前置き

UnityUnreal Engine4などのゲームエンジンの人気の秘訣は開発者コミュニティにあると言われています。

それまではToB向けのゲームエンジンが多く、使い方を知るにはドキュメントだけが頼りで、分かんない事があったらイチイチサポートに連絡するしかなかったようです。

UnityやUnreal Engine4はタダだったり低価格だったりして、個人開発者でも利用できるものだったので、沢山の開発者がフォーラムブログで情報提供し合って、ググれば大抵の情報は出てきて助かる感じになりました。
UnityやUE4などのゲームエンジンにとって、開発者コミュニティは最大の資産です。

正直言って、ゲームエンジンを触るにあたっては、プログラミング能力とか以上にコミュニティ情報へのアクセス能力の方が重要じゃないかとさえ思ってます。
というのも、コミュニティにアクセスしない人は、何かトラブッたり、新機能が必要になると全部自分で解決しないといけないですが、コミュニティを深堀りすれば、大抵の問題はすでに誰かが解決法が見つけてくれてたり、アセットやGitHubで必要な機能が作られてたりするからです。

そんな感じで情報へのアクセスが重要なのは分かりましたが、とは言えフォーラムやらは大抵”英語”でやり取りされてます。最近は日本語の情報も多くなってきましたが、結局深堀りすると英語情報に行きあたってしまいます。

しかし、英語が分からない人はフォーラムの文章が読めません。

「残念だけど諦めるしかないか…」

いえ、諦める必要はありません!

我々にはGoogle翻訳DeepL翻訳などの翻訳テクノロジーがあります!
しかも、無料で使えます!

昔はYahoo翻訳とかはちょっと意味が取りずらい微妙な翻訳でしたが、最近はディープラーニング技術の発達で、メチャメチャ読みやすい日本語に翻訳してくれるようになりました!

私自身、英語は書くのも読むのもサーパリですが、それらの翻訳テクノロジーを駆使して言語の壁を乗り越えてきました。

そこで今回の記事では、Google翻訳などの翻訳テクノロジーを駆使して、まったく英語がチンプンカンプンな人でも様々な英語情報にアクセスできる攻略法を色々書いてみたいと思います。

1.英語のニュース記事、ブログ記事、フォーラム、あるいはGitHubのリードミーなどのWebページを読みたい

大抵のWeb上の英語情報はこの方法で攻略できます。

まず、使用するブラウザはChromeを使ってください。WindowsだろうがMacだろうがiOSだろうがAndroidだろうが…AndroidはデフォルトでChromeですが。
何故ならChromeならブラウザ自体にGoogle翻訳機能が内蔵されてるからです。

Chromeのブラウザで英語のWebページを開くと、画面右上にこんなウインドウが表示されます。

この”英語”のタブを”日本語”に切り替えると、ページが日本語に翻訳されます。

翻訳した日本語を原文に戻したい時は、アドレスバーのGoogle翻訳アイコンをクリックするともう一度翻訳ウインドウが表示されます。

「英語を常に翻訳」というチェックボックスもありますが、常に翻訳されてもそれはそれで困るので、チェックを入れるのはオススメしません。

スマホのChromeの場合は画面の下に同じようなのが表示されます。

ChromeからYoutubeを開いて外国の動画とかを見てると、画面のUIとかは日本語で表示されますが、コメントは全部英語です。この場合、日本語のページと判断されて翻訳ウインドウが出てこなかったりします。
でも、コメントを日本語で読みたかったりします。

その場合は手動で翻訳できます。

Webページ上で右クリックすると「日本語で翻訳」というメニューがあるので、ここから強制的にページを翻訳できます。

注意点

Google翻訳は結構読みやすい翻訳にしてくれますが、翻訳の”クセ”のようなものがあります。
時々、文章をまったく逆の意味に翻訳してしまうというものです。
本来「~である」という文章を、なぜか「~でない」とかにしてしまう事があります。
このクセがある事を頭に入れておいて、なんか言ってる事が変だったら文脈から判断してください。

重要な情報だから正しい意味が取れないと困る!という場合は、Google翻訳を使わずにDeepL翻訳を使ってみる方法があります。
原文の英語をコピペして、DeepL翻訳で翻訳します。

https://www.deepl.com/ja/translator

DeepL翻訳は翻訳がかなり正確なので便利ですが、Webページをそのまま翻訳できないのが不便です。

また、ChromeのWebページ翻訳には文字数制限がありませんが、DeepL翻訳は5000文字までの制限があります。(有料プランだと文字数制限は無くなります)

2.英語のYoutube動画を観たい

ゲームエンジン関係のカンファレンス動画や、アセットのチュートリアル動画が英語だったりします。

Youtube動画なら、機械翻訳された日本語字幕を表示する事が出来ます。

まず、動画右下の歯車アイコンをクリックすると、「字幕」というメニューが出てきます。字幕メニューが表示されない動画は残念ながら翻訳できません。

↓「字幕」メニューを選択するとこうなります。この時点で「日本語」が選べるなら、それは公式で日本語字幕が用意されているという事です。ありがたくそれを選択しましょう。
それ以外の場合は、一旦「英語(自動生成)」を選択します。

↓すると、音声認識で作られた英語字幕が表示されます。
次に、この英語字幕をさらに日本語に翻訳してもらいます。

↓もう一度、歯車アイコン→字幕を選ぶと、先ほどは無かった「自動翻訳」というメニューが選べますので、これをクリックします。

↓翻訳する言語が選べますが、スクロールした一番下に日本語がありますので、それを選びます。(マウスの中ボタンをクリックしてからマウスを下に動かすと高速スクロールできる)

これで、日本語の字幕が表示されます。

なにしろ自動で音声認識した英語をさらに日本語に翻訳してるので、翻訳の精度はかなり怪しいですが、これでも無いよりはありがたいです。

ちなみに、翻訳機能が使えない動画や、Vimeo動画とかの時はどうすりゃいいの?というと、
パソコンの録音デバイスを”ステレオミキサー”にした上で、Google翻訳ページの”音声入力による翻訳”を開いた状態で、翻訳したい動画を再生すれば文字起こし可能なはずです。(すいませんが自分で試した事ありません)

参考:【Windows 10】音声ファイルから無料で文字起こしする方法

3.Discordの英語情報を読みたい

最近は、UnityのアセットストアやUE4のマーケットプレイスで売ってるアセットのサポートがDiscord上で行われる事が多くなりました。
つまり、Discord上の英語情報にアクセスする事が重要になってきました。

というわけで、Discordの英語を読む方法ですが、まず、アプリ版のDiscordだとページ翻訳機能が使えないので、Chrome内でDiscordを開いてください

Discordでも今までと同様にWebページ翻訳を使えばいいじゃん。と思いきや、ページ翻訳ウインドウが表示されません。
しかも、ページ上を右クリックしても「日本語で翻訳」が選べません。

どうすればいいのか?というと、いっその事Discordの言語設定を日本語→英語にしちゃうという方法があります。

こうする事で、Discordでも翻訳ウインドウが表示されて翻訳できるようになります。

しかし、チャットのタイムラインを上に遡っていくと、翻訳されない英語のままのチャットが出てきます。
この場合、どうすればいいかというと、アドレスバーの翻訳アイコンをクリックして、一旦日本語から原文に戻して、もう一度日本語に翻訳させれば英語のままだった部分もちゃんと日本語に翻訳されます。

ちなみにSlackの英語もDiscordと同じ感じで読めます。Slackは画面上の右クリから「日本語に翻訳」が選べるので簡単です。

4.英語のWordファイル、パワポファイル、エクセルファイルを読みたい

英語で書かれたOfficeのファイルを翻訳して読みたい場合、Google翻訳からできます。

https://translate.google.co.jp/?hl=ja&sl=en&tl=ja&op=docs

ファイルをアップロードすると翻訳されて表示されます。

理論上、Googleからはファイルの中身が見えてしまうので、機密情報や個人情報が含まれてるファイルの場合は注意した方がよいかもしれません。

DeepL翻訳からもWordまたはパワポファイルの翻訳が可能です。

文字数が多すぎるファイルだと翻訳できないかもしれません。その場合、ファイルの中身を分割して保存するなどの工夫が必要になります。

5.英語のGoogleスライド、Googleスプレッドシートファイルを読みたい

一旦、Googleスライドはパワポの形式で、スプレッドシートはエクセルの形式でダウンロードしてから、Google翻訳ページで翻訳できます。

6.英語のGoogleドキュメントを読みたい

Googleドキュメントはメニューから翻訳できます。

これを使うと翻訳されたドキュメントのコピーが作成されます。
文字数が多すぎると翻訳に失敗します。ドキュメントを分割するなどの工夫が必要です。

あるいは、裏技として、画面左上のこのアイコン上で右クリックしたときだけ「日本語で翻訳」が選べます。これは文字数に関係なく翻訳して読めます。↓

しかし、この方法で翻訳するとメチャクチャな日本語になっちゃうのでオススメしません。

7.英語のpdfファイルを読みたい

アセットのマニュアルがpdfファイルのパターンが多いので、何とかしてこれも翻訳して読みたいです。

まず、翻訳したいpdfファイルをGoogleドライブにアップロードします。

アップしたpdfを右クリック→アプリで開く→Googleドキュメントを選択すると、pdfファイルをGoogleドキュメントに変換できます。

あとは上述したGoogleドキュメントの翻訳方法を使えば日本語で読めます。

8.英語のテキストファイル(.txt)を読みたい

まあ、テキストファイルなら普通にGoogle翻訳のページにペーストして翻訳すればいいんですが、文字数が多いと途中までしか翻訳されなかったりします。

実は、テキストファイルをChromeのウインドウにドロップして「ページを翻訳」すれば、文字数無制限で翻訳できます。

9.ソースコードの英語コメントを読みたい

アセットのソースコードを見てると、当たり前ですが大抵英語でコメントが書かれてます。

これを日本語で読む方法は、以前に記事に書いたのでそちらを参考にしてください。
(WindowsのVisual Studioのみ対応)

英語のコメントを日本語に翻訳するVisualStudio2017拡張を公開しました

英語のコメントを日本語に翻訳するVisualStudio拡張が動作しなくなってたので何とかした

10.自作アプリの外国語ローカライズデータを作成したい。

GoogleスプレッドシートとGoogle Apps Scriptを活用して翻訳ローカライズデータを作成する方法については、以前に記事を書いたのでそちらを参考にしてください。

Googleスプレッドシートでアプリの翻訳用データを作る

11.英語のフォーラムやDiscordに書き込みたい。あるいは英語のメールを出したい

今までは英語情報を読む方法について書いてきましたが、結局のところ、買ったアセットが上手く動かないみたいな事になったら、フォーラムやDiscord、あるいはメールで英語を書いて問い合わせする必要があります。

どうやって英語を書けばいいのか?というと、やっぱりGoogle翻訳やDeepL翻訳に頼ります。

まず日本語で文章を書いて、翻訳すれば英語になります。(当たり前)

それだけの話ならわざわざ解説するまでも無いですが、ここで気になるのが、ちゃんと正しく英語に翻訳されてるんだろうか?という事です。

簡単に確認する方法として、翻訳された英語を再び日本語に訳してみる方法があります。
真ん中の「言語を入れ替え」アイコンをクリックすると、日本語に再翻訳されます。

ここで再翻訳された英語が元々の日本語の意味と全然違う場合は修正する必要があります。

ある程度英語ができる人なら、英語の文章を修正して何とかします。

英語がサーパリな人は、元々の日本語の言い回しを変えてみて試してみましょう。

ややこしい言い回しを使うと正しく翻訳される可能性が低くなりますので、なるべく平易な日本語で書く方がいいです。

書き込む時にどうしても自信がない時は、「Google翻訳を使いました」って書いちゃえば、多少文章がおかしくなってても相手も気を使ってくれるかもしれません。

おわり

というわけで、今回の記事では主にゲームエンジンのユーザー向けに、英語がサーパリ分からなくても翻訳テクノロジーを駆使して様々な英語の情報にアクセスする方法について書いてみました。

GoogleやDeepL翻訳が誰にでも無料で最新の翻訳テクノロジーを使わせてくれるおかげで、Web上の英語情報へのアクセスは極めて容易になってきました。ありがとうGoogle。

「ここまでアレコレ工夫して努力するヒマがあったら、そもそも英語の勉強を頑張った方が早いんじゃねえか?」という意見もあるかもしれません。
まあそれも一理ありますね。
いくら翻訳テクノロジーの恩恵で英語情報へのアクセスが容易になったとしても、結局のところ、英語圏の人と直接会話する事はできません。(今のところは)
英会話を学んだ人なら会話もできるのでアドです。

しかし、翻訳テクノロジーにも、それはそれでアドバンテージがあります。
まず、英語を勉強しても、英語に触れないでいる時間が多くなるとどんどん忘れていくので、常に勉強し続けるハメになりますが、翻訳テクノロジーならな~んも勉強しなくてほったらかしてても、むしろ勝手にどんどん進歩していってくれます。
さらに、英会話だと英語しか喋れませんが、翻訳テクノロジーなら英語だろうが中国語だろうがフランス語だろうが、同じ方法で簡単に翻訳できます。

便利だなあ。

ちなみに、私が今、翻訳テクノロジーを使いたいのに使えなくて困っているのが、電子書籍です。

例えばKindleの洋書なんかは、テキストデータなんだから技術的にはWebページと同様に全文翻訳して日本語で読むことが可能なはずなのに、実際にはできません

日本語に翻訳されてない洋書は一杯あるので、これさえできるようになればなあ…と常々思ってます。

最後に注意点ですが、上でも書きましたが、翻訳を使うとサーバーにテキストが送信されてしまいますので、気になる人は機密情報個人情報の取り扱いには注意してください。

また、この記事のテクニックを使った事で何かトラブルが起きたとしても、責任は負いかねます
例えば、誤った英語に翻訳されたメールを送信しちゃって相手を怒らせたりしても自己責任です。