もしも家が火事で焼けたり、あるいは水害で水没したらどうしよう…とかよく考えます。

(ちなみに企業がこういう災害とかが起きた時にどう対処するか考えておく事を、PCB→事業継続計画というらしいですね)

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E7%B6%99%E7%B6%9A%E8%A8%88%E7%94%BB

まあ、家自体は賃貸で借りてるだけなので引っ越せば済みますし、家財は買い直せば済むでしょう。火災保険に加入させられてますから、保険が下りればお金は問題になりません。

そんな事よりも、何より恐ろしいのはパソコンのデータを失う事です。
こればっかりは失ってしまえば二度と取り戻す事はできません。

データについては災害リスクだけでなく、ランサムウェア感染でデータがロックされてしまうリスクも考えられます。

まあ、ローカルPCの中でバックアップを取る事はやってはいます。
バックアップソフトを使って、HDDのデータを定期的に他のHDDにコピーしておくみたいな事です。

これにより、ある日突然HDDが壊れても、取っておいたバックアップのおかげで、データは失われません。

しかし、ローカルでバックアップすると言っても、年々ハードディスクの容量は増加していってしまってて、1TBや2TBくらいまでなら良かったものの、10TBHDDを増設したあたりからもはやローカルでのバックアップは破綻してしまってます。

さらに、所詮はローカルでのバックアップなので、火事でPC丸ごと焼けてしまえば、結局データを全てロストしてしまいます。
まあ少々心配しすぎかもしれませんが、災害やら何やらでデータ全ロストしちゃうリスクは、私にとって不安の種でした。

ですから、「家とは別の場所にデータをバックアップしておけたら万全なのになあ…」とか常々思ってました。

すぐに思いつく方法としては、クラウドストレージを使う手がありますが、例えばDropboxは月1200円のプラスプランに加入しても、容量は2TBしかありません。10TBはどうにもなりません。

GoogleDriveなら、もっと大容量のプランを契約できますが、10TBのプランだと月額6500円もかかります!!年間8万円も払うくらいなら、ひたすら大容量HDDを買い増してローカルバックアップしてた方がマシです。

【2021年10月最新版】Google ドライブの価格を徹底調査してみた!

そのような困った状況でしたが、先日、Dropbox Backupプランというものが発表されました。

PC1台分(に加えて外部HDD1台)のデータを、容量無制限でクラウドにバックアップできて、価格は月当たり660円!これは素晴らしい!

ちなみに、容量無制限といってもこれはあくまでバックアップであって、クラウドストレージではありません。
クラウドストレージなら、ローカルのファイルを消してもクラウド上にファイルを残せますが、クラウドバックアップだとローカルのファイルが消えたらやがてクラウド上のファイルも同期して消えます。
つまり、クラウド容量の上限はローカルのストレージまでという事になります。
さらに、クラウドストレージのような他のユーザとのファイル共有とかの機能も使えなさそうです。

とにかく、長年求めていたようなサービスが手頃な価格で登場した!と思った私は速攻で契約して試してみましたが、実際は思ってたサービスと違いました。

PC1台バックアップできる!と書いていたので、てっきり内蔵HDDは全部バックアップしてくれると思いきや、実際はデスクトップやドキュメント、ダウンロードフォルダなどの、メインドライブの指定されたごく一部のフォルダしかバックアップできません!

まあ外部HDDも1台バックアップできますが、私の環境では10TBの内蔵HDDをバックアップしてもらわないと困ります!

かなりガッカリしたので速攻で解約しましたが、同じようなクラウドバックアップサービスで、もっと良さげなモノがある事を知りました。

Backblazeというクラウドバックアップサービスです。

Backblazeは、Dropbox Backupと違って、メインドライブ以外の内蔵HDDも全てバックアップしてくれます。外部HDDもバックアップ可能ですが、PCに接続しない状態が続くと外部HDDのバックアップデータは消えてしまいます。
また、BackblazeはPC内のほぼ全てのデータをバックアップしてくれますが、ProgramFiles以下のファイルや、OS関係のファイルはバックアップしてくれません。

まあ、基本的には、Backblazeは容量やら何やら一切気にすることなく、PC内のデータを丸っとクラウドにバックアップし続けてくれるサービスという事です。

素晴らしい!こういうのを待ってた!
待ってたというか、Backblaze自体は昔からあって、単に私が存在を知らなかっただけですが…。

料金は、月7ドル(現在のレートで896円)です。年間契約だと70ドル(8960円)。
ですが、ソースネクストからだとBackblaze1年版が3740円という、半額以下で購入できてしまいます!これは安い!!

https://www.sourcenext.com/product/pc/sys/pc_sys_000789/

私もソースネクストから購入してみましたが、プリペイドコードというのがもらえて、Backblazeのアカウントに入力してみると、バックアップクレジットというものが12ポイントチャージされました。
バックアップクレジットは一ヶ月毎に1ポイント消費するもので、要するに1年分チャージされたようです。

じゃあソースネクスト版を3回買えば3年分のクレジットをチャージしておけるのか?というと、プリペイドコードの場合は期限切れの30日前にならないと更新できないようです。↓

ちなみに、Backblazeのアカウントに一旦クレジットカード情報を追加してしまうと、それ以降はクレカでしか更新できなくなるらしいので、つまりもうソースネクスト版の安い価格で更新する事ができなくなるので注意です。

データバックアップサービスBackblazeの更新はソースネクスト経由がお得

Backblazeは15日間無料体験できるので、どんな感じか無料で試せます。
さらに、紹介リンクからアカウント登録すると、無料期間が30日に増えます。twitterで紹介リンク貼ってる人とかいるので、そちらから登録するとよいでしょう。

私はまだ数日間試してるだけの状態ですが、バックアップは1日当たり130GBずつアップロードされてるペースです。
このペースだと、10TBをアップし終えるには2ヶ月以上かかりますね…。
初回バックアップはかなり時間がかかってしまいますが、それ以降は1日130GBもバックアップできれば十分でしょう。

【追記 22/05/28】環境設定画面から手動でバックアップ速度を設定して、スレッド数を増やすとバックアップ速度が大幅に上がりました。↓

バックアップしたデータを復元するには?

さて、BackblazeでPCのデータを全てクラウドにバックアップできそうだ…という事は分かりました。
しかし、じゃあ実際にバックアップしたデータから復元する時はどうなるのか?という点も押さえておく必要がありそうです。

とりあえずここでは、家が火事になってローカルのPCデータを10TB全て喪失したというシナリオを考えます。仕方ないので私は新しいPCを購入して、そこにデータを復元しようとしているとします。

ちなみに、Backblazeはバックアップの履歴を30日間まで保存していますが、Backblazeアプリを起動しないでいる場合、最新のスナップショットを6カ月間まで保持してくれます。この間に何とか復元しないとクラウドからもデータを全てロストしてしまいます。

What happens to my backups when I’m away or on vacation?

バックアップの復元方法はいくつかあります。

1.「バックアップの移転」機能を使う

「バックアップの移転」機能を使えば、新しいPCにバックアップデータを全て書き戻す事が可能です。
しかし、私の場合は内蔵HDDを何個も繋いでしまってるので、新しいPCではドライブ構成が一致しないでしょうから、「バックアップの移転」を利用する事は出来ない気がします。

バックアップ状態を移転する

2.復元データをzipでダウンロードする

Webのダッシュボードから復元したいフォルダを指定して、zipでダウンロードする機能もあります。
ここで気になるのは、どれくらいのダウンロード速度が出るんだろう?という点です。
ダウンロードが余りにも遅ければ、ダウンロードが終わる前にバックアップデータが消えてしまうかもしれません。

こちら↓のブログによれば、数年前は1MB/秒しか出なかったけど、最近は30MB/秒くらいでDLできる…らしいです。

本当に30MB/秒の速度が出るなら、PCを24時間付けっぱなしにしておけば、10TBのデータでも4日間くらいでDLできる事になります。

ちなみに、zipファイル一つ辺りのサイズ上限は500GBです。(という事はもし単一のファイルが500GB以上だったらそもそも復元不可能っぽい)そして、zipファイルのリクエスト作成は一度に20個が上限です。
要するに、同時にDLできるデータは500GB×20で10TBが上限になります。

Downloading a Restore

また、Backblaze Downloaderという専用ソフトを使えば、高速に効率的にDLできるようです。

https://help.backblaze.com/hc/en-us/articles/217665918-HHow to Use the Backblaze Downloader (Win)

3.復元データをB2ストレージに保存する

なんらかの理由でバックアップデータを長期的にクラウドに保存しなければならない場合は、復元データをB2ストレージに保存できます。

B2というのは、AWSでいうところのS3みたいなもんです。

とりあえずB2に保存すればバックアップデータがいずれ消えてしまう心配は無くなります。
ただし、従量課金がかかります。

仮に10TBのデータを1ヶ月B2に預けておくと、50ドル(6400円)かかります。さらに、10TBのデータをDLすると、100ドル(12800円)の転送量がかかります。

B2に保存するバックアップのスナップショットは、一つあたり10TBが上限です。

4.復元データをポータブルHDDにコピーして物理的に送ってもらう

Blackblazeの面白いサービスとして、バックアップデータをポータブルHDDにコピーして送ってくれるサービスがあります。

189ドル払えば、8TBのHDDを送ってくれます。
つまり、10TBだと2つ必要になりますね…。

このHDDは、届いてから30日以内に返送すれば、189ドルは返金してもらえます。
ただし、返送する際の送料やら関税やらはこちらで負担する必要があります。

Restore Return Refund program – How to return a USB restore drive for refund

クラウドバックアップされたデータは安全なのか?

Backblazeは、1台のPCである限り、10TBだろうが20TBだろうがデータを預けられるみたいだけど、採算取れるのかな?と思っちゃいます。
とりあえず10年以上続いてるサービスなので、採算がとれている事は間違いなさそうです。

それはそれで、預けてるデータはちゃんと消えないように保護されてるんだろうか?とか心配が出てきます。

Backblazeは自社ブログとかで、バックアップデータの管理方法とかを細かく書いてます。

https://www.backblaze.com/b2/storage-pod.html

データはAWSとかじゃなくて、自前のデータセンターに保管してるようです。
さらに、ストレージサーバーも、市販の物はクッソ高かったので、自前で設計して製造してるそうです。ストレージポッドとかいう名前です。1台のポッドに60台のHDDが積まれてるそうです。コストをケチるために、サーバー向けHDDじゃなくて、一般向けのHDDを使ってます。

10年前の時点では、データセンターの従業員はショーンさんという名前の一人だけしかいなかったそうです。
ショーンさんは1週間に1回データセンターに出勤して、ポッド内の壊れたHDDを交換します。大体毎週10台くらいが交換されてたそうです。

こんな感じでBackblazeはサーバーのコストや人件費を徹底的にケチッているために、かなり安い料金にも拘らず採算が取れているという事みたいです。

当時はHDDが15台毎にRAID6が組まれており、15台の内2台までが同時に壊れても、データは失われません。3台以上壊れると失われますが、まあ1週間の間に15台中3台のHDDが壊れるなんて事はほぼ起きないだろうことは想像できます。

https://www.backblaze.com/blog/petabytes-on-a-budget-v2-0revealing-more-secrets/

現在はさらに進歩して、Vaultポッドという仕組みになっています。これはバックアップデータを20台のポッドに分散して保存する仕組みだそうです。

RAID6だとポッド自体が壊れるとデータにアクセスできなくなりますが、Vaultポッドなら20台のポッドの内、3代までのポッドが壊れてもまだデータの読み書きが可能だそうです。

このような頑強な仕組みによって、データが失われる確率は、1年間あたり0.000000001%しかないそうです。

https://www.backblaze.com/blog/cloud-storage-durability/

まあ要するに、我々が預けているバックアップデータが失われる可能性がほぼゼロという事です。
上のリンクのブログにも書いてますが、もはやサーバの問題というよりも、戦争や地震、洪水とかでデータセンターが破壊される確率の方が問題になってきます

それはまあ安心ですが、サーバートラブルでデータを失う以外にも、クラウドデータには他のリスクがあります。
例えば、アカウント凍結リスクです。

Backblazeにバックアップするデータは暗号化されてますが、とは言え同じく暗号化されてるハズのDropboxでも、不適切なデータが発見されて問答無用で垢バンされたりするそうです。
なんで暗号化されてるハズなのに検閲できるんだよ!

(実は、Dropboxは複数のユーザ間で同じファイルを持っていたらそれらの一つだけを保存するという仕組みになってます。同じファイルかどうかはハッシュ値で照合します。とあるユーザがヤバいファイルをWeb共有していて、それが通報されたらバンされますが、その時に同じファイルを持っているユーザーも芋づる式でバンされるというわけですね。)

https://www.gizmodo.jp/2014/04/0403_dropbox_5.html

というわけで、もしかするとBackblazeでも何らかの形で垢バンされるリスクはあるのかもしれません。
しかし、クラウドストレージであるDropboxと、クラウドバックアップであるBackblazeでは状況が少々異なります。

Dropboxではクラウド上にしか置いてないファイルがあったりするので、垢バンされるとデータロストしてしまうので確かに困ります。
しかし、Backblazeではクラウド上にあるファイルはローカル上にも必ず存在するわけで、もしも垢バンされてもデータはロストしないので困りません。

さらに他のリスクとして、Backblazeのライセンスを更新し忘れてて期限切れでバックアップデータが消えるリスクもあるっちゃあります。
クレカを登録しておけば自動更新してくれますが、ソースネクスト版で安く更新し続けようと思うと手動更新なので、忘れる事はあり得ます。

これも、仮に期限切れでバックアップデータが消えたとしても、ローカルにはデータが残っていますから、また登録し直してバックアップし直せばいいだけの話でしょう。

おわり

というわけで、Backblazeでクラウドバックアップを始めてみたという話でした。

クラウドバックアップに年間4千円払うというのは、安いとは言え、ひたすらローカルでストレージ買い増してローカルバックアップするより本当にアドなのか?と言われると、よく分かりません。
しかし、「もし家が火事になったら…水没したら…PCが爆発したらどうしよう…」みたいな常日頃のもやもやする不安の種を取り除く事ができるという、気分的な面でのメリットが大きいと思います。

ローカルでストレージを買い増すたびに、「ああ…こんなにストレージ増えて、バックアップはどうすればいいんだ…面倒だ…」みたいな、嬉しい反面しんどい…的な気持ちがありましたが、Backblazeは容量無制限ですから、どんだけローカルストレージが増えようが、バックアップの心配はとりあえず無くなりました。

クラウドでバックアップできているなら、ローカルのバックアップファイルはもう消しちゃって大丈夫だよなと思います。(消すのは初回バックアップが終わってからですが)

バックアップの心配が無くなったのは嬉しいですが、それにしても、所有データと言うのは年々増えていく一方で、しがらみのような鬱陶しさを感じなくもないですね。
死ぬまでにどんだけ増えちゃうんだろうこのデータ…。

いっそ一度データ全ロスしてしまえば、それはそれでかえってせいせいするかもな…みたいな事を考える時も無くはないです。