「A Short Hike」についてはこの前記事を書いたばっかですが、考えれば考えるほどよくできたゲームだな~と思い始めたのでまた続きを書きます。
ところで、私は子供の頃はRPGが好きで、ドラクエとかFFとかポケモンとかやってました。
しかし、大人になるとあんまRPGをプレイしなくなりました。
なんで?というと、RPGは戦闘が面倒くさいというか時間の浪費に感じるからです。
自分でRPGをプレイするのが面倒ですから、最近は外出中とかにvTuberのFFプレイ実況とか観たり(観るというかほぼ聴いてるだけ)してます。
昔遊んだことがあるので聴いてるだけで情景が浮かんでくるので、ずっと画面見なくても聴いてるだけで大体分かるので、散歩しながら聴けるので良いですね。
実況主が台詞をキッチリ読んでくれるのも助かります。RPGはテキストボリュームがやばいので読み上げるのは大変だと思います。
しかし、実況動画観てるだけでもやはりRPGの戦闘部分は正直かったるいですね。
というわけで、もし自分が作るならRPGの戦闘要素は入れたくねえな~とか思ったりしますが、かと言って単にRPGから戦闘を抜いちゃうと虚無になるだけかもしれません。
じゃあ戦闘の代わりに何を入れればええのん?
それは謎でした。
そんななか、「A Short Hike」はたった1時間ほどのプレイでRPG並みの達成感を与えてくれる事に気付きました。
A Short Hikeには戦闘要素なんて無いのに、どうしてそれが可能なのか?
という事は、「A Short Hike」と普通のRPGを比較してみると、どうやれば戦闘が無くてもRPG的な満足感があるゲームが作れるか分かるかもしれません。
というわけで早速考えてみましょう。
普通のRPGの流れ
まず、典型的なRPGの目標は、要するに魔王とかの強大な敵を倒す事です。
主人公は最初はレベル1で弱っちいので魔王を倒せません。
ですから、旅をしてモンスターを倒して経験値を稼いでレベルが上がる事で強くなれます。
レベルが上がるとそれまで苦戦していたモンスターでも容易に倒せるようになって、自分が強くなった事が実感できて、気持ちいいです。
レベルを上げる以外にも、探索して宝箱から強力な武器や防具を見つける事でも強くなれます。
とは言え、先に進むともっと強い敵が出てきてまた苦戦します。
苦戦→レベルアップ→気持ちいい の繰り返しです。
プレイヤーは自分がどれくらい強くなったかを、レベルの数値を見て確認できます。
最終的には超レベルが上がったおかげで魔王を倒す事ができて、最高に気持ち良くなってゲームは終わります。
以上が一般的なRPGの流れです。
「A Short Hike」の流れ
A Short Hikeの目標は、山頂に登る事です。
主人公は最初はクライミング能力が無いので山頂に登れません。
ですから、マップを探索してお金や貝殻を集めて黄金の羽根を手に入れる事で握力が上がって高い崖を登れるようになります。
羽根が増えるとそれまで登れなかった高い崖の上に登れたり、高い場所から遠くまで滑空できるようになって、自分が強くなったことが実感できて、気持ちいいです。
とは言え、山を登っていくうちにもっと高い崖が出てきてまた苦戦します。
苦戦→羽根が増える→気持ちいい の繰り返しです。
プレイヤーは自分がどれくらい強くなったかを、自分の現在地の高さを見て(あるいは獲得した羽根の枚数を見て)確認できます。
最終的には超握力が上がったおかげで山頂に登頂できて、最高に気持ち良くなってゲームは終わります。
これがA Short Hikeの流れです。
いかがですか?こうして見るとRPGとA Short Hikeは戦闘がクライミングに置き換わっただけで、流れが完全に一致している事が分かります。
これは以下のように一般化できるでしょう。
RPG性のあるゲームの流れ
ゲームには何かの大きな目標が用意されているが、主人公は最初は能力が弱いので目標を達成できません。
ですから、主人公は旅、あるいは探索を行って、隠されているアイテムを手に入れて能力がアップします。(A Short Hikeには探索と発見の要素はありますが、レベル上げ的な要素はありません)
能力アップする事で、それまで不可能だった事ができるようになる。あるいは苦戦していたことが容易にできるようになります。
プレイヤーは自分が能力向上した事が実感できて気持ちいいです。
ですからプレイヤーはもっと気持ちよくなりたいと思って同じ流れをひたすら繰り返します。
苦戦→能力アップ→気持ちいい の繰り返しです。
プレイヤーは何らかの方法で自分がどれくらい能力向上したかを確認できます。
そして最終的には超強くなったおかげで目標を達成する事ができて、最高に気持ち良くなってゲームは終わります。
要するに、どんどん強くなってどんどん気持ち良くなるという流れこそがRPG感を生み出すという事です。
RPG性の無いゲームの流れの例
RPG性を持たせる事に失敗しているゲームの例を考えてみます。
例えば、主人公が閉じ込められていて、マップを探して10個のカギを見つける事でドア(カギを10個差し込まないと開かないドア)を開けて脱出できるというゲームはどうでしょうか。
探索してアイテムを集めて最終的に目標を達成する…という流れは一見RPGやA Short Hikeと同じです。
しかし、これでは気持ちよさが得られません。
この例ではカギを拾っても主人公がパワーアップしたりしないのでRPG感が出せてません。
単に10個カギが隠されてるだけ、じゃなくて、例えばまず銅のグローブを拾うと銅の壁がパンチで壊せるように、次に銀のグローブを拾うと銀の壁が壊せるように…みたいな感じにすれば、多少は主人公がどんどん強くなってく感が出せて多少はRPGっぽくなるかもしれません。(ちょっとまだ子供だましっぽいけど)
風ノ旅ビトの例
具体的に他のゲームの例があるのかよ?と言われると、例えば風ノ旅ビトもミニマルなゲームながらも達成感を感じるゲームですが、RPG的に似たような流れを持ってます。
主人公はマップを探索してパワースポットを見つける毎にマフラーが伸びてって、滑空の滞空時間が増えます。
遠くまで滑空できるようになると気持ちいいですし、攻略も簡単になります。
プレイヤーはマフラーの長さを見れば自分がどれくらい強くなったかを確認できます。
最終的にはゴールについて、最高に気持ち良くなってゲームは終わります。
ただし、風ノ旅ビトは、A Short Hikeに比べるとRPG性が弱い部分もあります。
まず、何となく流れでどんどん先のステージに進んでくだけで、目標が何なのかプレイしててよく分かりません。
そして、パワースポットの入手は任意で、ぶっちゃけパワーアップしなくてもクリアできるので、パワーアップと目標達成の因果はあんまり結びついてません。
ですから、最高にパワーアップしたおかげで目標達成した…という感じにはならないので、そういう気持ちよさにはなりません。ただ、風ノ旅ビトはRPG的な気持ちよさが薄くても映像とかの演出でバキバキに盛り上げて気持ちよくクライマックスに向かいます。
塊魂の例
塊魂は全然RPGではありませんが、今回の話で言うとRPG性を持ってます。
塊魂では自分の塊よりでかい物体を巻き込もうとするたびにRPGの流れが発生します。
ゲームの大きな目標は塊をでかくする事ですが、とりあえずの目標はでかい物体を巻き込む事です。
主人公は塊が小さいので目標を達成できません。
ですから、ひとまず塊より小さい物体を巻き込んでいく事ででかくなっていきます。
でかくなっていくほど今まで巻き込めなくて苦戦してた物体が巻き込めるようになってくので、自分が強くなっていく事が実感できて気持ちいいです。
ですからプレイヤーはもっと気持ちよくなりたいと思って同じ流れをひたすら繰り返します。
プレイヤーは塊のでかさを見ればどんだけ強くなってるかが確認できます。
最終的には時間切れになってゲームは終わります。
こうして見ると塊魂は相当よくできたRPG性ですが、ただ、そのままだとエンドレスなゲームになっちゃうので制限時間が付けられていて、時間が来たらスッと終わらされてしまうので、最高に気持ち良くなる終わり方というわけではない気がしますね。
おわり
というわけで、戦闘要素の無いミニマルなゲームでもRPGっぽい満足感が得られるゲームを作るには、最低限どういう流れがあればいいのかという話でした。
ちなみに、A Short Hikeでは今回説明した要素以外にも、例えばNPCと会話したりクエストこなしたりする要素がありますが、そういう要素は果たして必須なのか?とかは議論できてませんね。
まあ普通に考えると、A Short HikeにもしNPCが不在だったらかなりさびしいだろうと思うので、いるに越した事は無い気がします。
ですが、例えば風ノ旅ビトにはNPCはいなかったと思うので、いなけりゃいないでアリだったのかもしれませんが…(まあ風の旅ビトにはその分マルチ要素があるし)
とりあえず私は今回考えた事を元に何かアイデアを練ってみようかなと思ってます。