なんとなくキヨ氏のホラゲ実況が見たくなったのでテキトーに見た。
ガーデンオブバンバン。かわいいマスコットキャラが恐ろしい見た目に変貌して襲い掛かってくるホラーゲーム。
…なんかそう言うの聞いた事あるな。
そう、ポピープレイタイムのフォロワーゲームらしい。
最近はこういうのが流行ってるらしい。そう言われてもまったく聞いた事が無かったのだが、流行ってると言っても幼稚園、小学生の子供たちの間で流行ってるという話だ。
ちなみにRoblox内で遊べるレインボーフレンズってのも流行ってるらしい。
なぜ人気なのか?私が分析するまでもなく、ポピープレイタイムの人気の秘密を分析してくれてる記事がある。↓
【ハギ―ワギ―】なぜ人気?子ども達が夢中になる理由を探ってみました
とりあえず、見出しの項目だけ抜き出して引用させてもらう。
ポピープレイタイムが子どもに人気の秘密は?
ホラーゲームなのに可愛い!?
魅力的なキャラクター達
ホラーゲームのスリルはちゃんとある
謎が多い!考察したくなる深い設定
爽快!GrabPack(グラブパック)が面白い
意外!もう終わり?ゲーム時間が短い
次の目玉キャラは!?次回作が楽しみになる
なるほど。これらの要素はおおむねガーデンオブバンバンでも引き継がれている。
しかし、異なる点もいくつかあるようだ。
まず、ガーデンオブバンバンの動画を観ていたら、やたらめったらグラが綺麗で、それがゲームへの没入感を増す要因になっている気がする。
よく見ると蛍光灯の光がチラチラ揺れていて、これはUnreal Engine5のLumen機能特有の現象だ。なるほど、UE5によってこのようなリアルで美麗なグラが実現されてるわけだ。(スマホ版ではLumenは機能しないので、ライトはベイクされているようだ)
そしてこれらのゲームではギミックとしてオモチャが出てくる。
ポピープレイタイムではグラブパックというマジックハンドのオモチャが装備出来て、これをふんだんに利用したパズルギミックの謎解きが秀逸だった。マジックハンドで遠くのアイテムに一瞬で手が届くというのは3Dゲームのギミックとして実際素晴らしい物だと思う。
それに対してガーデンオブバンバンで使われるのはドローンだ。ドローンで何をするかと言えば、ボタンを押させるだけ。ひたすらそれの繰り返しだ。グラブパックのような遊びの深みはまったく無い。
あとは貝殻を集めるとか卵を集めるとか、そういうギミックがメイン。正直言ってポピープレイタイムに比べるとガーデンオブバンバンはゲーム性がザツな印象がある。(実況動画観ただけのくせにこんな事言ってごめん)
とにかく、ここでの話のポイントは、ガーデンオブバンバンが世界のキッズに大人気になった事で、ポピープレイタイムから始まったマスコットキャラ系ホラーゲームの人気に再現性がある事が確認されたって事だ。(とはいえ全然売れなかったマスコットホラーゲームも沢山あるのかもしれない。何%くらいの確率でヒットできるかどうかとかは調べてない)
しかも、ゲーム性が大幅劣化してても問題ないという事さえ分かってしまったという事だ。
考えてみると、昔からキッズの間でホラーゲームが人気になる事はあった。
例えば青鬼もヒカキン達ユーチューバーが実況した事でキッズのあいだで話題になった。アンダーテールなんかもマスコットホラーの系列と言えなくもないかもしれない。
これらのゲームに共通する事は、Youtube上のゲーム実況を通じてキッズ達に広がっていったという事だ。
とは言え、ハギーワギーやバンバン達にくらべて、青鬼は見た目がキモすぎてキャラ人気を獲得する資格を得られなかったように思う。
ハギーワギーやバンバンなどはキャラ人気が出過ぎてて、ぬいぐるみなどのグッズがキッズ達にメチャメチャ売れてるらしい。
え…なんで…?
…と思ってしまうんだが。
というのも、ハギーワギーは不気味で恐ろしい敵キャラである。どうしてそんなキャラが、かわいいマスコットみたいな扱いで消費可能になるのか?
セサミストリートみたいな子供向けのキャラが恐ろしく変貌して襲い掛かるというギャップが恐ろしいというのは、ホラー映画でもそういうジャンルがあると思うし、怖さのジャンルとして馴染みがあるものだ。
だから我々大人からすればハギーワギーなんて恐怖の対象でしかない。ぬいぐるみなんて不気味だし、全然欲しくない。
だが、思うに、キッズ達は幼すぎてそういうややこしい文脈を理解できてないんじゃないのか?
文脈が分からないからこそ、ハギーワギーやバンバンを単なるキャラクターとして愛でる事が可能になるのかもしれない。
さらに、キッズ達はいい歳こいた大人たちがゲーム実況でハギーワギーやバンバン達を見て恐怖で震え上がって、絶叫までしちゃう様子を見てるわけだ。大人の敵は子供の味方と言う事かもしれない。おもちゃ、ぬいぐるみ、マスコットめいたキャラが大人を恐怖させるというのは、子供にとってみれば一種のヒーロー性を感じているのかもしれない。子供たちにはハギーワギーを応援する動機がある。
子供向けのアニメでは、大体子供が主人公で悪役が大人だ。なんかそういうのに通じる感覚なのかもしれない。
ところで、何故キッズ達はセサミストリートのようなテレビのマスコットキャラでは無く、ハギーワギーのようなホラーゲームのマスコットキャラを選ぶのだろうか?
推測だが、恐らく現代のキッズ達はもはやテレビよりもYoutubeを見ているのだろう。
そして、Youtubeを回遊しているキッズ達は、レコメンド欄を見て、なんか可愛いキャラがサムネになってるポピープレイタイムやガーデンオブバンバンのプレイ動画をクリックしてしまうわけだ。
そうやってキッズ達の間でゲームの噂が口コミで広まっていって、このような大人気に繋がったと…これは仮説だがそういう流れだったんじゃないかなと推測する。
この仮説のポイントは、大人と子供でコンテンツの受け取り方が違うという点だ。
大人はちゃんとホラーの文脈でゲームを遊んでるのに対して、キッズ達は文脈が分からないで単にマスコットが活躍する番組として実況動画を観ているわけだ。
もちろん、賢いキッズはちゃんと文脈を理解した上でたのしんでる子もいるだろう。楽しみ方にはグラデーションがある。大人だってけものフレンズを見て「すっごーい!」とか表面的なミームだけ消化してった人もいれば、裏設定を考察しまくる人だっていたのと同じだ。
本作では、ところどころに落ちてる長文のジャーナルを読み込めば裏設定を考察する事もできるようだが、読むのが面倒くさければ完全無視してもゲーム進行にまったく支障ないという間口の広さもよくできてると思う。
このような現象が示しているのは、消費者がキャラクターを認知するチャネルがまったく変わってきつつあるという事だろう。
今までなら、キャラクターを生み出してグッズをキッズ達に売りたいと思ったら、アニメを作ってゴールデンタイムで1年間流すような手法が取られていた。
今はもう違うのかもしれない。キッズ達はテレビを観てないし、CMも観てない。アニメを作ってテレビで流しても、キッズ達に触れてもらう事はできないのかもしれない。
それよりも、キャラクターをキッズに売り込みたければホラーゲームに出演させるべきなのだ。
つまり、今まではキャラクターの宣伝メディアとしてのアニメだったのが、これからはゲームだってキャラクターを宣伝するためのメディアになり得るのかもしれない。
ところで、ガーデンオブバンバンの開発者が、このような話にどこまで自覚的に開発してるのかは分からない。
いくらキッズ達に人気が出たところで、恐らく彼らはSteamとかでゲームを買ってはくれないだろう。いくら話題になってもゲームの売り上げは増えずに、実況動画の視聴数ばっかり増えて、全然儲からないのではないか?
とはいえ、流石にここまで世界中で話題になればそれなりにゲームだって売れてるようだ。
しかし、Steamのレビューを見ると、かなり賛否両論らしい。レビュー内容を見ると、ゲームとして全然しょうもないとか、そのくせ話題になっててムカつく。もっと面白いゲームが全然話題になってない事を考えるとズルい!とかそんな感じのようだ。
私は、開発者はこのゲーム自体が面白いかどうかなんて全然どうでもいい事だと気付いてるのかもしれないと思う。そして、Steamのレビューの評判自体だってどうでもいいのかもしれない。
このようなマスコットゲームの表面的なターゲット層は一般ゲームプレイヤーに見えるが、今まで述べた通り、真のターゲット層はプレイ動画を観るキッズ達だからだ。キッズ達はYoutubeを見てるのでSteamの評判とか気にしない。
ガーデンオブバンバンの、ドローンのようなオモチャで遊ぶギミックや、幼稚園を題材にしたワクワクするようなプレイ環境は、子供たちにアピールする事をかなり狙っているように思う。ホラーゲームといえば暗い、不気味、おどろおどろしいステージになりがちだが、このゲームでは割と明るくて綺麗で清潔、たのしそうでさえある。
また、ゲーム内容がつまらない、簡単すぎるといったレビューもあるが、ゲーム性が面白い必要さえ無いのかもしれない。ゲームの面白さよりも、プレイ動画が面白いかどうかが重要だからだ。ある意味、ゲームだけでは未完成で、プレイ動画にする事で初めて完成するコンテンツかもしれない。
ガーデンオブバンバンは、最初のエピソードが1月に公開され、2が3月に公開、そして今月に3が公開されるという、二カ月ごとにリリースされている。先ほどゲーム性がザツだと書いたが、むしろそのおかげでこのようなコンスタントなリリースが実現可能になったのかもしれない。ポピープレイタイムは1の次に2が出るまでに半年かかり、それから1年経っても3が出ていない。それではもはやペースが遅すぎる。待ってる間に消費者(キッズ)のトレンドは別のゲーム(ガーデンオブバンバンとか)に移ってしまう。これがゲームというよりもキャラ番組である事を意識するならば、間を空けすぎてはいけないだろう。
そして、ぶっちゃけキャラ人気さえ出てしまえばゲームが売れる必要さえないのかもしれない。キャラ人気が出てぬいぐるみ化などの商品化でマーチャンダイズすれば、ゲーム自体が売れなくてもガッポガッポ儲かるのだ。
マジメなゲーム開発者からして見れば、ゲーム性自体をないがしろにするようなこんな話はとんでもない事に見えるかもしれない。
しかし、これは新たに切り開かれた希望の道なのかもしれないと私は思う。
というのも、今までは人気ゲーム実況者がゲームの実況動画でガッポガッポ稼ぐ一方で、ゲームの制作者は1円も儲からないという不平等な状況が問題になっていた。
【悲報】ゲーム開発者「登録者100万人超えのVtuberに実況してもらったのにソフトが2本しか売れてなかった・・・・」
ハッキリ言ってゲーム実況はゲーム自体の宣伝にはならない事実は明白化してきている。まあゲームのジャンルにもよるが。例えばフォトナやAmong Usは実況動画を観る事で「自分もやってみよう」と思えるゲームだが、ホラーゲームはぶっちゃけ自分では怖いからやりたくないので実況動画で済ませたいジャンルだ。
だが、ゲームの売り上げにはつながらなくても、ゲーム内キャラが魅力的ならキャラ人気を稼いで商品化で儲けられるかもしれない。そうなれば、逆にゲーム実況はタダでキャラ宣伝してくれてるようなものだと言える。やってもらえればもらえるほど嬉しいものへと変わる。
このような、ゲーム実況者とゲーム開発者がお互いWin-Winになれる手法が開拓されるとするならば素晴らしい事だと言えるかもしれない。