最近よく書いてる事だが、ここ1年間くらいでの動画生成AIの進化がすごすぎる。まあ普通に見れるレベルの品質の動画が簡単に生成してしまえる。ローカルでもRTX4090があればオープンモデルのWan2.2で5秒尺の動画が1分ほどの生成時間で生成できてしまう(高速化LoRAを使用した場合)
ハッキリ言って数年前はまさか動画AIがこんな事になってしまうなんて全く想像してなかった。今年の年始の時点でHunyuanVideoが出ていたが、生成に15分とかかかって待ってらんない~とか言ってた気がするが、今では1分でできてしまう。
さらに最近Nanobananaが登場して、AI画像編集の常識を覆した。今まで色んなAIやツールを駆使してワチャワチャやってたような画像編集はNanobananaだけで誰でもブラウザから簡単にできてしまうようになってしまった。(Nanobananaだと検閲に引っかかるタスクなら代わりにローカルでQwenImageEdit使えばフォローできるかも)
最近ためしにNanobananaやWan2.2を使っていくつか動画を作ってみたが、あんまりこだわらなければ丸一日かければ1~2分くらいの短尺動画なら作れてしまうようだ。Nanobananaは無料で使えるし、Wan2.2もローカル生成で無料である。ボイスはにじボイスに課金する必要があるが。
(5) Xユーザーのうみゆき@AI研究さん: 「ハッピー☆脳特急 1話 https://t.co/x82GiV7hf0」 / Twitter
私が数年前考えていたのは、AIが漫画を描く補助になればいいな~とかその程度の事だった。私は昔から同人誌描いたり漫画をtwitterに上げたりしてたのだが、最近はもう漫画は描かなくていいかなという気分になっているまである。
というのも動画AIを使えば漫画をすっ飛ばしていきなり自分でアニメ作れてしまうから、そっちの方がええやんという気分になってきている。つまりそれくらい動画AIのブレークスルーがすさまじいので個人の作品制作の状況も根本的に変革が始まる気がしてる。
また、私は昔からUnityやUnrealEngineを使って個人製作ゲームを作りたい~とか言ってたのだが、一向に完成した試しがない。結局のところ、どこまで行ってもゲーム制作は難しい。ものすごく時間と手間がかかるし、完成したとて実際誰がプレイしてくれるんだろう?
そして、自分にはもうゲーム作る資格が無いんじゃないかしら?とも思う。というのも、ゲームとか作ってるとそれが忙しすぎてゲーム遊ぶ暇が無くなって全然ゲーム遊べなくなっている。そうこうしてる内にゲーム(ソシャゲもコンシューマゲーも)遊びたいとも思わなくなってきてる自分がいる。もういい歳だからだろうか?いずれにせよ自分だって遊びたくないようなゲームを何故作るのかという話である。厳密に言うとアンダーテールとかファミレスを享受せよみたいな自分の癖に刺さるゲームは喜んで遊べるが、それ以外のゲームは面白い作品でもしんどい。
今にして思うのだが、自分が子供のころゲームに夢中になってたのは、当時はゲームハードの進歩が著しく、ハードの性能云々みたいなガジェットオタク的な目線で楽しんでた割合が大いにあったのではないかと思う。ジョイメカファイトで「ファミコンでこんなダイナミックな格ゲーが!?」とか言ったり、ドラクエがスーファミで5になって表現力が超絶向上して感動したり、FF9でプレステでここまで綺麗なグラが…とか言ってみたり、真三国無双や地球防衛軍で沢山の雑魚敵と戦えるのに驚いてみたり…。今となってはゲームの表現はもはや何でもアリでまるで実写映画や~みたいな感じだが、ここまで行っちゃうと特にそれで感動は無いがち。
そもそもゲームというのは今でも暇つぶしとしてちゃんと成立してるのだろうか?ヒマを潰すならゲームで遊ぶよりもプライムビデオやYoutube見たりtwitter見たりTikTokとか見る方が効率良くないか?キッズが遊んでるゲームもよく知らんけどせいぜいマイクラやRobloxとかだけじゃないの?それで言うと最近はeスポーツ云々が言われてるが、むしろゲームは暇つぶしよりもスポーツ化していってるのかもしれない。RTAがやたら盛り上がってたり、vTuberが遊んでるゲームも壷男やOnlyUp、ジャンプキングみたいな苦行ゲーが多い。こういうゲームは自分が暇つぶしに遊ぶというよりはvTuberみたいなアスリート(?)がプレイして苦しんでる様子を見るために存在するみたいなもんである。ユーチューバーしか食べない激辛ペヤングみたいなもんかもしれない。
話が脱線した。ゲームを作るのか、漫画を描くのか、それとも動画を作るのか、どっちつかずな日々が続いていたが、漫画はひとまず置いとくとして、ゲームもいったん置いといて、ひとまず動画制作に注力でいいんじゃね?という気がしてきてる。
というのは、これはさっき思いついた話なんだが、「動画AIって究極のゲームじゃね?」というアイデアである。
何を言ってるのか分からないと思うが、いまや動画AIを使えばもはや何だってシミュレートすることができる。例えば自動車が道路を走ってる画像を入力して動画生成すると、自動車が道路を走る動画が出てくる。これは動画AIを使って自動車をシミュレーションしているとも言える。ほかにも例えばフォトショでキリンの背中にチンパンジーが乗ってる画像をコラして動画AIに入力すれば、キリンの背中にチンパンジーが乗ったらどうなるかシミュレートして実験できるわけだ。
動画AIから発展して、動画AI的にその場で生成された世界を自由に歩き回ってインタラクトできるGenie3みたいな世界モデルも最近はアツい。
このブログで以前から紹介している理論だが、ビデオゲームはルールの性質とシミュレーションの性質を併せ持っている。例えば将棋は純粋にルールだけを持っているゲームだし、ウォーキングシミュレータは純粋にシミュレーションだけを持っているゲームだ。ファイナルファンタジー7なんかはルールとシミュレーションが半々くらいの割合と言えるかもしれない。
スレイザスパイアみたいなローグライトもかなり純粋なルールのゲームだと思うが、私は自分がゲームを作るならそういうのよりはウォーキングシミュレータみたいな体験をデザインされたゲームを作ってナラティブを演出したい~とか思ってたわけだが、そういうのであればもうゲームじゃなくても動画でいいんじゃね?という。
何故なら上で書いた通り、世界のシミュレータならゲームじゃなくても動画AIだって優秀になってきてるからだ。
こういう話ができるようになったのも、やっぱり動画AIのブレークスルーで個人でも動画制作が大幅に容易になったからだ。(一方、ゲーム制作はAIが進化してもあんまブレークスルーした感無い)
動画は動画であって、ゲームの代わりにはならないでしょ?と思うかもしれないが、ゲームとしての動画、Video as a Game、すなわちVaaGはあり得ると思ってる。なぜなら動画AIによって誰でも動画を改変可能になったからだ。
例えば、ドラクエ5の主人公がフローラと結婚する…というような内容の動画を作ってアップするとする。ゲームのドラクエだったらプレイヤーが結婚相手を選択できるが、これは動画なのだからストーリーは固定されており、当然変更できない。しかし、動画AIがブレークスルーして民主化されていて誰でも使える今では話が違う。ストーリーの結末が気に入らない視聴者は自分の手元で動画を入力して違うストーリーの動画を生成してしまえばいい。こうすれば動画でもゲームと同じく結末を変更できる。この時改変した視聴者は動画をゲームとしてプレイしたと言えるだろう。
他人の動画を改変するのも、コッソリ自分だけで楽しむなら何ら問題無いが、改変した動画をアップしてしまうとこれは著作権的に問題になりそうな気がする。これについては元動画を上げた人が動画がVaaGであると宣言して、改変自由なライセンスを付加しておけばいいだろう。
というわけで今日思いついたVaaG構想について語ってみたが、まだ思いつきレベルで煮詰まってないが、結局のところ何なのか?というとしばらくの間はゲーム制作は置いといて動画制作に注力してみよう、というだけの話である。
続いてマスコット系の話に移る。
ハギーワギーで有名なポピープレイタイムというホラーゲームが最初に出たのが2021年で、私が食いついたのは実況プレイが流行った後の2023年である。マスコットホラーゲームについては当時以下の記事で検討した↓
ガーデンオブバンバンのような、マスコットホラーゲームは金脈か? – soy-software
その後、2023年はYoutubeでスキビディトイレもメッチャ流行った。
23/10/26 スキビディトイレは観るマスコットホラーなのか?
ハギーワギーやスキビディトイレは何故かキッズ達にバカウケして、そうすると雑貨屋などで無許可で作られてそうなぬいぐるみとかが売られだすのが定番コースになっている。
で、最近はまた別のものが流行ってて、雑貨屋などではハギーワギーが撤去されて代わりにこれのグッズが置かれている。
それが何かというとItalian Brainrotである。
Italian Brainrotが何なのか?というと、画像AIを使って悪ふざけで作ったようなキメラなキャラ画像に悪ふざけみたいな名前を付けて悪ふざけみたいな設定を付けて、それを紹介する動画がTikTokで今年流行ったという話である。いろんな人が各々で好き勝手に新しいキャラを作りまくって、それらのキャラが登場してワチャワチャする動画もこれまたいろんな人によって好き勝手に作られまくてバズりまくってたらしい。
twitterだけ見てるとTikTokの流行はサッパリ伝わってこなくて、私も最近知ったばかりだ。実際どういう層にどんなふうに流行ってるのかとかはまだよく分かってない。
AIでは低品質なコンテンツしか作れない~とか言われがちだが、AIならAIなりにこんな風に激流行りしてしまうんだなあという。
私が問題提起したいのは、こんなテキトーに作られた作者不詳みたいなコンテンツがこんな流行り方してる現状で、今後個人のクリエイターとしてはどうやって戦っていけばいいのか?という話である。
今にしてみるとポピープレイタイムやガーデンオブバンバンなどのマスコットホラーゲームはちゃんとしたインディーゲームだし全然良かった。スキビディトイレも内容はちょっとアレだけど個人のクリエイターが頑張って作っててまあ良かった。しかしItalian Brainrotはこれはもうメチャクチャである。
Italian Brainrotでは色んな作者がてんでバラバラにキャラを作成したため、権利関係が不詳状態で、そもそもこんな超適当なAI画像に著作権あんのかよ?みたいな話もあって、フリー素材同然の扱いでみんな好き勝手に動画作って収益化したりRobloxでゲーム作られたりしてる。
しかし、最近ではItalian Brainrotの主役級のキャラのtung tung tung sahurの作者が自分の権利を主張して、勝手にキャラ使ってるゲームとかに異議申し立てした結果、ゲームからキャラが削除されてしまうといった事件も起きている(別に削除しても代わりの似たようなキャラはいくらでもいるから差し替えるだけ)
今までの世界では個人や企業が作ったコンテンツが流行ればそれはメシの種になっていたが、Italian Brainrotみたいなワケの分からんコンテンツばっかり流行る世界では個人の権利がどうこうという世界でもなくなって、クリエイターはオマンマの食い上げかもしれない。
あらためて考えると、マスコットホラーのようなキャラビジネスではいかにしてキャラのコンテンツを水増しできるかがポイントだった。
例えばヒカキンのようなYoutuberは頑張って毎日動画を上げてるが、これでは増えるヒカキンコンテンツは1日に一つだけである。
一方、vTuberなんかは切り抜き動画作るのを許可してるから、配信の面白い所を切り抜いて紹介する動画が沢山作られて、一度の配信で沢山のコンテンツが生まれ、結果的に広くリーチしてキャラクターの認知が増える。
ホラーゲームだと実況者ごとにそれぞれ実況動画が上がるからコンテンツは大量に水増しされる。
普通の人が何もない所からコンテンツを生み出すのは難しいが、ゲームプレイを実況することで誰でもゲームを触媒に実況動画というコンテンツを作れる。
一方、Italian Brainrotはどうだろう?今はもはや人々の手元には動画AIがある。ゲームという触媒がなくてもキャラクター設定さえあればそこから誰でも動画コンテンツを作れてしまう。
以前流行ってたのはマスコットホラーゲームのハギーワギーだったが、今流行ってるのはAI動画のItalianBrainrotというのは示唆的であろう。
つまり、世界のシミュレーションを担うのはゲームだった時代から動画AIの時代へ変遷しつつあるのかもしれないという事だ。
で、少々飛躍があるかもしれないが、だから私はひとまずゲームよりも動画を作ることにしたという、そういう話である。