10/3 SW2日目


9:00開始です。
荷物は持ち帰り推奨というか自己責任との事だったので、MacBookとWindowsノートPCとGearVRを毎日持ち運んで結構重かった(笑
オーガナイザさんが用意してくれた朝食をビュッフェみたいな感じで自由に取って食べます。
ドリンクも1日1個紙コップをもらえるので自由に飲む感じです。

9:30から誠二さんから今後の説明を頂きました。
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まずSWでの失敗事例を紹介。
・長いブレスト
→SWの終わりまでアイデアを煮詰める話し合いに終始してしまいプロダクト作成まで至れない

・頻繁なピボット
→必要なピボット(路線変更)はやるべきだが、限られた時間の中で何度もピボットしていては単なる迷走

スタートアップのピボットについての関連記事
→ Y Combinatorに見るスタートアップ成功の秘訣、“ピボット”とは?

それからSWではリーンスタートアップという手法でプロジェクトを進める事が説明されました。

リーンスタートアップについての関連記事
→ 「リーンスタートアップ」─小さな失敗を重ねて育てる
→ あなたのリーンスタートアップがうまくいかない4つの理由と覚えておくべき3つの心得

リーンスタートアップでは、

①アイデア、仮説を立てる。
②MVP(Minimum Viable Product=実用最小限の製品)を作る
③MVPを顧客に使ってもらってリサーチする
④顧客からのフィードバックを元にアイデアの改善、ピボットを行い①に戻る

このサイクルを顧客からの大評判を得られるようになるまで繰り返します。
簡単に言うとお客様にこれなら是非使いたい、お金を払いたい!と言ってもらうまで何度でも後戻りをしながら開発していく手法です。
普通の開発だとアイデアから最終製品まで一直線に突っ走ってしまいがちですが、サービス開始してみると誰もそんなサービス使ってくれなかったという事になれば、大きな損失になってしまいます。
大企業ならともかくお金の無いスタートアップ企業はそのような大きなリスクは負えません。
リーンスタートアップならMVPのリサーチによる小さな失敗を繰り返しながら確実に良いプロダクトに近づいていく事が出来ます。

さて次に、SWでは優勝チームを決めるという話が。
評価基準は3つ、
・検証

→現実的か?自分の頭の中だけの夢物語になってないか?
→顧客はいるのか?顧客へのヒアリングはできているのか?
→具体的なマーケットを絞り込んでいるか?

・実践&デザイン

→MVP、プロトタイプがあるか?機能的なデモがあるか?
→ユーザーに使いやすいデザインのプロダクトか?

・ビジネスモデル

→世の中に必要とされているものか?(バリュープロポジション)
→これまでにないアイデアかどうか?
→マーケティングプランは明確か?会社は売り上げをあげないと存続できない。

誠二さんはUI/UX設計の仕事もされているそうで、デザインについて補足がありました。

UX(ユーザーエクスペリエンス)はカスタマージャーニーから始まる。
つまりお客様は普段どんな生活をしているのか?これを知る事。
お客様にいつどこでなにをどうやって提供できるのか
何の説明もなく子供やおじいちゃんでも使えるデザインが望ましい
自分の作ったUXの理論補強に心理学、行動心理学を持ち出しがちだが、そういう物は最後に考えればよい

MVPについての説明。

例えばプロダクトが自動車なら、自動車は乗り物なので、MVPはスケボーであって自動車の車輪ではない。
スケボーは乗り物だけど車輪は乗り物じゃない。
同じ絵でも回転させると別の物に見えるだまし絵を使って、どんなMVPを作るかは柔軟に考えて欲しいという説明が。

次に顧客へのインタビューを取ってくださいという話。

MVPが出来る前でもビジネスモデル(価値の提供方法)、リベニューモデル(お金の取り方)が決まったらインタビューしてください。
顧客は何が欲しいのか、何に困ってるのか、普段なにをしているのかをアンケート取りましょう。
顧客がインベスターなのか、イノベーターなのか、アーリーアダプターなのか見極めよう。

顧客には種類があるという話

インベスターやイノベーターはまだ物が無いうちから興味を持ってほしがってくれる。お金も出してくれる。
ただし新しい物好きなのですぐにまた別の新しい物に気移りしがち。
アーリーアダプターは固定ファンになってくれる。

誠二さんの説明を聞いて、マズいなと思いました。
昨日決めた流れでは、VRお店はSWの終了までめいっぱい時間を使ってデモが出来るかどうかのスケジュール感だったので、開発、検証、学習のサイクルを回すリーンスタートアップの手法を行う事は難しい…
ビジネスモデルも考えなければならないのですが、私はハッカーでKさんがデザイナーという事で、ビジネスについて疎く、具体的なビジネスモデルは現時点で何も考えてませんでした。

とにかくまずはビジネスモデルをKさんと一緒に考えました。

・我々はさまざまなVRのお店にアクセスできるプラットフォームを提供する
・まずは実在する色んなお店に営業をかけて我々のプラットフォームへの出店希望を募る
・我々がVR上にお店を作って、訪れたお客様がVRお店で商品購入されたら手数料として商品価格の10%をもらう

という物です。

14:00からはビジネスのプロの方々からのコーチングの時間ですので、焦ってデモ作成に取り組みました。
Kさんは必要なアセット集め、私はGearVRへの実装テストです。
しかしMacBookからGearVRにアプリを書き出しても上手く動作しないトラブルにハマりました。ますます焦っている内に見せられるものが無いまま14:00になってしまいました。
しかしいつの間にかKさんは資料作成をしてくださっててコーチの方々にはそちらを見てもらう事に。
Kさん素晴らしい!

いよいよコーチングです。一人一人のコーチにそれぞれ20分ずつくらいサービスの説明をしてフィードバックを頂きます。
VRお店は稲着さん、内田さん、浅枝さん、矢澤さん、藤原さんの順番でした。
・稲着さん

このサービスだとまず最初に疑問になるのがVRが本当に普及するのか?という事の根拠
どのくらいまで普及すれば利益が出るのか突き詰めないといけない
なにが流行になるのか、技術的動向の専門知識が必要になる
単なる実在の店舗の劣化版では弱いかもしれないので、実際のお店以上の体験ができると良いのではないか
VRの普及に賭けるのはリスクなので、ロードマップを引くと良いかも
例えば最初はスマホ単体でのサービスを提供して、VR普及に伴ってVR版も作っていくなど
appleもまずはiPhoneを提供してからそこからユーザーをMacの購入に導いていった
バーチャルで言えばセカンドライフがなぜ上手くいかなかったのかなどの類似事例の研究もしてみては
バーチャルなお店を作るのに大きなコストがかかるのではないか?敢えてマインクラフト風の画面にするなどリアルでない方向性でコストを抑える手もあるかもしれない
決済手数料だけのビジネスモデルだと収益が小さいので自分たちで在庫を持って販売を行う事も考えてみていいのでは

・内田さん

服をネット通販で買う時に少ない画像だけみて買うと失敗する事があるので、VRで手に取って見て買えれば便利そう
サイズ感までは難しいと思うが、大体自分のサイズはわかってるはずなので
でもわざわざHMDを被ってまでというのは…強いキッカケが必要になると思う。
(VRは映像を見る用途が主だが、例えばVR内でYoutubeを見てて商品広告からそのままその商品のVRお店にワープできたらどうでしょう?)面白いかも
映画を観ている時にその俳優が着てる服や置いてる小物をそのまま買えたりしたら面白そう
お客さんの客観的な意見のリサーチが必要
例えば後からアマゾンや楽天が同じ業態に参入してきた場合にこちらの強みとなるものは何か考えてみよう
いっそYoutubeなどと組んでいっしょにやるのもいいかもしれない

・浅枝さん

とにかく一言のキャッチコピーで説明できるサービスであるべき
この製品でTVCMを打つとしたら何と説明するか?
(映画のなかでショッピングができる、というのは?)面白い
自分はセカンドライフでビジネスを行っていたが、当時はPC性能の不足などの課題があったが今でもVRのような物の時代は来ると思っている。
マインクラフトがあれだけ流行ってセカンドライフが来ないというのは不思議

・矢澤さん

ユーザーはどういうモチベーションでこれを使うだろうか
最初にVRを買う層がターゲットならばVRお店で売るものは彼らにマッチしたものか
とにかくスマホのサービスなどに比べてパイが小さすぎる状況
せめてVRのユーザーに徹底的に合致したものを売るなど
ECと実店舗の売り上げは1:9なので企業はたしかにECの売り上げは増やしたいと思っている
自分も服を買う暇もないくらい忙しいので、VRで家にいながら実店舗と同様に買い物ができるなら使ってみたいと思う
現状はVRのビジネスはすでにあるが、イベントの配信など
ユーザーがHMDを買うのを待つより、こちらでVRHMDをたくさん持っておいて、例えば月額千円などでレンタルサービスも行ってみるのはどうか
今からビジネスを始めるのに普及を待つという事は言っていられないので、現時点で実現可能なビジネスモデルを考えよう。
ホテルや飛行機に置いてもらってお客様に貸出するとか
最新技術という事で言えば一時期3Dプリンタのスタートアップが流行ったが、しばらくしてみると専門業界では確かに3DプリンタのニーズはあるがtoC向けのメーカー企業は苦戦しているのが現状。
ビジネスモデルキャンパスも活用してみては?

ビジネスモデルキャンパスの関連記事 → ビジネスモデル・キャンバスで企業分析

・藤原さん

話がVRが前提になっているが、何故VRじゃなければいけないのか考えよう
試した瞬間に虜にできれば勝ち。
誰の何を解決しようとしているのか、このプロダクト無しではいけないのか考えよう。
ニッチなユーザーを占有する方針でもいいかも。ターゲットを広くとるならどれくらい普及するかの予測データが欲しい
映画の中で買い物できるとしたら、映像制作にお金がかかるのではないか。有名映画を使うとするとライセンス料が高い
プレゼンでどこを訴求していくのか考えよう。どれだけVRが普及するのかは突っ込まれると思う
VRを広めようとしてるんだから、HMDのメーカーに協力してもらってハードをもらったりできないのか?相談してみては。資金提供などでも

コーチングの内容はこんな感じでした。
私もKさんもVRが家庭に普及するは大前提で当然の事だと思っていたので、VRはそもそも流行るのか?という視点は無かったので、そうか…そもそも普通の人はVRの事とか知らないんだよな…という事にここに来て気付きました。
そもそも発売されてもないハードウェア上のスタートアップなんて普通じゃないといった感じで、言われてみればごもっともですね。
しかしビジネス目線でもらった意見は目からウロコな物ばかりだったので、頂いた意見をまとめてビジネスモデルをブラッシュアップです!

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VRお店 コンセプトは「まるで映画の中みたいな世界でお買い物」です!
この時点で日常的なスーパーでの買い物というよりはもっと特別な買い物、つまりファッションをVRの特別な体験の中で買うというサービスになりました。
リアルのお店の再現と言うよりは、現実では不可能なリアル以上の体験ができるお店を作ります。
ロードマップとして最初は企業とタイアップしてまずはいきなり売り上げを上げる事よりも広告目的で展開する。
HMDが普及してない段階では飛行機やホテルに置いてもらい、機器のレンタルサービスも行ってお客様との接点を作っていく。

誠二さんもアドバイスに来てくれました。

VRといえば映画のディスクロージャーやトゥモロー・ランドもチェックしてみては?
サイコパスでは部屋の模様をVRで変えられる
買い物は欲しい物を探して回るストレスも面白さなのかもしれない
自分は気に入ってるいくつかのセレクトショップを巡回してるが、引っ越しで遠くになってしまい通いにくくなった店もあるので、VRで新入荷製品をチェックしてショップに買いに行くなんてできたら便利だと思う
ある服飾店では店内の端末で店員に対面じゃなくてチャットで商品についての問い合わせが出来る。
対人の接客は苦手だけど商品知識が凄い人なんかはVRでの店員として活躍できたりして?

そうこうしている内に夜になってしまいました。
MVPはできましたか?顧客は見つかりましたか?とせっつかれます。
我々のチームはまだどちらも出来ていません…
他のチームは六本木の街角で実際にアンケートを取りに行っているようです。
SWでは実際にお金を払うよと言ってくれる顧客を見つける事を重要視しています。
だから現実の顧客を探しに外に出ていくのです。

とりあえず我々も今日の内にリサーチはやっておきたい…他の人員が潤沢なチームならリサーチ要員を確保できましょうが、我々は2人であるためここに来てリソース不足がキツい局面に。
誠二さんは他のチームから引き抜いてもいいんだよと仰り、私もそれとなく声を掛けてみるものの、他チームの結束は固いようです。
仕方ないので自分で外に行くことにしました。
顧客に対してのアンケート…我々にお金を払ってくれるのはお店なので、顧客は店という事になるでしょう。
20時を回り、この時間になるとお店と言っても周りでは六本木ヒルズくらいしか開いていないのでヒルズのショップに飛び込んでいくしかありません。
まずショップに入って店員さんに、「私たちは今新しいビジネスを考える勉強会をやっているんですが、簡単な質問に答えていただけませんか?」と聞いてみます。しかし見せられるMVPは無いので、とりあえず店員さんにGearVRコンテンツの全天周写真を見てもらい、「こんな感じでこちらのお店をVR上に出店できるとしたらやりたいですか?」と聞く作戦です。
これまで営業の経験なんてない私が飛び込み営業みたいな事をするというのは、これはかなり精神的にキツい経験になったので細部は省略します。

とは言えみなさん優しいのですげなく追い返されるみたいな事は無かったです。
案外突撃してみればみんな頭ごなしにノー!とは言わないんだな、というのは実践での気付きでした。
考えてみると私の家にも訪問セールスマンがやって来ますが、何か苦労してそうなのを見るとどんだけどうでもいい物でも一応説明だけは聞いてあげようという気になりますね。
しかし私が店員さんと話してるとそれが呼び水になるのか他のお客様が来店されて、そうなると店員さんはお客ではない私でなくお客様の接客をしなければならないので、なかなかアンケートが取れないです。
6店舗くらい回って4店舗くらいから回答を頂けました。
しかし、残念なことにVRお店をやってみたい!という回答はもらえませんでした。
というのも、そもそも通販をやらない対面販売で売るのがポリシーだったり(ヒルズはそういうお店が多いそうです)
買って失敗しても諦められる低価格の服と違ってウチは高級ブランドなので、ちゃんと店でサイズ感を試さずに買ったりできない
VRと言われても何の事やらピンと来ない
などなど。
とは言えポジティブな受け止め方をしてくれる方もいました。
面白い。自分だったら是非VRで買い物してみたい。
などなど。

しかし営業がこんなにキツい物だとは。
いえ、普通のセールスなら買ってもらえなくてもこの商品を考えた奴がダメなんだ!と他人のせいにして精神的に逃げる事も出来ますが、自分の考えたプロダクトだと本当に逃げ場がないので否定されたらダイレクトに自分にダメージが入ります。
今思えば本当にオススメできる素晴らしいプロダクトだと信じてるなら自信をもって売り込めばいいし、拒否されても絶対に顧客はいると信じて諦める必要は無いんですが、当時は顧客が見つからなかった事に意気消沈してました。
六本木ヒルズという特殊な場所でリサーチをかけたのも敗因かもしれません。
顧客はもっと別の所にいたのかも?

リサーチから会場に戻って結果報告した頃にはすでに解散の時間に。
KさんはすでにUnity上でデモ用のお店を作り上げていたのでそのファイルを受け取ってから帰宅。
帰ってからはとにかくMVPの制作が進んでないのが懸案だったので深夜までかけてUnityからGearVRでお店を眺められるところまで作りました。

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こんな感じのお店です!

(MacBookからアプリ書き出しがうまく行かなかったのはosigファイルの入れ忘れでした。
なまじ起動してOculusユーティリティが表示されていたのでそこに思い至るまで時間がかかってしまいました)
Kさんは翌日のプレゼンに向けてやはり深夜まで資料作成をしてくださってました。

10/4 SW3日目


前日深夜まで作業していたので寝坊してしまいました。急いで会場に向かいます。
バスに乗ってる中で昨日から気になってたいくつかの事が頭をグルグル回り始めました。
指摘された通り、現実以上の体験ができるお店を作ると言っても、その制作コストはどうすればいいんだろう
リサーチの結果顧客が見つからなかった…ショップはもう自分の店があるんだからわざわざVR上にも店を持つモチベーションがないんだろうか
浅枝さんが言ってたセカンドライフが流行らずマイクラが流行る理由って何だろう…
セカンドライフとマイクラの違い、セカンドライフは企業主導だけどマイクラはユーザー主導でユーザーがコンテンツを作っている。
現実ではできない事もVRならできる…本当に困っていてVRお店を求めている人って、ショップの店員さんじゃなくて、自分の店が持ちたいけどお金が無くて持てない人達なんじゃないのか?
自分のお店が作りたい人に自由に店の内装、陳列を作ってもらえば制作コストはかからないな。

ここでひらめきがありました。
つまり
顧客:ショップ  VRお店を制作する人:我々
というのを
顧客:お店を持ちたい一般の人 VRお店を制作する人:彼
という風にピボットすれば全部解決するのではないか?

つまり、お店が作りたい人向けに自由に内装を作成できるツールを提供するサービスにするのです。
誰でも自由に自分のお店を作って、好きな商品を陳列します。
商品は例えばamazonの商品を並べられて、購入されたら店のオーナーと我々でアフィリエイト料をシェアして利益にするモデルです。自分のお店を作ったらその人は他の人に見せたいと思うでしょうし、それならVRHMDを買って他の人に体験させるモチベーションも生まれます。

私はこのひらめきを素晴らしいアイデアだと思ったので会場に到着したらKさんにこのようにピボットしたい旨を伝えましたが、Kさんの意見としては

・まずマイクラがユーザー主導だから成功、セカンドライフは企業主導だから失敗と言うのはファクターはそれだけではないはず
・ユーザーにお店を作らせるというのではディズニーランドのような現実以上の映画の中のような体験をさせるというコンセプトが根底から崩れてしまう
・もう資料は完成しつつあるし、いまさらピボットするメリットはない

という事で、ピボットには反対されました。

Kさんのいう事ももっともですが、私は今朝のアイデアは絶対良い物だと確信があったので、誠二さんやオーガナイザの花田さんにVRお店から派生させてユーザー作成VRお店もやらせて欲しいと相談しました。
しかし聞いてる方からすればVRお店とユーザー作成VRお店で何が違うのかよくわからず、多分それは結婚すればわかるが夫婦喧嘩みたいなものなので、まずはキッチリ話し合ってみて欲しい。
どうしても派生させたいならチームをキチンと割ってもらう事になりますとの事。
う~む…ただでさえ2人のチームを割る…
その後話し合っても話し合っても平行線をたどる我々を見かねて誠二さんが間に入ってくれて、2人とも口下手みたいだからとにかく図に書いて意見の違いを具体化してみようと提案してくれました。
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お互い何がやりたいのか図に書いてみると、確かに提供するサービス内容は殆ど同じな事がわかりました。
誠二さんは一体何が違うのかわからないと仰りましたが、VRお店では企業にアプローチするのに対してユーザー作成VRお店は自分のお店が欲しい一般人にアプローチするのが違うのです。
結局どっちの言い分が正しんだろう?
誠二さんは結論が出ないのは2人が顧客の事を何も知らないからだと仰りました。
私は少なくとも昨日リサーチした限りでは企業の顧客は見つからなかったし、周りのSW参加者に自分のお店を出せるとしたら出したいですかと聞いたら半数以上の人が出したいと言ったと主張しました。
Kさんはヒルズはリサーチ対象として適切ではなかったと思うし、自分のお店を出せるとしたらなんて聞き方だと出したいというに決まってると主張。
たしかにその通りです。
誠二さんはじゃあ適切な顧客にもう一回リサーチしてみた方がいいよ。と仰りました。
たしかにその通りです。

そうして私はもう一度、今度はヒルズじゃなく普通の個人のこじんまりしたショップを探してリサーチに出かけました。
Kさんは自分の知り合いでフリマとかによく出店してる人に電話でリサーチしてみるとの事。
しかし個人ショップって意外と日曜日を定休としている事が多く、探すのは大変でした。
何とか見つけて突撃したショップでも、
私は店長じゃないのでそういう事は判断できない
VRと言われてもよくわからない
というような反応。

そうこうしている内に15時を回ってしまい、もう17時からのプレゼンの準備に入らなければならない時間。
慌てて会場に戻り結局ピボットしてる暇もなくなし崩しに当初の内容でプレゼンする事になりました。

プレゼンの資料は冒頭でも紹介した
http://maronx921.wix.com/warp-shop
こちらです。
資料を作成してくれたKさんにそのままプレゼンして頂きました。

審査員の方々の反応は、

・アバターの店員というのは面白い
・世界観がカッチリ固まっているんだからそれにあった商品を自分たちで作ってみては?
・いずれこういう風になる世界は来ると思う
・アマゾンなどが参入してきた時に対抗できる強みは?→デザイン性
・たしかにこの辺はホワイトボックスになってると思う。
・このプロダクトのような流れは絶対来るので迷うことなく今の内に早く作ったらいいと思う。

不安と裏腹に好評でした!
Kさんの作ってくださった資料は見る者が惹きこまれる魅力的な世界観を作り上げていたのです!

ここで他のチームのプロダクトも簡単に紹介。
1位に選ばれたのは「釣りバカ」

→釣りざおに仕込んだセンサーによりみんなの釣果データが自動的に溜まっていきビッグデータとして利用できるようになっていく

2位「Notteru」

→ウェアラブルのブレスレットの発行色で自分と同じくらいノッてる人を見つけられる

「生き道」

→子供たちが尊敬できる大人に触れ合える機会を作って成長体験をサポートする

「ゴールデングローブ」

→イベント開催にクラウドファンディングの要素を加えて生活のためにステージの上に立つことを諦めた人たちがもう一度チャレンジする事をサポートする

どのチームのプロダクトも面白いですし、プレゼンまでに完成度が仕上げられていました。

チーム表彰以外にも今回は特別にMVPも選出!
最年少参加者の方が高校生でSWに参加している意識の高さとプレゼンでの活躍を称えられMVPに選ばれました。
おめでとうございます!

優勝チームの表彰の後はアフターパーティです。
色んな人達と歓談しました。
Music Hack Day Tokyo 2015 優勝チーム Team GoGyoのサービス「Squeeze Music」とのコラボで、リクエストした音楽のムードに合った味のジュースが自動生成されるサービスを体験できるイベントもありました。

アフターパーティでVRお店はいっそAmazonやSCEなんかに持ち掛けてみては?という提案をくださる方もいました。
私もKさんもそんな大それたスケールの事は考えた事無かったので仰天しましたが、PS3でPlaystation Homeのようなサービスもありましたし、案外話してみると実現したりして…

Kさんとも今後について相談しました。
VRお店は私は今後とも是非実現に向けて動いていきたいという事で、Kさんにはアドバイザーになってもらいました。

後は片付けて会場を原状復帰して解散して帰宅しました。
書くタイミングを逸してしまいましたが、3日目のお昼頃に誠二さんから紹介のあった動画が。
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関連リンク → 最低レベル…日本の「企業意識」

日本では企業を考えている人が少ないそうです。
それに関連して日本から起業家をシリコンバレーに送り込むプロジェクトの紹介も。

関連リンク → 次代の起業家候補をシリコンバレーに送り込む「始動 Next Innovator 2015」がキックオフ・イベントを開催

他には2日目の夕方くらいだったと思いますが、誠二さんより、自己紹介のプレゼンはビジュアルを駆使すれば言わなかったことも伝えられるという実演がありました。
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感想


今回のSWは終了しましたが、フェイスブック上にはグループが作成されてその後もコミュニティが続いています。
SW参加経験者の集まりも定期的に開催されているそうです。

以前のSW優勝者の方で現在も事業の実現に向けて絶賛取り組み中の方もいます。
SWは起業家になってもらうイベント。
つまり、SWというのはそこで終わりではなく始まりだという事です。
SWでは3日間でこれだけの事しかできなかったというフラストレーションを溜めて、その経験を生かしてほしいという李さんの話もありました。

私が今回のSW参加で切に感じた事は、ビジョンを持つことの必要性でした。
ビジョンというのは、世界がこう変わる!とか具体的にこれがこうなる!という物です。
デザイン、世界観も含めてのビジョン。

VRお店がプレゼンで評価されたのもKさんが作り上げた世界観が素晴らしく魅了されるものだったからです。
しっかりとしたビジョンを持っていてそれを説明できていれば、リサーチの時でも反応は違っていたかもしれません。
ハッキリとしたビジョンをチームで共有できていれば、意思疎通もスムーズになり、チームが割れそうになるような事も無かったでしょう。
誠二さんが紹介してくれた有名な起業家、G・カワサキ氏の言葉にも、

創業者が「世界を変えたい」と思った時こそが、偉大な起業の始まりです。
稼げる事業アイデアが浮かんだ時ではないのです。

とあります。

私はエンジニア気質なので自分が実装できる目途が付く範囲でアイデアを考えたがりますが、自分が実装できるかどうかとか、手元のデバイスで実現できるかなんてまだ考える必要はないんです。
ビジョンですから。
別に自分で全部実装できる必要もする必要もないです。

ビジョンを抱く。
ビジョンに確信を持つ。
そうすればそのビジョンを他の人に伝えたくなる。
お題目みたいにビジョンを語りまくってたら中にはビジョンに共感してくれて、手伝ってくれる人もいるかもしれない。
後はビジョンを実現するために走り続ける。

SWではビジネスモデルやリーンの重要性などを学びましたが、究極的にはビジネスの根幹はビジョン。
起業家に必要な物は、世界を変えるビジョンです。
私がSWで身をもって学んだ最も大きな物はこれだと思います。

どうやってビジョンを築いていくのか。
全てを自分の頭の中で考え付く必要はないと思います。
例えばOculus社では社員全員にアーネストクラインの著書ReadyPlayerOne(邦題:ゲーム・ウォーズ)を配布しているそうです。
この本の内容がOculusのビジョンなんですね。
ビジョンはなるべく具体化して、共有しやすければいいので、SF映画やアニメも参考になると思います。
この映画のコレをやりたい!と伝えれば話は早いですよね。
SWでもいっそソード・アート・オンラインをやります!と言ってくれればわかりやすかったという意見もありました。

そういう訳で私はまずは色んなコンテンツをインプットして自分の中にビジョンを描くところから始めてみようと思います。

さて、元々は一人で思い付いた事で、誰に相談するアテも無かったVRお店のアイデアですが、SWに持ち込んでチーム化して、コーチの皆様から意見を頂き、3日間でここまで現実的なビジネスに昇華する事が出来たのは本当に凄い体験でした!
普通ビジネスコンサルタントみたいな人に相談したらかなりのお金がかかるのではないかと思いますが、SWでは参加費だけでここまで出来ます!
審査員にはベンチャーキャピタルの人も見えられて、もし気に入ってもらったらその場で投資を頂けるようなチャンスも無きにしも非ずかもしれません。
VCの方相手に事業をプレゼンできるチャンスなんて相当貴重じゃないですか?
私はビジネスについて何も知らなかった所から参加しましたが、3日間で色々な事を学ばせていただきました。
SWで学べるものは人それぞれだと思いまうが、この記事を読んで興味を持ってくださった方は、是非一度参加してみては如何でしょうか?

私はSWではあまり活躍できなかったのですが、最後まで付き合ってくれたKさんには一番の大感謝です!
SWファシリテーターの誠二さん、オーガナイザー、コーチ、審査員のみなさんにもお世話になりました!
ありがとうございました!
そして何よりこの記事をここまで読んでくださったあなたにありがとうございました。

この記事の前編はこちら⇓
【前編】2015/10/2~4 Startup Weekend Tokyo Entertainmentに参加しました