こんにちは、海行です。
前回の記事を書いてから、だいぶ間が開いてしまいましたが、その間に私はHTC Vive向けアプリケーション「Artstage」を開発して、Steamで早期アクセスリリースしました。
こちらのストアページから購入できます。
http://store.steampowered.com/app/523050/
ブログをご覧になってくださってる方には、話がいきなりすぎて何のこっちゃと思われるかもしれませんが、色々あってこうなりました。
Artstageの紹介記事の代わりに、Artstage早期アクセス開始のおしらせのプレスリリースをアップしました。
【プレスリリース】VR総合編集アプリケーション、ArtstageがSteamにて早期アクセスリリース開始【HTC Vive対応】
個人で開発してる私がプレスリリースなどを打つ必要が何故あったのか。
私もこれまでにAndroidアプリやなんかを色々リリースしてきましたが、初めてSteamで自作アプリを本格販売するにあたって、やはり攻めの広報が要求される事を実感しました。(今まで知らなかっただけでフリーゲームなんかでもプレスリリースは効果的だと思います)
この記事のタイトルを見ると、あたかも私が広報のプロであるかのようですが、実際には昨日まで広報のこの字も知らなかったような素人です。
しかし、もしあなたが広報について意識した事のない個人開発者であれば、この記事は広報社員を雇ったのと同じくらいのインパクトをあなたに与えるかもしれません。
いきさつ
7月17日に秋葉原で開催された「Unity VR EXPO AKIBA」で「Artstage」のデモ展示を行いましたが、その時に体験してくださった記者さんが、「記事を書きたいので、是非プレスリリースを送ってください!」とおっしゃいました。
私はこういう展示会での記事って、記者の人が色々デモプレイして写真を撮りまくって体験レポート記事を書く感じの記事しか想像できませんでしたし、プレスリリースって企業が自サイトでリリースしたアプリについて書いてたりする奴でしょ…あれを私が書いて記者さんに送る…?
この時はどうしたらいいのかあまりイメージがわきませんでした。
しかしその後、たまたまtwitterのタイムラインでプレスリリースの事が話題になってるのを見かけました。
あなたが開発した同人ゲーム・フリーゲーム・インディーゲームについて、ゲームメディアやレビューサイトにそのニュースリリースを送らない・送るのに気が引ける理由はなんですか。(リプも募集)
— Ichijo@デジゲー博 E-19b (@Takaaki_Ichijo) September 10, 2016
@xlvme 私はニュースリリース文を見よう見まねでPDF作って、問い合わせ窓口からポストしたところ、いくつかのサイトに載せてもらえました。もちろん無料です。
— Ichijo@デジゲー博 E-19b (@Takaaki_Ichijo) September 10, 2016
インディーとプレスビルドの話のおまけ。プレスリリースにキーがついてたりするとわからない部分をすぐ確認できるからありがたいことはある(あとスクショが使い物にならない時とかね)。でもプレスリリースのコピーで書いちゃう人も多いから費用対効果は不明。売っちゃうバカもいるし。
— Mill Yoshi (@ntheweird) November 2, 2015
インディーのプレスリリースはこれ使え。英語しかないけど、プレスリリース書く段になってまとめるのではなく、これを更新しつづけてくれればいいよ。海外のインディーはだいたい使っている https://t.co/mtdxIHLtCM
— *死に舞 (@shinimai) September 11, 2016
小規模ゲーム制作者でもできる、プレスリリースとプレスキットの作り方 – Togetterまとめ
「EYERESH for ニンテンドー3DS」(16/10/11までセール中!)のプレスリリース配信経験まとめ – Togetterまとめ
これらの方々のツイートからわかったのは、
・インディーゲームを作ったらニュースメディアにプレスリリース送ると掲載してもらえる
・海外インディーゲーム開発者ではプレスリリースは常識?
・海外インディー開発者は大体presskit()使ってるらしい
なるほど…なんか海外じゃみんなやってる!と言われると私もやりたくなってきました。
でも結局、プレスリリースってなに?
プレスリリースとは何なのか
私はゲーム会社に勤めてた事などもありますが、広報の人たちがどんな仕事してるかについては全く知りませんでした。
会社のホームページを運営してるのかな?くらいに思ってました(実際は会社のホームページって結構外注だったりします。内製より外注の方が安くつくのかな?)
でもこちらのページなんかを見てみると、広報の仕事で真っ先に上げられてるのはプレスリリースの作成です!
広報ってどんな仕事内容なの?|お仕事ガイド
どうやらプレスリリースは広報において相当重要な役目があるみたいですね。
しかし、そもそもプレスリリースって何なのでしょうか。
ここでちょっと想像して欲しいのですが、いわゆるメディアと言われる新聞やネットニュースサイトには記者さんがいて、日々記事を書いてます。
記事を書いたり取材にでかけたりするにしても、記者さんは一体どこからニュースのネタを手に入れるのでしょうか?
ここで言うニュースとは天気予報とか地震情報とか警察の事件のニュースじゃなくて、新製品とか研究所の新発見とかイベントのお知らせのニュースの事です。
ググる?いや、ググッて出てくるような記事を書く方々だから違うでしょう。
色んな企業に毎日電話かけて、何かニュース無い?と訊いてみるのでしょうか?しかしこれではきりがありません。
実際のところ、企業の方から自社の新発売の製品や、新しいサービスの情報を各メディアに投げてるのです。
つまりその情報をまとめた文章がプレスリリースだという事です。
例えばこちらのページにはNPOの場合のプレスリリースの作り方が書かれてます。
プレスリリースの作り方~出来上がりの記事を意識しよう
こちらによれば、
プレスリリースができたら、知り合いの記者や関係するメーリングリストなどにメールし、報道各社にもファクスしましょう。新聞の場合、社会部や経済部、政治部などに、出版社は雑誌の編集部にわかれていますがそれらのファクス番号は代表番号に電話すれば教えてくれるでしょう。ローカルの場合は、地方の支局にファクスをしましょう。
なんて書かれてます。
つまり記者が会社で座っていたとしても、色んな企業・団体からプレスリリースが送られてきて、記者はそれらを取捨選択して記事にまとめればOK!という仕組みなのです。
という事は、もし我々が新しいゲームを発売して、「マスコミやメディアの記者さんは情報に聡いから、向こうの方から取材を申し込みに来るだろう」とか受け身で構えてたら、記者さんの方も「素晴らしい製品が作られたら当然プレスリリースが送られてくるだろう」と受け身になってるかもしれません。(もちろんアクティブに攻めまくってる記者の方もいると思いますが)受け身同士が接触する可能性はゼロだと察しが付きます。
これではせっかく作ったゲームが見つけてもらえない!マズい!
世の中にゲームって何千タイトルもあるのに、何もしなけりゃメディアさんには見つけてもらえん。
儲けが云々より、自分のゲームで楽しんでくれる人は多いほど良い、というイメージ。
予算バカバカ使って広告して、こちらが遊んで欲しいと思うプレイヤー以上に情報を届けるつもりはないなー。— Ichijo@デジゲー博 E-19b (@Takaaki_Ichijo) September 10, 2016
私も「Artstage」の事を広く伝えたい!メディアに取り上げてもらいたい!と思い、プレスリリースを作成する事に決めました。
プレスリリース作成、送付
先のツイートによれば、プレスリリースの前にプレスキットを作成すると記者の方にとってありがたいという情報がありましたので、プレスキットを作成しました。
プレスキットとは何かと言うと、インディーゲームなどを紹介してもらうのに、ゲームのロゴやアイコン、スクリーンショット、記事作成に必要な情報をまとめたページです。
プレスリリースも大事やけど、先に「これ読んだら全部分かる」っていうプレスキットを用意するの超大事です。受けた側がいちいち調べなくても良いくらい全部揃ってるのを作りましょう。dreepsさんのプレスキット、メッチャ参考になりますよ。 https://t.co/D48cngFcnR
— Shuhei Miyazawa (@room_909) September 10, 2016
これがあれば、記者の方はわざわざプレイしてスクショ取ったりしなくても記事を書くのが容易になります。
presskit()を使ってプレスキットを作るのが海外インディーのデファクトスタンダードとの事なので、それに倣いました。
こちらが完成した「Artstage」のプレスキットです。
http://soysoftware.net/press/sheet.php?p=Artstage
dreepsさんのプレスキットに倣って、海外のメディアにもアピールできるように英語と日本語を併記しました。
presskit()の使い方の紹介については、長くなるのでまた別途記事にまとめたいと思います。
さて、プレスキットも出来たので本番のプレスリリース作成です。
プレスリリースはどうやって書けばいいのか?というと、色んな企業サイトで新作アプリのプレスリリースなどが掲載されてるので、そういうのを参考に書きました。
【お知らせ】この週末は業界各所でプレスリリースの書き方とかが話題だったので、弊社がスマホアプリをリリースした時の書類をアップしました。【9月12日:他のみなさんのまとめを追記しました】https://t.co/xSmTMIqp28 pic.twitter.com/yc9EZT4Dvh
— 株)クアッドアロー公式 (@QuadArrow_01) September 12, 2016
さてさて、リリース文章が書けたらついにメディアに送付してみましょう。
自分で各メディアにプレスリリースを送る以外にも、プレスリリース配信サービスを使って色んなメディアに一斉配信してもらう手もあるみたいですが、配信サービスは料金がお高いみたいなので、今回は自分でやる事にしました。
しかし、どのメディアに送るべきでしょうか?
VRアプリのリリース情報を、音楽ニュースのナタリーに送ってもしょうがないので、掲載してくれそうな感じのところに送るのがいいでしょう。
私は国内のVRニュースサイトに一通り送ってみました。
窓口はどこなんだろう?と最初戸惑いますが、サイトの下の端とかに「Contact Us」とか書かれてるリンクがあって、「リリースの送付先はこちら」と言うような感じでメールアドレスが書かれてるかもしくはお問い合わせフォームがありますので、そこからプレスリリースを送りました。
せっかくSteamでワールドワイドに販売しているアプリなので、国内サイトの次は海外サイトにも英訳したプレスリリースを送ってみました。
結果
花金の夜というタイミングでプレスリリースを送ったにもかかわらず、ありがたい事に早速掲載してくださったサイトがありました。
VR空間で3Dモデルを編集・制作!HTC Vive用ソフト「Artstage」Steamで早期販売を実施中 https://t.co/ls1gorKhsV #panora #HTCVive pic.twitter.com/vewtXRFcKR
— PANORA (@panoravr) October 21, 2016
正式版リリース時は価格を変更予定のようで、試すには今か?https://t.co/x5fvciEIhY#Artstage #Steam
— VR Inside (@VRInside_) October 22, 2016
やはりプレスリリースを送る事でメディアの方に自分が作ったアプリを発見してもらう事が出来る事が実証できましたね!
これから他のメディアも取り上げてくださることに期待してます!
さて、プレスキット作成からプレスリリースの送付まで、色々試行錯誤があって何日間も開発に手を付けられず、広報活動に明け暮れるはめになりましたが、それだけの価値はあったと思います。
みなさんも是非プレスリリースによる広報活動をマスターして自作ゲームやアプリをたくさんの人に知ってもらいましょう!
プレスリリースの頻度
一発プレスリリース打ってみて思ったのは、次に打てるのはいつだろう?という事。
例えばアプリを更新する度にプレスリリース流したりしていいんでしょうか?
たしかな事はわかりませんが、自分が記者の立場になってみれば、例えば毎日つまらない事でプレスを送られてきたらうざいな~と思ってメルアドをスパム扱いにしちゃうかもしれません。そうなったら二度と見てもらえません。
ニュースメディアというのはあくまでニュースを届けるメディアであって、企業の広告をタダで載せてくれる所ってわけでは無いのです。
広報活動なら記者との信頼関係を築くのが大事なので、プレスリリースも常識的な頻度に抑えるのが良さそうです。
送ってみて取り上げてもらえなかった場合に、もしかして気付かなかったのかな?と念押しでもう一回だけ送ってみるくらいならセーフかもしれません。
どういうタイミングならいいのか?と言うと、例えばクラウドファンディングなら、まずクラウドファンディング立ち上げの時に一回。クラウドファンディング成功時に二回目、製品完成時に三回目。という感じで三回チャンスがある感じみたいです。
私の「Artstage」はSteam早期アクセスなので、次は正規リリース時のタイミングでプレスリリースチャンスがあるかな?というくらいの感じではないでしょうか。
おわり
いかがでしたでしょうか。
素人が推測交じりで言ってる箇所もあるので、イマイチ内容の正確さに自信が無いです。もし間違ってる所などありましたらご指摘ください。