前置き
みなさんはビジネス(仕事)について詳しいでしょうか。
社会人は誰しも、ビジネス(仕事)をして生きています。(ニートは除く)
そして、ビジネスに自分の人生の時間の多くを費やしています。
そんな自分の一生を費やすハメになるビジネスですが、案外、ビジネスについて深く理解している人は多くないのかもしれません。私もあんまり理解できていません。
私が学生の頃は、世の中のビジネスなんて、お店(飲食店、花屋、などなど)をやるか、アルバイトをやるか、会社員をやるか、程度の種類しかイメージ出来てませんでした。
社会に出てからはフリーランスと言う生き方もあるとわかりましたが、まあせいぜいそれくらいです。
ここで言うビジネスの種類と言うのは、ラーメン屋、ファミレス、スーパー、とかそういう意味の種類ではなく、もっと仕組みの違いとしての種類の話です。
まあ、ビジネスの種類と言っても、ぶっちゃけお金が儲けられて合法でありさえすれば何でもアリなので、世界は広大ですから、無限に種類があると言ってもいいのかもしれません。
例えば転売ヤーなんかも、まあ違法でない以上は一種のビジネスと言えるかもしれません(私は転売の過熱でSwitchやガンプラが買えなくて困ってます)
コンビニはフランチャイズという方式のビジネスをやってます。
例えばローソンのビジネスと言うのはローソンのコンビニで物を売って儲ける事ではありません。実際にモノ売るのはその店舗のオーナーがやる事です。
フランチャイズのビジネスというのは物を売るんじゃなくて、ローソンのオーナーやりたいです!と言う人にローソンを出店する権利を売るビジネスです。
ですので、個々の店舗が儲かろうが儲かるまいが、ローソン本部には大して影響ありません。
コンビニ本部の直営店もありますが、割合としてはごく一部らしいです。コンビニ店舗がメッチャ儲かるんだったらオーナーなんて募集せずに全店舗を自前で直営すればいいのに、そうしないでわざわざオーナーを募集するという事は、コンビニ店舗は大して儲からないという事です。
そのようなフランチャイズのカラクリを知らないで、脱サラしてうっかりコンビニオーナーなんて始めてしまうと、苦労する事になるかもしれません。
私はスタートアップ企業に関わった事があり、なんなら自分でもスタートアップのシード投資に応募した事もあります。
しかし、なんやかんやあって今にして思うのは、自分はスタートアップには向いてないかもしれないな…という事です。
ぶっちゃけ私は自分が死ぬまで暮らせそうな最小限度の金さえ稼げればいいという、ささやかな願いしか持ってません。それだけ稼いだら後は一生、趣味だけやって暮らしたいですね。
そんな欲の無い人間は起業家には向いてないでしょう。何故なら、ライバルの起業家と言うのはみんな「世界を変えてやるぞ!」というようなでっかい野望に燃えている人達ばかりですから、そういう中での競争に勝てる見込みありません。
身の丈に合わせて細々と経営していこう…みたいな選択肢はそもそもスタートアップには存在しません。スタートアップという仕組み上、ゼロかバチかしか選べません。
スタートアップと言うのは風船と言うかシャボン玉に例えられるかもしれません。
シャボン玉には膨らませないという選択肢はありません。ベンチャーキャピタルなどからジャブジャブ資金調達して事業を膨らませていきます。慌てすぎるとシャボン玉は破裂(バーン→お金が無くなって詰む、倒産)してしまいます。
スタートアップは基本的に自分たちが持ってるお金以上の金額を投資し続けるからです。いくら儲かってもそれ以上のお金をさらに投資家から調達してバンバン投資します。何でそんな事する必要あるんですか?というと、ライバルもみんなそうやってますから、自分達もそうしないと負けるからです。
うまいこと目一杯まで膨らませたら、割れない内にさっさとイグジットを目指します。
イグジットは例えば上場(IPO)したりしますが、上場してしまえば起業家は大金持ちです。しかし、だからと言ってさっさと引退するというわけには行きません。上場した以上は10年、20年は責任もって経営を続ける必要があります。
個人的にはそんな風に身の丈を超えて、無理やり成長させ続けなければいけないやり方が性に合わない気がします。
スタートアップは自分のやりたい事業ができると思う人もいるかもしれませんが、そんな事はありません。できるのはマーケット(市場)にフィットする(要するに儲かる)ビジネスだけです。単に自分がやりたい事をやってても、市場から強烈にダメ出しを食らいます。つまり、誰も求めてない事業にはお客が付かない、誰もお金を払ってくれないという事。そんなだと続けていられなくなるので、スタートアップはマーケットにフィットするまでピボット(方針転換)しまくるハメになります。そうしてる内に最初に自分がやりたいと思ってた事業とは全然違っていってしまうというのもありがちです。
ちなみに、何人か顧客が付いて、一応これで自分の食い扶持分くらいは食っていけるぞ!と言う状態は個人事業主なら嬉しい状況ですが、スタートアップではそんな小さすぎてスケールしなそうな成功は認められません。投資を受けてない企業なら文句言われないのでいいですが、ベンチャーキャピタルから投資を受けてたら、「もっと爆発的に成功する事業をやってくれなきゃこっちは投資が回収できなくて困るんだよ!」と突き上げられるハメになります。
そんなんじゃなくて、もっとこう…一人で小規模にボチボチ気楽に稼いでいけるようなビジネスは無いもんかなと最近は考えてます。
私は自分がもっと世の中の色んなビジネスの種類を知るべきだという必要性を感じてます。
そうする事で、生き方の選択肢を増やすことが出来るでしょう。
自分に合ってない仕事、生き方をしていて苦しんでいる状態でも、他の生き方を知らないと苦しい仕事を続けるしかありませんが、選択肢がある事を知っていればもっと自分に合った生き方を選ぶことができるでしょう。
モバイルハウスで暮らす赤井さん
そんな事を考えていて、たまたま見かけた記事がこちらです。
phaさんとモバイルハウスを見に行こう。「動く家」の住人が見せてくれた、「定住」と「移動」の狭間の暮らし
赤井成彰さんという方は、1トントラックの荷台に家を作ってしまって、「モバイルハウス」と呼んで、そこに2年間くらいずっと住んでるそうです。
さらに、相模原の藤野の森に、「モバイルヴィレッジぼちぼち」という、モバイルハウスで暮らす人たちだけの村のようなものを作ろうとしているそうです。
私はこういう話を聞くと、たのしそうだな~と思ってすぐに憧れてしまいがちです。
赤井さんはどうしてモバイルハウス暮らしを始めたのか?と言うと、「家賃を削りたかったから」との事。そういう綺麗ごとじゃない即物的というか、身も蓋も無い理由なのは好ましいと思いました。大変に共感できます。
生活費を節約したい時は、家賃などの固定費から見直すというのはとても有効な手です。
かと言って、「モバイルハウスに住めば家賃ゼロ円!」と思い付いて実行してしまうのは極端と言うかアグレッシブすぎて感心しました。
モバイルハウスは賃貸よりコスパがいいのか?
赤井さんはモバイルハウスを作った後、早速日本一周の旅に出たそうです。
そういう放浪の旅には、たしかにモバイルハウスは最適だと思います。
しかし、そうやって旅を続ける中で、このような生活では人との繋がりが得られないという事に気付きました。
それは確かにそうだと思います。旅をする中で色々な出会いもあるかもしれませんが、移動し続けていますから、すぐに別れるハメになります。
モバイルハウスは移動し続けながら生活するには便利ですが、逆に「ここにしばらく住もうかな」と定住しようと思ってもそれは難しそうです。道の駅の駐車場とかで1泊、2泊くらいしたところで問題なさそうですが、それ以上定住しようとしても追い出されそうな気がします。
そう考えると結構孤独な旅でもありそうです。
モバイルハウスで定住しようとしたら、どこかの駐車場と契約してそこに停める必要がありそうです。(そうしたとしても、「駐車場に住んでる人がいる!」とかチクられたら追い出されるかもしれません)
そういう中で、赤井さんに藤野の土地を(タダで)貸してくれるという人が現れ、赤井さんはそこに定住して「モバイルヴィレッジぼちぼち」を作ろうと決めたそうです。
↓ちなみに”ぼちぼち”の場所はGoogleMapに載ってます。
さて、モバイルハウスに住めば、たしかに家賃は0円で済みます。しかし、モバイルハウスに定住するとなると、パッと見は気付かないコストや問題が色々ありそうなことに気付きます。
トータルのコスパで考えた場合、本当にモバイルハウスは賃貸より優れているのかどうか考えてみたいと思います。
これは誰かをダメ出しとかバカにしてるとかディスってるとかそういう意図では無い事をあらかじめ念押ししておきたいと思います。ただ単に、もし自分が本当にモバイルハウスに住むと想定した場合に直面しそうな事を書いてるだけです。
まず、前提として相模原市藤野とかあの辺の立地だと、普通にワンルームの賃貸アパートを借りても家賃月2万円以下で済んでしまうという事があります。
また、赤井さんはモバイルハウスでの生活費がどれくらいかかるのか、詳細な記録を取っており、動画で公開してくれてます。
モバイルハウスで1年暮らすと、大体年間70万円かかる見込みだそうです。つまり、月当たり6万円の生活となります。
内訳の円グラフも出してくれてますので、これを元に算出すると、
モバイルハウス1カ月の生活費
・交通費 2.88万円
・食費 9,600円
・娯楽、交際費 8,400円
・通信費 7,800円
・日用品 4200円
・お風呂 1200円
この辺のデータを元にコスパとか考えてみましょう。
1.水道をどうするか
人間、何はなくとも水の確保が一番優先されます。
賃貸なら当然水道がありますので、月2000円くらい払えば綺麗な水をいくらでも使うことが出来ます。
”ぼちぼち”では、近くの川を生活用水にしているそうです。川と言ってもかなり上流の川なので、綺麗な清流という感じ。
その川で野菜を洗ったり、水浴びしたりしているそうです。
飲み水はどうしてるか?というと、近所の方が集落みんなのために作ってくれた、湧水をろ過して流してくれる装置があって、それを汲んで使ってるそうです。
ちなみに、都心の公園に住んでいるホームレスの方は、公園の水道でタダで綺麗な水使い放題です。
2.ご飯をどうするか
水の確保が出来たら、ご飯をどうやって用意するか?を考えます。
賃貸ならキッチンがあるので、そこで料理できます。ガスコンロなりIHコンロもあります。ご飯は炊飯器で炊けます。
モバイルハウスではどうするか?というと、赤井さんはカセットコンロを使って料理してるみたいです。収納式テーブルもあるので包丁使ったりもできます。
ご飯は土鍋を使って炊くようです。大体、20分くらい火にかけてから、10分蒸らすと炊けるようです。
おかずは記事ではジャガイモとトマトとにんにくのスープを作ってました。ジャガイモとニンニクは”ぼちぼち”の畑で採れたものだそうです。
どうして野菜だけの食事なのか?と言うと、赤井さんは全然ベジタリアンというわけではないんですが、肉を料理して油なんかが出てしまうと洗剤を使って皿とかを洗う必要がありますが、汚れた水の処理に困るから野菜中心の食生活になったそうです。
たしかに流しもなければ下水道もありませんから、油やら汚れた水の処理は難しいですね。盲点でした。
それを言ったらごはんのとぎ汁なんかもどうしてるんだろう。ラーメンのスープとかも困りそうです。
赤井さんは月の食費を9600円としていますが、これは激安です。なぜここまで食費が抑えられるのか?というと、まず基本は自炊している事と、近所の農家さんが野菜とかくれたりするそうです。また、自分で畑で野菜とか育てて部分的に自給自足できているという事もあるでしょう。
私も結構自炊する方だと思いますが、自炊では冷蔵庫と電子レンジがメチャメチャ活躍します。
一度の料理で大量の量を作って小分けして冷凍しておく。食べる時はレンチンするだけ。このテクで手間とコストを大幅に節約できます。
モバイルハウスでは冷蔵庫が無いので、食料を保存することが出来ません。これは大きなディスアドバンテージでしょう。毎日食料を調達して、1日3食料理する手間が必要です。
ついでに言うと、カセットコンロは燃費だけで言えばガスコンロやIHコンロに比べてかなり燃費が悪いらしいです。まあその分、ガスの基本料金がかからないというメリットはあります。
3.トイレをどうするか
ご飯の次に大事なのはトイレです。
モバイルハウスで旅をしている間はそこらじゅうにある公衆トイレとかを使わせてもらえばいいわけだから、トイレには困らないでしょう。
しかし、モバイルハウスで定住するとなれば、自分達でトイレを何とかするしかありません。
できれば、公園のそばなんかに定住できれば公園のトイレを使えて便利だったとは思います。
”ぼちぼち”ではトイレを自分で作ったようです。
コンポストトイレなので、排泄物は時々土とかき混ぜておけば、たい肥になるとかそういうヤツだと思います。
という事は、誰かが排泄物をかき混ぜる仕事をしなきゃいけないし、トイレを作ったら誰かが常にトイレを綺麗に掃除する必要があります。人間の生活と言うのはインスタ映えするようなたのしい事だけやってればいいというものではなく、地道にトイレ掃除とかもやんなきゃいけないもんなんだよなと思いました。
4.風呂をどうするか
コスパを考えた場合に真っ先に疑問だったのはお風呂です。
賃貸でたまにお風呂無し物件とかありますが、コスパを考えると家賃が1万円上がったとしてもお風呂付の方が良くないか?と思ったりします。何故なら、銭湯の料金は東京で480円です。回数券を使ったとしても440円で、一ヶ月毎日30回銭湯に行ったら13,200円かかります。
モバイルハウスでも話は同じで、”ぼちぼち”の最寄りの銭湯はいやしの湯という温泉がありますが、入浴料は750円です。一ヶ月毎日行ったら22,500円かかる事になります。この時点で、2万の賃貸アパートの方が安くつくじゃんと思ってしまいます。
しかし、赤井さんは、お風呂代は“年間で”11,180円だったと動画で言ってます!これは衝撃的安さです。11,180円だと1年間に15回しかいやしの湯に行けない計算になります。
どうしてそれが可能だったのか?というと、夏は川での水浴びだけで済ませていたからだそうです。
たしかに夏は気持ちよさそうですが、それ以外の季節は水が冷たくてキビシそうです。
環境の事を考えると、川では石鹸やシャンプーも使えないのではないかと思います。
5.ネット回線をどうするか
赤井さんはYoutubeやtwitter、Facebookで活動を発信してますから、ネット回線は重要です。
スマホでテザリングすればいいじゃん?と思うかもしれませんが、スマホの回線を固定回線代わりにしてネットやってると、月間数十GBを消費してしまい、かなりスマホ料金がかかってきます。
そこで、赤井さんはWiMaxのポケットWi-Fiを使ってるそうです。
WiMaxなら月4千円くらいの固定料金で回線使い放題です。ポケットWi-Fiあるならむしろスマホの回線は解約できるまであるかもしれません。
6.電気をどうするか
当然ながら、モバイルハウスには電気は引けません。
という事は、電灯も、冷蔵庫も、洗濯機も、エアコンも、テレビも無いという事です。
と言っても車にはエアコンが付いてるので、暑ければ車に入れば涼めます。寝る時は荷台なので夏は暑かったり冬は寒かったりするでしょう。
電灯が無いでしょうから、”ぼちぼち”は夜は真っ暗になってあまり活動できないのではないかと思います。キャンプでも、夜はキャンプファイア代わりにちょっと焚火するくらいしかする事ありません。
モバイルハウスの中ではLEDランタンとかそういうのを灯りに使ってるのではないでしょうか。
洗濯については、単に時々コインランドリーまで行けば事足りるでしょう。
一番の問題は、ノートPCやスマホ、ポケットWi-Fiのバッテリーをどうやって充電するのか?ですが、赤井さんはポータブル電源を使っています。
じゃあ、そのポータブル電源はどこで充電するの?というと、モバイルハウスの屋上にソーラーパネルが設置されており、天気がいい日は半日で満充電できるそうです。
車のシガーソケットから充電できるポータブル電源もあったりするので、そういう手も使えそうです。
7.ゴミをどうするか
ゴミの処理はどうしてるんでしょうか?
まあ、普通に考えると自治体のゴミ収集に出してるかと思われます。
という事は、モバイルハウス定住は、ゴミ収集のような行政サービスが行われてるエリア内でやる必要があるかと思います。
8.住所をどうするか
なにげに問題なのが、住所の問題です。
Amazonの荷物や郵便物はモバイルハウスに届くんでしょうか?
”ぼちぼち”の場合は看板とポストさえ設置すればもしかすると届くかもしれません。
駐車場の場合はどうでしょうか。坂口恭平さんは「独立国家のつくりかた」のなかで、”駐車場のモバイルハウスでピザ注文してみたけど届いたよ”みたいな事を書いてました。
それはいいとして、住民票の手続きの問題もあります。
よく訊くのが、ネカフェ難民の人が住所不定になって職に就けない問題とかありますが、もしかすると”ぼちぼち”なら住所移せる可能性はあります。
そうでない場合は、実家とか、何かしらモバイルハウスとは別に拠点を持って、そこに住所を設定しておく必要があるでしょう。
ワクチンのクーポンなんかも住民票の住所に配送されると思います。
9.虫、野生動物をどうするか
藤野の森ともなれば、都会ではあまり見かけないような虫とかミミズとかムカデとか、そういうのが一杯いるかと思われます。
記事でも赤井さんが「ヒルが出るので足元に気を付けて」と言ってます。
この前高尾山に登りましたが、ヤバいくらい蚊に襲撃されました。藤野の森でも同じような感じかもしれません。
要するに、虫とかに耐性がある人じゃないとこういう暮らしは難しいかもしれないという事です。
虫だけじゃなくて、猪、鹿、アナグマ、狐やらの野生動物もわんさか出現するらしいです。
見かけるだけならほのぼのでいいですが、野生動物は畑の作物を荒らすので、厄介な敵です。
赤井さんは動物対策で畑をフェンスで囲ってました。
10.所得税、健康保険、国民年金をどうするか
赤井さんの生活費の内訳には所得税、健康保険、国民年金が含まれてません。
赤井さんは”ぼちぼち”で暮らす前は日本一周の旅をしてましたが、多分所得はゼロだったのではないでしょうか。
所得がゼロだと当然所得税はかかりません。
健康保険についても所得に比例して保険料が上がりますが、所得がゼロだと7割引きになったりして、月当たり1300円で済みます。
国民年金も、所得が少ない人は全額支払い免除可能です。ただし、半額しか支払った事にならないので、将来満額受け取りたい人は払っておいた方がいいという事になりますが。
11.女性でも可能なのか
女性でモバイルハウス暮らしは可能なのでしょうか?
ゆるキャンなんかでもしまりんがソロでキャンプしてますが、現実には防犯的にどうなんだろう?と思いますが、あまりキャンパー界隈の事情は詳しくないので実情は知りません。
モバイルハウスなら少なくとも防犯対策をしっかりしておく必要がありそうです。
生活と言うのは本来コスパの問題じゃない
さて、こうしてモバイルハウスと賃貸暮らしを比較してみましたが、いくらモバイルハウスなら家賃がゼロだとは言え、色々と困難な要素も多そうで、コスパだけを考えると賃貸で暮らした方が良さそうな気がしてきました。
しかし、そもそも論として、コスパで考える事は絶対的な正義と言えますか?
私は何でもかんでもコスパで考えるコスパ厨ですが、実はコスパで考えるというのは、何か他の目的があって、それに気を取られている状態なのです。
だから生活にコスパを求めるというのは、例えばお金をより一杯稼ぐために生活を手抜きしようとしている事になります。
ぶっちゃけて言えば、そんなにコストを払いたくないんだったら、突き詰めて言えば今すぐ死ねばコストはゼロで一番オトクです。
ですから生活にコスパを持ち込むのは、ある意味で貧しい暮らしかもしれません。だって、もし100億円持ってたらコスパを気にして生活しますかね?
私は時々考えるのですが、現代社会の人間は、自分の生活から結構疎外されている…ような気がします。
縄文人とか弥生人は、自分達で狩りや採集、釣りをして、自分達で作物を育てて、自分で自分の家を建てて、自分の服も自分で作る、そんな風に自分の生活を自分で賄う暮らしをしていたはずです。
それに比べて我々は、他人が栽培した野菜、他人が釣った魚を食べて、他人が建てた家に家賃を払って、他人が作った服を着て暮らしています。何故そうなったか?と言えば、そうした方が圧倒的にコスパが良い社会システムが出来上がったからです。
たしかに便利な世の中ですが、誰もが土地やら家の持ち主に毎月家賃を払って暮らしていて、それを当たり前だと思い込んでいる事に疑問を差しはさんでみたっていいじゃないですか。
赤井さんがモバイルハウスを始めたのは、たしかにキッカケは「家賃を減らしたかったから」という身も蓋も無い理由だったかもしれませんが、今となっては既存のお仕着せの社会システムへの挑戦ともいえる、意義深いチャレンジだと思います。
ちょっと話が飛びますが、マイクラの人気の理由の一つには、ああいう狩猟、採集、栽培サバイバル生活に人間は本能的に憧れてしまうという面があると思います。
ゲームで自給自足サバイバルしてみたいなら現実でもやってみたい人は一杯いるはずという事です。
極端な生き方をすると、誰かが応援してくれる
さて、そろそろ今回の記事の話のポイントに入っていきます。
赤井さんは自分の生活を自分で取り戻して、非常に丁寧な暮らしをしているという事は分かりましたが、いくら家賃がゼロとは言え、年間70万円の生活費をどこから引っ張ってくるのか?という問題に行きつきます。
実は、赤井さんは有料のFacebookグループを運営していて、グループに加入するには月額1000円のサブスクに加入する必要があるのですが、このグループのメンバーが112人います!
つまり、赤井さんには毎月11万円の収入があるという事です。
ここが話のポイントです、つまり、
応援してくれる人が100人いて、それぞれから月1000円ずつもらえればそれだけで生きていける
という事。
赤井さんが家賃を削るためにモバイルハウスを作って住むという極端な生き方を選んだ結果、むしろ毎月11万円もらえてるという事。
これがもしも無難に2万の賃貸アパートに引っ越してたら、それだと普通過ぎて別に誰も応援しようとは思わなかったでしょう。コスパの事ばっかりかんがえてもしょーも無いという事がよく分かります。
それにしても、どうして赤井さんがここまで応援されているのでしょうか?
というのも、モバイルハウスは赤井さんの発明ではありません。以前からモバイルハウスを作ってた人は一杯います。
モバイルハウスは坂口恭平さんの「独立国家のつくりかた」の中ですでに提唱されてました。
モバイルハウスのコミュニティもあるらしく、実際、赤井さんはモバイルハウス制作のワークショップなどを経てモバイルハウスを作りました。
そういう中で、なぜ赤井さんの注目度が高まっているのか?というと、これは推測ですが、なんだかんだ言ってもガチでモバイルハウスだけに住んでる人は赤井さん以外にほとんどいないんじゃないでしょうか。
付け足すと、ちゃんとYoutubeやSNSで活動を発信してる人の中でという条件も付くでしょう。
なんだかんだ、モバイルハウスに本当に住むとなると、困難が多そうです。
坂口さんも、モバイルハウスを作ったまでで満足して、実際に生活したとは著書には書いてませんでした。
マジに2年以上モバイルハウスで生活している赤井さんは、リーダーとして相応しいカリスマを感じます。
ちなみに今ググったら、ミュージシャンの高橋雄也さんという方も2013年から2年ほどモバイルハウスに住んでたそうです。
会社に壊されない生き方 (3)モバイルハウスで得た「生きることへの自信」
というわけで、そんな赤井さんに注目して取材するメディアが増えていったようです。それで私もたまたま昨日Web記事で知ったわけですが。
2020年12月にはザ・ノンフィクションというテレビ番組でも取り上げられています。
そういう感じで知る人は知ってるくらいに知名度が上昇して、サブスク112人に至ったのではないかと推測します。
ユーチューバーで食っていこうと思ったら、Youtubeは広告モデルですから、チャンネル登録数が数十万人とか数百万人とか集める必要があって、みんなにウケるコンテンツを出し続けないと行けなくて大変ですが、ニッチで極端な事をやってても、本当に応援してくれて毎月1000円出してくれるファンさえ100人いてくれればそれで食っていけるという事ですね。
今は112人ですが、まだまだハネる可能性も秘めてるのではないかとも思います。もしも1000人になんてなったら、月収100万円です。夢がありますね。
さて、この記事ではもう少し突っ込んで考えてみたいのは、赤井さんのように、極端な生き方をして、応援してもらって生きていくという手法はビジネスモデルにできるだろうか?という点です。
もちろん、赤井さんは、最終的にこれで食っていけるだろうなんて事を見越してモバイルハウス生活を始めたわけではありません。でももしかするとこのような生き方をビジネスのメソッドとして一般化できる可能性は無いでしょうか。
赤井さんが応援される理由
極端な生き方さえすれば、何でも応援してもらえるのでしょうか?
例えば、「1年間ポテチだけ食って生活する!」とかも極端な生き方ですが、それでサブスクが集まるかと言うと…集まるかもなあ。でもその前に健康を害して死ぬかもしれない。
冗談はさておき、赤井さんが応援されているのは、単に極端だったからだけではなく、応援したくなるような活動だったからかもしれないので、それについて考えてみましょう。
モバイルヴィレッジぼちぼちの活動って結構DASH村っぽいですよね。
日本人はDASH村が大好きみたいですが、さすがに鉄腕DASHは永遠にDASH村やっててマンネリ気味かもしれません。
それに、鉄腕DASHはあくまでテレビ番組です。TOKIOは忙しいからマジで付きっきりで農業やら何やらやってるわけではありません。収録の時だけ訪れている感じでしょう。
その点、赤井さんの活動はリアルそのものなので、新鮮でコンテンツ力が高いかもしれません。
そして、先ほども言った通り、既存の今まで誰もが当たり前だと思っていた暮らし方をひっくり返して実践してみる、というのは社会的にも意義深い実験だと思います。
特に、これは赤井さんもインタビューで語られている事ですが、昨今のコロナ禍で、今までのあたりまえの生活と言うのは根本から揺らぎ始めています。
例えば、人の流れを減らすために積極的にテレワークが推奨されていますが、どうせテレワークで仕事できるなら、もうわざわざ家賃や地価の高すぎる都心に住む必要なんて無くなるわけです。
↓例えばこちらの夫婦も田舎の中古の古民家を600万円(やすい)で買ってリノベして暮らしてます。
要するに、今まで当たり前とされていた暮らし方を見つめ直し始めている人が増えているという事です。
そういう状況ですから、もしも赤井さんの生活実験が大成功して、これぞ安く楽しく人生を生きる方法だ!という事実が実証されれば、もしかするとみんな真似し始めて一大ムーブメントになるかもしれません。
とは言え、じゃあ自分がサブスクしてくれるファン欲しさに赤井さんと同じような生活ができるかと言うと…実際難しいです。
赤井さんは元々ずっとハワイで自給自足生活する事を夢見ていて、そういう態勢を整えていた方でもありますし、ずっと前から心の底からやりたかった生活をやっているからできているのであって、他人が上っ面だけを見て真似しようとしてもそうそうできるものではないでしょう。
というわけで、赤井さんが応援される理由を分析してみました。
まず、自分が心の底からやりたいと思ってる事をやった方がいいという事。
ウケそうだからと言ってやりたくも無い事を始めるくらいなら、普通に労働した方が無難でしょう。
次に、できれば社会に役立つような事をやった方がいいという事。
twitterでは何の役にも立たない無意味なコンテンツがバズリがちですが、いくらRT数が多かろうが、じゃあそれに金を払ってくれるか?というと、くれません。
それから、コンテンツ力がある事をやった方がいいという事。
まあこれについては、何をやろうが大抵はコンテンツになってしまうとは思います。
Youtubeでも誰得なんだよとしか思えないニッチなコンテンツでも界隈では人気だったりします。
マス向けのコンテンツはテレビやユーチューバーがやってますから、むしろニッチで狭くて深いコンテンツの方が少数の熱狂的ファンを獲得できるかもしれません。
タダでもいいから住んで欲しいという土地や家が増えてくる可能性
最後にこの話題に触れておきます。
赤井さんのモバイルヴィレッジぼちぼちの土地は、その土地の地主さんが無料で提供してくれてるそうです。
赤井さんはその地主の方とはモバイルハウスのワークショップでの繋がりの縁があったそうです。
私は「タダで土地を貸してくれるなんて気前がいいなあ」と思いましたが、よく考えると地主の人にとってもメリットのある話なのかもしれません。
土地と言うのは誰も住んでないと、無尽蔵に荒れ果てていきます。タダでもいいから誰かに住んでもらってある程度土地を手入れされた状態で維持してもらえるなら、無料で土地を管理してもらってるのと同じですから、地主にとってもありがたい、お互いウィンウィンの関係となります。(ぶっちゃけヤギかなんかを放しておくという手もあるかもですが、それも誰かがヤギを管理する手間がかかります)
ここでポイントなのが、赤井さん達がモバイルハウス住みだという事です。
私はモバイルハウスの村の話を聞いた時、「移動できるのがモバイルハウスの良さなのに、それで定住するって、だったら家建てた方が良くないか?」と思ってしまいましたが、よくよく考えると敢えてモバイルハウスの赤井さんに住んでもらったのは理由がありそうです。
要するに、モバイルハウスは固定資産では無いという所が重要です。
地主の方がタダでもいいから誰かに住んでもらいたいな~と思っても、そこに家とか建てられると、固定資産税が発生してしまうので困ってしまいます。
これは私の憶測ですが、固定資産になるものは一切建てないのが”ぼちぼち”の土地を提供する条件なのかもしれません。
さらに、赤井さんは近くの耕作放棄された畑も提供してもらっており、荒れ果てた畑を必死こいて開拓し直して、作物を植えています。
これについても、畑の持ち主からすれば、荒れた畑を耕し直してくれて、さらにいつでも耕作可能な状態にメンテし続けてくれる人と言うのは、涙が出るほどありがたい存在だと想像できます。
ちなみにですが、赤井さんがあっさり畑で農業できているのは、赤井さんは大学では農業を勉強していて専門家だったからであって、何も知らない素人がいきなり農業やろうとしても絶望的です。
先ほどリンクを貼った高橋さんという別の方のケースでも、最終的に”カフェの建物と土地をタダで貸してくれる”という方が現れて、高橋さんはモバイルハウスからカフェに移住したそうです。
まあ、家も誰も住んでないとあっという間に荒れ果ててしまいますし、最近では荒れた空き家は固定資産税が爆増するという罰を受けるケースもあります。
というわけで、土地どころか家までも、タダでもいいから住んでくれ!というケースは意外と増えてきてるのかもしれません。
一時期、奥多摩の空き家バンク制度が話題になりました。
空き家をタダでくれるというものですが、私もちょっと注目してましたが、結婚してないといけないやら何やらの資格要件が面倒で諦めました。
さて、ここまで見てくると分かるのが、タダでもいいから住んでくれ!とか、タダで家あげます!みたいなケースが増えてきているという事です。
さらに言えば、今後はますますそのようなケースが増えていくと予想されます。なにしろ日本の人口は急激に減少していってるにも関わらず、マンションはますます増えているからです。都心はともかく田舎や地方都市は、当然空き家まみれになります。
案外、あと数十年もすれば家賃ゼロが当たり前な時代がくるかもしれませんね。
最後に
というわけで、今回の記事ではモバイルハウス暮らしの赤井さんについて書いてみました。
赤井さんは本当に自分がやりたい暮らしをやっていたら、いつの間にかサブスクで応援してくれる人が集まっていた、というものですが、もしかするとこういう生き方は狙って再現できるかもしれない?という視点を添えてみました。
記事の最初にスタートアップの話をしましたが、スタートアップはピボットを繰り返すハメになって、最初に自分がやりたかった事業とは全然違う事をする事になりがちなのに対して、赤井さんの場合はひたすら自分がやりたい暮らしをやってたら、いつの間にかそれで食えるようになったという違いが対照的ですね。
まあ、サブスク暮らしなんてのは、そうそう簡単に誰でもできるような事ではありません。
しかし、とりあえず死ぬまでボチボチ暮らしたいだけの人間なら、多分、スタートアップでガムシャラに頑張ってイグジットを目指すほどには難易度高くなさそうだとは思いました。
とは言え、こういうのって、ユーチューバーもそうだと思いますが、1ジャンルにつき1人しか枠が無いような気がしますので、赤井さんのやってる事をそっくりそのまま真似してもしゃーないと思います。そんな事をするよりは自分の好きな事を素直にやった方がいいでしょう。
ですが、極端に生活費を切り詰めるという方向性は、もしもあまりうまく行かなかったとしても金銭的にはノーダメージなのがいいですね。
サブスクはお金もらえて嬉しいだけでは済まないという点にも注意が必要です。お金を受け取ってしまった以上は、どうしても責任というものが発生してしまいます。
赤井さんはインタビューで「実験でやってるだけなので、この暮らしが気に入らなければやめればいい」と仰ってますが、とは言え112人からサブスクしてもらってる以上は、もし自分だったらもう後には引けないな…と思ってしまう気がします。
話変わりますが、オッドタクシーというアニメでもカバサワというキャラがサブスクでファンを集めた結果、自分の活動がどんどん後に引けなくなっていって過激化してしまうという描写がありましたね。
サブスクでなくとも、グッズ販売とかなら、もらったお金に対して対価のモノを渡してしまってそれ以上は求められずに済みます。その辺は使い分けなのかなと思いました。
参考
↓最近ではモバイルハウスのムック本なんかも出ています。ブームが始まりつつあるのかもしれないですね。