先日こういうツイートを見かけました。

これまでずっと学業に追われていた人が、急に就活しなさいなんて言われても困ってしまうというのはある意味当然かもしれません。

しかし私が思うに、教育のせいでやりたい事がわからなくなったというよりは、教育のお陰で選べないほどの沢山の選択肢を得られたというのが正しい捉え方な気がします。

それは恵まれた話では無いでしょうか。

 

現実的に、高校に進学しなかった人より、大学卒業した人の方が求人の選択肢は多いです。

江戸時代なんかだと、そもそもやりたい事も何も、農民の子は農家を継ぐ以外の選択肢が無かったりしたのではないでしょうか。

選択肢が一杯あって、何にでもなれるというのは素晴らしいことです。

 

さらに言うと、どうしてもやりたい事を持ってる人は、逆に言えばやりたい事に囚われてしまっているという見方もできます。

やりたい事が無い人は、総合的な判断で就職先を探すことができて、ある意味でラッキーかもしれません。

 

という訳で、私なりにやりたい事が無い人のための就職アドバイス的な話を書いてみたいと思います。

 

絶対に働かないといけないのか

学校を卒業したら就職するのが当たり前みたいになってますが、何で就職しないといけないんでしょうか?

働きたくないなら働かなくてもよくないですか?

まずそこから考えてみます。

 

結論から言うと、働かないという選択肢は、原則無いです。

というのも、日本国憲法には国民の三大義務が定められています。

教育、勤労、納税の三つです。

学んで、働いて、納税するのは義務です。

だから特に働けない理由もないのに働かないのは許されません。(働けない理由があるなら生活保護を支給してもらえます)

 

我々はある意味で生まれながらに懲役刑が科せられているようなもんです。

古代ローマの貴族には労働の義務なんて無かったでしょうが、我々にはあります。

働かなければ生活の保障をしてもらえません。

 

しかし、我々が食べるご飯は農家の人達が汗水たらして生産してくれたものです。

それを対価無しでもらおうというのはやはり厚かましい話でしょう。

あきらめて働きましょう。

ここで確認しておきたいのは、やりたい事があろうがなかろうが、とにかく何かしら仕事に就く必要があるようだという事です。

 

でも労働が義務というのは、あくまで原則の話で、例外もあります。実際には働かずに暮らしてる人もいます。

それはお金を持ってる人です。

お金さえうなるほど持っていれば、生まれながらの懲役刑を回避する免罪符になるという事です。

なのでお金を一杯持ってる人はそもそも就職しなくていいよ、という事で話は終わりです。

お金があんま無い人は引き続き読んでください。

 

人生のバックアッププラン

自分がお金を持ってないにしても、何かしらの人生のバックアッププランを持っているかどうかは確認しておきましょう。

バックアッププランと言うのは、いざという時は実家の稼業を継げるとか、親戚のコネで就ける仕事があるとか、そういうのです。

無職になっても親のすねにかじり付いて暮らせる見込みがあるというのもいいバックアッププランです。

 

このようなツテはいきなり使わずにあくまでバックアッププランとして取っておいた方がいい気がします。

バックアッププランが無い人は後が無いので安牌な仕事を選ばざるを得ませんが、バックアッププランがある人はリスクを取りに行けます。

リスクを取れば得られるリターンも大きくなります。

 

漫画とかでよく都会のチンピラが色々あって更生して田舎の実家に帰って家業を継ぐみたいな展開がありますよね。

そのチンピラ君は、逆に言えばそういうバックアッププランを持ってたからこそ都会でテキトーにチンピラやってナメた暮らしをしていられた訳です。

何のバックアッププランも持ってない人がそういうチンピラに影響されて真似すると、人生詰んでしまうので、真似するなら自分と同じような境遇の人がいいと思います。

成功者の自伝を読んで真似しようと思った時も、自分との境遇の違いは考慮すべきです。

 

漫画家の島本和彦先生の父は、アイビックという会社の社長だそうです。

漫画家はリスクの大きい仕事ですが、いざという時は父の事業を継ぐというバックアッププランがあったので漫画家の仕事に打ち込めたのかもしれません。

漫画家として成功してるのに継いでるのは、バックアップと言うより継ぐ責任があったからかもしれませんが。

 

ちなみに、親の遺産をかなり相続できそうな見込みがある人は、はっきり言って老後の貯金の心配はあんましなくていいですよね。

それなら貯金に回すより投資したりなどリスクを取って大きいリターンを狙いに行けます。

 

どうでもいい話ですが、私は子供の頃もらったお年玉をほとんど貯金していましたが、今では後悔しています。

子供の頃の1万円は大人になってからの10万円くらいの価値がありました。

子供の内に使っておいた方が絶対に良かったです。

つまり歳を食うほどお金の価値は薄くなるという話です。

 

四季報を読もう

やりたい事が分からない原因の一つとして、世の中にどんな仕事があるのかよくわかってない、つまり自分の持っている選択肢を把握できてない場合があるかもしれません。

そんな時は四季報を読んでみましょう。

四季報には日本の上場している株式会社が2千社以上カタログされています。

 

四季報を見れば、世の中にどんな種類の商売があるのか、どの業界が儲かってるのかがわかります。

財政の健全性を調べれば、すぐには倒産しそうにない会社なんかも見分けることができます。

社員の平均年収も載ってますよ。

仕事にこだわりが無いなら平均年収の高い順に会社を受けてみるという手もあるかも?

 

しかし、書籍の四季報は各社のデータの比較検討したいときは不便です。

例えば社員一人当たりの売上高の高い企業を上から並べようと思ってもできません。

そんな時はWeb版の四季報からデータをスクレイピングしてCSVに吐き出してエクセルで開いて分析すると便利かもしれません。

【Webスクレイピング】PythonでWeb上の会社四季報データを取得してみた

 

株のトレードをやろう

インベスターZで、就活に成功したければ株をやれ!という話が出てきます。

何故ならば、就職と言うのは企業に自分という資本を投資する事だから、どの会社に投資すべきかは株の売買をやってればわかるようになるという。

たしかに一理あるかもしれません。

 

株の売買は自分のお金が減ったり増えたりするわけですから、誰だって真剣に研究してよく吟味して売買するでしょう。

そうすればどんどんいい企業とダメな企業を見分けられるようになります。

 

まあ必ずしも株主にとっていい会社と社員にとっていい会社が一致するとは限りませんが。

だって株主目線だと、社員の給料減らしてもっと株の配当を増やせ!とか余計な社員はリストラしろ!とか思うでしょうが、社員の立場だとたまったもんじゃないでしょ。

 

インターンでバイトしよう

ぶっちゃけた話、学生に自分のやりたい仕事なんてわかる訳ないかもしれません。

大抵の仕事は実際に就職してみる以外にどんな仕事か体験する手段が無いからです。

やった事無い事をやりたいともやりたくないとも思えないでしょう。

 

バイトすればわかるのでは?と思われるかもしれませんが、コンビニもファミレスもバイトと社員では求められるものがまったく違ってきます。

というかむしろ、バイトに社員と全く同じ業務内容を求める企業があったら問題です。

働き方改革で「同一労働同一賃金」のルールが導入されましたからね。

 

しかし、スタートアップやベンチャー企業では、インターンの学生バイトも重要な戦力として求められている場合があります。

社員の実務に近い仕事ができるので、自分に合う仕事を探すのにインターンでバイトするのはアリかもしれません。

 

学生の内に起業してみよう

やりたい事がわからないというのは、単に企業のビジネスと自分のやりたい事がマッチしていないという事かもしれませんね。

もしもバイトしないで学生生活を送れるような経済的余裕のある人なら、在学中に自分でビジネスを始めてみるのはどうでしょうか。

 

起業と言っても株式会社を設立するような大掛かりな資金や手間をかける必要は必ずしもありません。

ちょっと試しにブログを書き始めてみるとか、Webサービスを開発してみるとか、それくらいなら十分学業と両立できるのではないでしょうか。

 

ビルゲイツはハーバード大学在籍中に同級生のポールアレンと一緒にBASICインタプリタを開発しました。手間はかかってますが、元手はあまりかかってません。

スティーブジョブズは高校時代にウォズニアックと一緒にタダで(違法)電話をかけられる装置を開発して売りさばいて大儲けしていたそうです。

 

けんすうさんという方は、学生時代にしたらば掲示板を運営して、ライブドアに売却しています。

けんすう氏が語る“遊びが仕事になる”時代の事業の作り方

 

学生の内にビジネスをやるメリットは、大学自体が色んな得意分野を持った人達が集まってるコミュニティなので、多様な能力を持った人達を集めやすいです。

もちろんビジネスが上手く行かない可能性だって大いにあります。

しかし、上手く行かなければ普通に就活すればいい話です。

学生起業する事で、新卒チケットがバックアッププランとして機能するので、失敗を恐れずに挑戦できます。

 

とにかく、将来やりたい事がわからないなら、今の内に色々やってみて、自分が何に向いているのか確かめるのが手っ取り早いです。

やってみないと分からないですからね。

 

新卒チケットを最大限行使しよう

日本の就活においては新卒チケットは物凄い価値があります。

新卒チケットは基本的に人生に一度しか使えません。

どうせなら効果的に行使するのがオススメです。

 

バイトやインターンをしていると、「卒業したら是非入社してくれ」と言ってもらえる事がよくあります。

しかしベンチャー志向の人や起業するつもりの人でも、どうせなら就活して新卒チケットで大企業に入ってみるのがオススメです。

ぶっちゃけ、ちょっとした社会勉強のつもりで1年働いてみるくらいの軽い気持ちでもいいと思います。

と言うのも、大企業で働いてみないと分からない事も多いからです。

どのような組織づくりをしているのか、コンプライアンス体制はどうなっているのか、内部から調べる絶好のチャンスです。

案外自分に合ってるなと思えばそのまま働き続ければいいですよね。

新卒で大企業に入ってからベンチャーに転職するのは簡単ですが、新卒でベンチャーに入ってから大企業に中途採用で入るのは難しいかもしれません。

ついでに言うと、大企業に在籍していたという肩書があとで転職時などに効いてくる事もあるかもしれません。

先ほどのけんすうさんも、学生時代にしたらばを売却した後は、新卒でリクルートに入社されています。

 

大企業に入りたくても就活に失敗してしまったら、その時はバイトやインターンのツテで就職すればいいじゃないですか。

ここではインターンのツテがバックアッププランとして機能します。

就活していて気持ちがつらくなるのは、お祈りメールをもらうたびに「あなたは必要ない」と自分を否定された気持ちになる所です。

色んな企業からお祈りメールをもらってると、自分は誰からも必要とされてないのか…と憂鬱になってきます。

「卒業したらおいでよ」と言ってくれるツテ、自分の居場所が一つでもあれば、ダメだったらそこに入ればいいやと安心できて就活の気持ちがラクになります。

 

残業の無い会社に入ろう

私は残業は嫌いです。

残業代をもらえようがもらえまいが、残業はしたくないです。

 

四季報を見れば平均年収の多い会社は分かりますが、実態は単に2倍働かされるから2倍もらってただけという可能性もあります。

就活先の会社が残業多いのか少ないのか、どうやって見分ければいいのでしょうか?

面接の時に残業があるのかどうか面接官に訊いてみても、はぐらかされて分からなかったりします。

確実なのは、面接の帰りにでも会社の前に張り込んでみる事です。

一時間おきにでも社屋を覗きに行って、18時にほとんどの部屋の電気が消えてるようならホワイトでしょう。

終電までまったく電気が消えないような会社はブラックな可能性が高いです。

 

ちなみに霞が関の省庁では終電後も電気が消えないそうです。

#高度プロフェッショナル制度 の近未来は霞が関不夜城=過労死・うつ病と隣り合わせの国家公務員

 

入社してみないとわからない

結局のところ、やりたい事があって就職できても、やりたい仕事の部署に配属されるとは限りません。

私はゲーム開発がしたくてゲーム会社に新卒入社しましたが、配属されたのはデバッグのアルバイトを管理する部署でした。

やりたい事があって就職したのに、違う仕事をする事になったらどうしますか?

私は転職しました。(なんだかんだデバッグ管理の経験は今でも役立っています)

 

下手にやりたくない仕事のキャリアを積んでしまうと、転職時にもそれまでのキャリアに引っ張られる可能性が高いです。

したくない事をずっとやってると、ますますしたくない事を続けるハメになる負のサイクルに突入します。

早めに転属させてもらえるような見込みが無ければさっさと転職するのもアリかもしれません。

ここまでの記事を実践された方なら何がしかバックアッププランを用意しているでしょうから、安心して新しいことにチャレンジできますね。

 

もちろん、やりたかった仕事とは違うけどやってみたら結構自分に向いてたりするかもしれませんよね。

結局は何事もやってみないとわからないという事です。

 

まとめ

バックアッププランがあれば色々な事に挑戦できるし、色々な事に挑戦すればバックアッププランが増える、そして色々やってみる事ではじめて自分が何がやりたいのかわかってくるという事ですね。

是非色々な事にチャレンジしてみてください。