こんにちは、海行です。
先日の記事↓でチラッと触れたpresskit()について、使い方をザックリ書いてみます。
個人開発者はプレスリリースを書くのか?ひとりでも無料で出来る広報活動
プレスキットとは何か?そしてpresskit()とは?
プレスキットとは何か?goo国語辞典によると、
- 記者会見などで、取材の便宜に供するために種々の材料をそろえて、あらかじめ報道関係者に配布される参考資料一式。
との事。
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/196473/meaning/m0u/
こう書かれると紙の資料みたいなイメージですが、プレスキットというワードでググると色々な企業ページでプレスキットがwebページとして提供されており、企業情報をまとめた資料やロゴ、アイコンなどがまとめられてます。
今回作成するプレスキットはこんな風にwebページに自分たちの情報を取りまとめて、一種のテンプレとして、メディアの記者の方が記事を書くのを助ける物を指します。
で、インディーゲーム開発者さんがプレスキットを作成するのを容易にして、開発作業に注力させてくれるものがpresskit()です。
http://dopresskit.com/
つまり簡単にプレスキットを作成できるWebアプリですが、PHPの知識が無くてもXMLを編集していくだけで簡単に必要な物が一式整ったプレスキットを作成できるという体になってます。
海外のインディー開発者の間ではこれを使うのがデファクトスタンダードになっており、メディアの方々もこれを使って欲しいと推してるらしいです。
例えばデジカさんは自社でゲームのパブリッシュを行ってますが、その全てのゲームのプレスキットをpresskit()で作成されてます。
http://press.degigames.com/index.php
これはもう試すしかない!
というわけで、早速presskit()を使ってみましょう。
presskit()に必要な物
何がしかの形でWebサーバが必要になります。PHPが動かせる環境も必要です。
xmlを編集するのでhtmlの知識があると良いと思います。
presskit()のインストール
presskit()のページからdopresskit_install.zipをダウンロードしましょう。
http://dopresskit.com/
ちなみにマニュアルPDFも用意されているので、英語が読める人はこの記事はもう閉じちゃってマニュアルを読んだ方が確実です。(笑
ダウンロードしたzipを解凍して、中にあるinstall.phpをWebサーバのどこか空のディレクトリに設置しましょう。
ブラウザからURLでinstall.phpを開くか、ターミナルで叩いて実行しましょう。
うまく行けば、必要なファイル一式がダウンロード、展開されてインストールされます。
index.phpもできているので、ブラウザで開いてみましょう。
するといくつかの必須作業が要求されるページが開きます。
・install.phpと同じフォルダにある_data.xmlを正しい情報に書き換えてください。
・header.pngをimagesフォルダに入れてください。(幅1200pixel、縦は240pixelまで)
・imagesフォルダに何かpngファイルを入れてください。(入れたpngファイルはImagesとして自動的に表示されます。)
とりあえず仮素材などでもいいので指示に従って作業すると、次の指示が表示されます。
・やったね。最後に_data.xmlをdata.xmlにリネームしてください。終わったらブラウザをリフレッシュしてください。
・あと、セキュリティ上の理由でinstall.phpを削除またはリネームしてください。
これであなたのプレスキットが表示されます。完成です!やったね!
必須作業以外にもオプションの作業もありますが、これらも後でやっておくといいと思います。
・全てのimages画像をimaze.zipという名前で圧縮して、imagesフォルダに置いてください。自動的にダウンロードリンクが表示されます。
・imagesフォルダにlogo.pngとicon.pngをアップしてください。ロゴ、アイコンとして自動的に表示されます。
・logoやアイコンのサイズバリエーションをまとめてlogo.zipという名前で圧縮してimagesフォルダに置いてください。自動的にダウンロードリンクが表示されます。
・.movファイルや.mp4ファイルをtrailersフォルダに入れてください。これらのダウンロードリンクを表示するには_data.xmlを編集する必要があります。trailerエントリに<mov>タグ、<mp4>タグが必要です。
↑私は動画はサイズが大きいのでtrailersフォルダには入れずにyoutubeに上げました。youtubeの動画も埋め込み表示できます。ダウンロードリンク表示のためにこの作業が必要になるみたいです。
・トラフィックを追跡するのにGoogle Analyticsを使いたい場合は、_data.xmlファイルに<analytics>あなたのプロパティID</analytics>という記載を追加してください。
↑私はこれはスキップしました。
ただ注意点として、ここで作るプレスキットは、ゲームなどのプロダクトについてじゃなくてデベロッパーについてのプレスキットとなります。
このページの下に各プロダクトのプレスキットが並ぶ感じになります。
では次に、プロダクト用プレスキットを作ってみましょう。
_templateという名前のフォルダがあるので、これを複製して、フォルダ名をあなたのプロダクトの名前にしてください。
フォルダの中には例によって_data.xmlがあるので、中身を編集してdata.xmlに変更してください。
プロダクト用のImagesファイルは、プロダクトのフォルダの中にまたimagesフォルダを作ってその中に入れれば表示されます。
これで、プロダクトのプレスキットの完成です。
親のプレスキットのReleases欄に各プロダクトのプレスキットが表示されてると思います。
presskit()のインストール作業は以上です。
お疲れさまでした。
カスタマイズ
これで終われれば良かったんですが、実際やってみると、色々と調整したい箇所が出てきます。
例えば電話番号は要らないなあと思ってdata.xmlから<phone>のタグを無くしても、項目は消えません。(記述しなければちゃんと消えてくれる項目もあります)
こういう場合は残念ながらphpをいじって何とかするハメになります。(別に気にならなければOKですが)
デベロッパー情報の親プレスキットの表示をいじる時はindex.phpを、各プロダクト用プレスキットの表示をいじる時はsheet.phpを書き換える感じになります。
微妙にバグっぽい挙動の記述もあったりします。
デファクトスタンダードなのに…好意で無料で提供してくださってる物なので文句を言うべきではないですが。
私の場合は何をどう調整したか、手探りでトライアンドエラーしまくったので、よく憶えてません。
各自、頑張ってください。ソースをよく見ると読み解くのはあまり難しくないので、何とかなる…と思います。
distribute()とは?
完成したプロダクト用プレスキットを眺めてみると、”Request Press Copy”という謎の項目がある事に気付きます。
プレスコピーって何でしょうか?Weblio英和辞典によると、
通常は逐次刊行物に掲載される紹介記事,抄録,評論などを執筆してもらうために送付されてくる無料の文献.
との事。何のこっちゃ?プレスリリースを紙で送って欲しいのでしょうか?
いいえ、違います。
さらにググッた結果、ここで言うプレスコピーとは、メディアの方が我々のプロダクト(ゲーム)に興味を持った時に、そのゲームへのアクセスを提供する事だと分かりました。つまり、メディアの方に渡すゲームのコピーという意味です。
Steamのゲームならアクティベーションキーを渡すでしょうし、ストアにないゲームであればゲームをzipで上げてダウンロードリンクを教える形になるでしょうか。
そういった物をメディアの方がくださいとリクエストできる欄が”Request Press Copy”という事ですね。
しかし、どうもこの”Request Press Copy”という項目は機能していないようです。
実は、この項目はdestribute()と連携する事で機能するようになります。
destribute()とは何なのか?直訳すると”配布”、つまりプレスコピーを簡単に配布するためのWebサービスです。
https://dodistribute.com/
プレスコピーの配布を容易にするにはdestribute()を使ってみるのも良さそうですね。
でも、メディアの方々にゲームを配る必要が果たしてあるのか、destribute()を使うべきなのかはあなたの判断次第だと思います。
デベロッパーとしては当然お金を払って買ってもらった方がうれしいでしょうけど、メディアの人にしてみれば大量のゲームニュースを捌いていかないといけない状況でイチイチゲームを購入してたらお金がいくらあっても足りないよなあ…という想像はできます。
では、ここからはpresskit()とdestribute()の連携について書いていきます。
presskit()とdestribute()を連携させよう
destribute()を利用するにはデベロッパー登録が必要です。
よくあるwebサービスと同じような手順で登録してください。
presskit()と連携させる方法はこちらに書かれています。
Introducing presskit() 2.5 & distribute()
destribute()にログインして、gamesをクリックしてください。
destribute()に登録した時に、presskit()のアドレス入力を要求されたと思いますが、うまく行ってればプロダクトの一覧が表示されます。
目的のプロダクトをクリックして、下の方にある”download key file”ボタンをクリックすると、キーファイルがダウンロードされます。
このキーファイルをプロダクト用プレスキットのフォルダにおいてください。
これで連携完了です。”Request Press Copy”欄にメルアド入力欄などが出てくるようになってればOKです。
お疲れさまでした。
destribute()の運用
destribute()はどのように動作するのでしょうか?試してみました。
まず、メディアの方は”Request Press Copy”欄からメルアドを入力して送信します。
するとdestribute()からメディアの方に招待メールが届き、メディアの方はdestribute()にメディア会員として登録する事になります。
そうするとデベロッパーにリクエストが届くので、デベロッパーはdestribute()の管理画面からリクエストを承認すれば多分メールでプレスコピーが渡されます。
流れは以上ですが、デベロッパーは当然事前にプレスコピーを準備しておく必要があります。
ゲームのzipへのリンクならリンクURLの登録、Steamなどのアクティベーションキーならキーの登録をしておいて下さい。
アクティベーションキーは一つずついい感じに配ってくれて、無くなったら警告を出してくれるみたいです。便利ですね。
さて、流れを見ていると、誰でもリクエストできるじゃんって事に気付きます。
じゃあメディアと関係ない一般の人からリクエスト来たら、本来買ってもらうはずがタダで遊ばれてしまう!?
ここからは運用方法の話なので、どう運用するかはその人次第ですが、私が決めた方針としては、メルアドのドメインで判断するのがいいと思います。
メール承認を通してるので、メルアドが本物な事は保証されてます。
メディアの方は仕事でリクエストを出してるので、会社のメルアドを使うと思いますし、そうすべきでしょう。
という訳で、メディアのドメインを使ってるアドレスなら承認、gmailとかはリジェクトって形で運用すればいいと思いました。
メディアを名乗ってるのにgmail使ってる場合は判断が付かないので、一度会社のメルアドでリクエストしなおすようお願いしてもいいかもしれませんね。
おわり
例によってメモ書き的な記事であって、記述に間違いが無い事を保証できませんが、参考になれば幸いです。
presskit()とdestribute()、使いこなせば国内、海外メディアに効果的にアプローチできる、便利なシステムだと思うので、是非トライしてみてください!