%還元が受けられるし、パソコン工房もPaypayモールに出店しているので、じゃあ全部Paypayモールで買えばいいじゃんと気付きました。ただし、ややこしいのですがPaypayモールの10%還元は1か月間に1万円が上限だったりします。あとパソコン工房はなにげに自社通販サイトよりPaypayモールでの商品価格を上げてたりするのでそこは駆け引きがあります。
エクセルで色々計算した結果、還元の上限1万円分まではPaypayモールのパソコン工房で買って、残りはパソコン工房通販サイトで買って10%還元を受けるのが一番オトクと判断して、そういう感じで買いました。
どうしてパソコン工房で統一して買い揃えたのかというと、PCを組んでみたけど何だか分からんけど動作しない。みたいなトラブルが起きた場合に、パソコン工房のようなPCショップならパーツ一式送り返して動作確認してもらうみたいなサポートが受けられるらしいからです。Amazonで購入するとこういうサポートは受けられないでしょう。
ちなみに3月までならPaypayモールは20%還元だったらしいので、還元額が10%に減ってしまった4月は正直時期は良くなかったかもしれませんが、終わってしまっていたものはしょうがないです。
今、3950Xを買うという選択
今まで5年間も4690Kを使っていた私ですが、当時Coreiシリーズは登場して以来、ハイエンドのi7でも4コア8スレッドで周波数も代り映えしない状況が続いていました。
2010年に発売されたi7-880は4コア8スレッドの3.06~3.73GHzで、2017年のi7-7700Kでもいまだに4コア8スレッドで4.2~4.5GHzで、このような微妙な進化速度では大して買い換えたい意欲も湧きません。
まあ、当時はソフトウェアもマルチスレッド対応されてないものが多かったので、これ以上のスレッド数は必要なかったという事もあるかもしれません。私も4コア4スレッドの4690Kで特に不便を感じない時代が続いていました。
そういう状況だった2017年にやってきたのがAMDのRyzenです。いきなりRyzen1700(329ドル)は8コア16スレッドが搭載されていました!ハイエンドのThreadripper1950X(999ドル)に至っては16コア32スレッド搭載です。
コンシューマ向けに限らなければ当時すでにIntelもコアをたくさん積んだワークステーション向けプロセッサがありました。例えばXeon W-2175は14コア/28スレッドで1947ドルでした。1950Xの登場で同じくらいのコア数が半額で使えるようになりました。
2017年の年末、IntelのCore i7-8700Kが登場し、今までずっとi7は4コア8スレッドだったのが、6コア12スレッドになりました。
翌年の2018年、Ryzenは、2700はスペックアップしつつ1700と比べて30ドル安い299ドルで登場。16コアのThreadripper2950Xは1950Xから100ドル安くなって899ドルで登場。最上位の2990WX(1799ドル)に至っては32コア64スレッドをあっけなく達成してしまいました。
2018年には、Intelの第9世代が登場。i7-9700Kは8コア8スレッドです。i7のさらに上位のi9-9900Kも登場しました。8コア16スレッドです。さらなる上位のi9-9980XEは18コア36スレッドを達成しており、価格は1999ドルです。i9-9960Xは16コア32スレッドで1699ドル。
そして来る2019年に登場した第3世代Ryzenでは、今までハイエンドのThreadripperにラインナップされていた16コアCPUがコンシューマ向けのRyzen3950Xとして登場しました。価格も2950Xから150ドル安くなって749ドル。TDPが180Wから105Wに大きく下がってる所も注目点です。最上位の3990Xに至っては64コア128スレッドという化け物レベルの領域に突入してしまっています。価格も3990ドルで化け物級です。
2020年に登場した第10世代i7-10700Kは8コア16スレッド、i9-10900Kは10コア20スレッドです。18コア36スレッドのi9-10980XEは、前世代の9980XEに比べて半額の1000ドルで発売されたのが衝撃的です。
5年位前の停滞感のある状況に比べると、ここ数年はかなりドラマティックな展開を見せているCPU業界。Ryzenのコスパの高さに刺激されてIntelのCPUも劇的に値下げされてます。16コアのRyzen3950Xは749ドルで買えるし、18コアのi9-10980XEは1000ドルです。数年前なら2000ドルくらいしたクラスのものが今は半額以下になってます。今は結構時期がいいんではないでしょうか。Ryzenの値下がりも一服した感じで、むしろ値上げしてる傾向もある(例えば32コアのThreadripper2990WXは1799ドルだったのが3970Xで1999ドルに値上がった)ので、この先はしばらく大きな値下がりは起きないかもしれません。
Ryzen3950Xはちょうど3700Xの2倍のスペックくらいの感じで、値段も3700Xの2倍にちょっと色を付けたくらいの感じです。CPUは2倍の値段で2倍の性能が得られるのが凄いですね。この前ホームセンターで千円くらいの包丁を買いましたが、それまで使っていたダイソーの100円の包丁の10倍の性能は得られなさそうです。
3950X以前の16コアCPUは、コンシューマ向けではなかったので値段の高い特殊なマザボが必要でしたが、3950Xは普通のコンシューマ向けのAM4ソケットで動かせます。TDPも105Wで普通のCPUレベルなので、電気代もヤバくはなく、発熱も空冷クーラーで冷やせるレベルです。3950Xの登場で16コアCPUが何の苦労もなく使えるレベルまで簡単に使えるようになったという事です。(価格はコンシューマ向けというにはまだ高いけど)
PC組み立て
PCの組み立てについては取り立てて書くことはありません。普通に組み立てたら普通に動いたので良かったです。
アホみたいにでかい箱がいくつも届いたので開封して組み立てるのが億劫な気分でしたが、早いとこ組み立てて全部のパーツが動作する確認しないと初期不良の対応してくれるのは購入後2週間までとかですからね。
しいて言えば、やっぱりNH-D15がクソデカすぎだと思いました。これを付けるとグラボが外せなくなります。グラボの端子のロックのところにまったく手が届かなくなるからです。ググったらみんなこれには困ってるみたいで。金属製の定規を隙間から差し込んでロックを外したりしてるみたいです。ヤバいですね。あと取り付け時に相当ドライバーに力入れて押し込まないと取り付けねじが回らないので大変でした。
そういえば、今回買い足したパーツはCPUとマザボとメモリとCPUファンとNVMeSSDと増設HDDとPCケースです。ほとんどパソコン一式買い直してますが、電源とグラボと既存のSATASSDとかHDDは流用してます。電源は玄人志向の600Wのやつで、グラボはGTX1080です。
電源といえば、マザボの補助電源のピンは8ピンと4ピンのソケットが一つずつあって、説明書には両方刺すのが推奨と書かれてました。それに対して電源から出てる補助電源のピンは4ピンが2つでした。これどうすればいいの?と悩みましたが、ググってみると4ピンが2つの場合は両方刺せば8ピンとして使えるそうなので、8ピンだけ刺しました。よっぽどじゃない限り8ピンだけでもとりあえず大丈夫らしいです。
組み立て中はなんやかんやCPUファンのヒートシンクとかで指をちょっと切ったりしました。PC組み立てって結構力仕事というか、疲れますよね。ケースが重すぎるし。昼から初めて夜中には一応起動するくらいまで持っていけた感じでした。
正直BTOでRyzen3950X搭載PC買っても20万円くらいだしそれ買った方が簡単だったんじゃないの?って気もしますが、グラボはまだ現役だから買い換えるのもったいないしバラ売りパーツで買ってしまいました。
今までのPCバラシて新しいPC組むのも今のタイミングはリスキーだなと感じました。ちょうど会社の仕事がリモートワークに切り替わったところで、仕事で使うPCをバラしちゃって、新しいPCで初期不良が出て交換対応とかなっちゃったらその間仕事どうすんの?っていう。一応サブのノートPCがあるので最悪そっちを使えばいいんですが。
新しいNVMeSSDをシステムドライブとして使いたかったので、事前にEaseUS PartitionMasterというソフトで以前のシステムドライブのSATASSDからクローンして、ブートできることを確認しておきました。
クローンしたおかげでそのまま新PCに作業環境を引き継げましたが、Windows10が未認証の状態になってしまいました。どうやらPCのパーツ構成が大幅に変わると、別PCにコピーされたとみなされて認証が切れてしまうらしいです。たしかにほとんど別PCになってしまってるのでそれはそう。でもあくまで環境を移行しただけで、不正にコピーとかしてるわけじゃないし、Windows10Proを買い直すのは痛いので、どうにかなるもんならしてほしい。と思ってマイクロソフトサポートに電話してみました。色々あって認証を通してもらえました。良かったですが、3時間くらい通話してましたよ。3時間携帯電話で通話したら料金いくらですか?1分で40円として3時間で7200円。ヤバい。今確認したらマイクロソフトサポートの電話番号はフリーダイヤルだったのでセーフです。どうでもいい話ですがサポート中にサポートの女性が私のPCをリモート操作する必要がありました。私のPCのデスクトップは画像フォルダからランダムに画像がコラージュされて壁紙になる仕組みになっていて、なんかちょっとエッチなイラストとかも表示されてます。これをマイクロソフトのサポートの女性に見られてしまうのか…背に腹は代えられないのでやってもらいましたが、お互い特にその事には触れませんでした。
このタイミングで買う理由
正直言って発売から5カ月経ったCPUを買うのって微妙な気もします。あと半年くらいすればもっといいRyzen4950Xが発売するのは分かりきってますからね。
それでも半年待てずに4月に買ってしまったのは、ちょうどリモートワークが始まったので、家で仕事としてPCを駆使するこの時期にハイスペック化しちゃう方がアドバンテージがあると考えました。結局緊急事態宣言は延長されて5月一杯はリモートワークが続くわけです。さらなる延長の可能性もありますから、PCスペックアップした事による進捗アップの効果は大きそう。
なんかみんな同じことを考えているのか、リモートワーク需要で微妙にPCパーツの品薄感が出始めている時期でした。私は滑り込みで間に合った感じでしたが、現在Amazonとかを見ると結構品切れしてます。紙の書籍とかも売り切れ続出してるらしく、それというのも流通がパンク気味らしく、不要不急な商品よりも生活必需品の入荷が優先されているらしいので、その事も関係してるかもしれません。
あとRyzen3950Xは発売当時(2019/11/30発売)に買おうとしても売り切れててなかなか買えなかったらしいですね。
vTuberたちのPCスペックに負けたくない気持ち
vTuberの人達は普通につよつよPC使ってます。
なんでこんなハイスペックが必要なのか?というと、まず普通にゲーム実況するのでゲーミングのスペックが要求されますし、さらにvTuberはゲームしながらゲーム画面をキャプチャして配信しつつ、表情認識してアバターを表示するソフトウェアとかも同時に動かす必要があります。とにかくマルチタスクが必要なので、メニーコアのつよつよPCがほぼ必須となります。
そんなvTuberの方々に対抗するには3950Xの投入はやむを得ない。
ちなみに桜凛月さんという方は3950XとRTX2080Tiを積んでます。
負けた。
16コアも実際必要あるの?
私も最近までは4コア4スレッドの4690Kで特に不便を感じることはありませんでした。
そもそも最近は重いタスクはGPUにやってもらう流れですよね。ディープラーニングや仮想通貨のマイニングなんかもGPUで行います。
でもGPUに移植しずらいタスクもありますから、そういうものはCPUで実行せざるを得ません。Unreal Engine 4でアセットが初めて表示される時にシェーダのコンパイルが走りますが、重いシーンを開こうとすると何千や何万ものシェーダコンパイルが走ってしまい、今までのPCだとコンパイルに一晩かかってしまうというレベルでした。しかし3950Xだと数分で終わってしまいました。それはさすがに盛りすぎやろと思うかもしれませんが、私が一番驚愕しました。こちらの記事ではi7-4790とRyzen3900Xでシェーダコンパイル時間を比較しています。
http://historia.co.jp/archives/13261/
37分かかっていたコンパイル時間が1分に短縮されています。圧倒的な差です。普通に考えるとコア数が3倍になるんだからコンパイル時間もせいぜい33%になるのではって感じですが、実際は30倍もの差が付いてしまう場合もあるという事です。さすがにこれだけ違うなら16コアに移行するメリットはあると言えます。
UnityはUnreal Engine 4に比べるとメニーコアのメリットは薄い(コンパイルやビルドはシングルスレッドで行われる)ですが、それでもアセットインポート時に部分的にマルチコアが使われたり微妙にメリットはあります。あとC#7.2やJobsystemによって並列処理が書きやすくなったので、Unityアプリから簡単にメニーコアをしばけるようになりました。
他にもマルチコアに対応したソフトウェアは以前より充実してきているので、メニーコアのメリットを実感する機会は増えてきています。
ちなみに今までのPCで一番不満だったところは、ブラウザのtweetdeckでカラムを増やし過ぎててツイート読み込み時に頻繁に画面が固まるところですが、これは3950Xにしても特に改善しませんでした。CPUマターじゃなかったんだね。
PCIe4.0のSSDが必要な理由
HDDからSATASSDに交換するとかなりPCが快適になるという話がありますね。HDDの読み取り速度は大体200MB/sで、SATASSDは500MB/Sで2.5倍も違うので体感速度も違うはずです。
しかし、SATASSDをNVMeSSDに交換してももはや大して差を実感できないという話もあります。NVMeSSDは速度2500MB/sくらいありますからSATASSDの5倍も違いますが、すでに十分早かったのでそれがさらに何倍も速くなっても知覚できないという事でしょうか。
ましてやPCIe4.0対応SSDで速度5000MB/sになったところでだからどうしたという話かもしれません。
ちなみにPCのメインメモリの転送速度は、DDR4-3200で25GB/sほどです。PCIe4.0SSDの速度はメインメモリの20%ほどに達してるという点に注目です。
という事は、PCIe4.0SSDを仮想メモリとして割り当てれば、事実上ちょっと遅いメモリが数百GB使い放題になるという事ですよね。
例えばUnreal Engine 4でちょっと重い処理、具体例を挙げると巨大な3Dモデルに対して「アクタのマージ」を実行すると、CPUの全てのコアを長時間ぶん回すのに加えてメモリも200GBくらい使用します。当然物理メモリがいくらあったところで足りないので仮想メモリを使用することになります。頻繁にスワップが行われるので、ストレージ速度が処理速度に直結する状況です。
こういう状況が今後結構起きそうだなと見越して、SSDを容量が巨大なメモリであると見立ててPCIe4.0SSDを買いました。
大メニーコア時代に突入
Intelが長い間core i7を4コア8スレッドで据え置いてた事で、CPUはみんなある意味平等な時代が続いていましたが、AMDがRyzenを投入して1700でさえ8コア16スレッドで、最上位Threadripperは16コア32スレッドが登場して状況は一変しました。
第2世代Ryzenでは32コア64スレッドの2990WXが、第3世代では64コア128スレッドの3990Xが登場してしまいました。
RyzenはCPUの設計上、いくらでもコア数を増やせるという話をどっかで見た気がします。現実に、世代が増えるごとに最大コア数が倍増しています。ただし、単純にコア数の分だけCPUを並べているのでコア数に比例して値段も上がるようです。このまま行くと次の第4世代では128コアCPUが登場してしまう可能性もなくはないです。(そこまでのコア数にニーズがあればの話ですが)
つまり、世の中は急激に大メニーコア時代に突入しつつあるという事です。
今まではみんな平等にi7の4コア8スレッドで作業していたのが、大メニーコア時代では4コアしか使えない人もいる一方で、128コアを駆使できる人もいる状態になります。CPUコア格差社会です。メニーコアに最適化されたタスクでは、同じタスクをこなしててもパフォーマンスが32倍も違ってくることになりますよね。
何かで言ってる人を見たんですが、これからの時代は、優秀な人ほど計算資源を沢山使える時代だそうですよ。
例えば、優秀な会社員は出世すると部下が増えて、部下に仕事をさせる事で自分のパフォーマンスをエンパワーさせていると言えます。
一人の人間が発揮できるパフォーマンスには限界があります。例えば荷物を運搬する仕事で一人でどれだけ睡眠時間とか削って頑張ってもたかが知れています。だから他の人に手伝ってもらう事でエンパワーします。
ですがこれからの時代は一人の人間でも沢山の計算資源にアクセスすることでエンパワーできる時代です。例えばAIの研究者とかは、研究予算をぶち込んでAWSで沢山のサーバぶん回してAIの学習を沢山やればやるほど成果が出せるという面もありそうです。
優秀な人ほど潤沢な予算を獲得して大量の計算資源にアクセスできるし、逆に大量の計算資源にアクセスできるほどパフォーマンスが上がるとも言えるかもしれません。
ディープラーニングでイラストを生成させる研究とかもありますが、一人の人間がどれだけ頑張っても描けるイラストの数には限界がありますが、AIに書かせれば計算資源さえ投入すれば1日で千枚描けたりといった事も可能になるかもしれません。
ある人が手作業で1年間かけてやっている作業を、別のある人はサーバのインスタンスぶん回して一日で終えてしまうかもしれない。計算資源次第では、一人の人間が発揮できるパフォーマンスが300倍も違ってきてしまうかもしれない時代というわけです。
Googleマップで建物を3D表示させる機能がありますが、あの沢山の3Dモデルは昔はユーザーに手作業で作らせていましたが、最近はAIが自動生成しているらしいです。計算資源を大量に持ってるGoogleだからこそできる事ですね。計算資源を持ってるだけならレンタルサーバの会社とかだって沢山サーバ持ってるのに何でGoogleみたいな事ができないのか?という疑問がありますが、サーバだけ沢山持っててもしょうがないかもしれないですね。処理するためのデータも必要です。Googleで言えば、Googleは衛星写真のデータを死ぬほど持ってるから、それをAIに食わせて処理させたわけです。レンタルサーバの会社はデータを持ってないからAIにさせる仕事がないわけですね。
じゃあ個人だってメニーコアCPUあっても処理するデータが無いじゃんと思うかもしれませんが、例えば静岡県は誰でも無料でアクセスできる大量の点群データを公開しています。静岡県の点群データを公開するからこれ使って何か面白い事やってくださいというわけです。15TBものデータが誰かに処理してもらうのを眠って待っています。
これから先、静岡県に倣っていろんなデータを公開する自治体が増えるかもしれません。兵庫県も県内の1m解像度メッシュデータを公開しています。つまり、個人がアクセスできるデータは今後どんどん増える見込みなのです。点群処理なんかはマルチコアが得意な処理なので、コア数が多ければ多いほど速く処理できます。こうなってくるとCPUコア数の格差がそのまま発揮できるパフォーマンスの格差に直結してきます。
私は今は静岡県の点群をUnityで表示する事を目論んでいます。日本の風景を表示したい場合に、自分でイチから建物やら何やら一つずつ3Dモデリングするよりも点群データをそのまま表示する方が圧倒的に手が抜け…生産性が上がりますよね。そういう作業をする時にはCPUのコア数がそのままパフォーマンスに直結します。
そういうメニーコア時代に突入しつつある今、メニーコアを活用する機会は広がりつつあります。みなさんも新時代に備えてメニーコアCPUの購入を検討してみてはいかがでしょうか。