タイトルの通り、Marvelous DesignerとVRoid Studioを使用してまどマギの鹿目まどかちゃんの3Dモデルを作成しました。
↓これらのスクショはUE5で撮りました。
前置き
私はなんだかんだ高校生の頃から3Dモデリングをやってますが、当時から常々思ってたのは、モデリングというのは非人間的な作業だという問題意識です。
CADみたいな感じで直線的な建物を作るだけならまだいいです。
キャラクターとかを作ろうとし始めると一気に悪夢化します。
というのも、そもそも2D画面のディスプレイを見ながら2D操作しかできないマウスを使って3Dの物体を作るのが間違ってます。
これはUFOキャッチャーのアーム越しに絵を描こうとするとか、あるいはボトルシップ制作と同じくらい回りくどい作業です。
自分の手を使って粘土をこねて何かを作る時は、我々は両目を使って3次元で対象を見て、手を使って三次元的に粘土を弄れます。これこそが、人間的で直感的な作業だと思います。
このような問題意識から、私はVRモデリングソフトのArtstageを開発しました。
VRならば、ヘッドセットで3次元でモデルが見えますし、手で粘土を直接弄るように、VRコントローラで直接モデルを触って編集できます。
これは、ボトル越しにモデルを作るボトルシップ的苦行から、邪魔なボトルの存在を取り払うかのごとき革新だと私は思ってます。
https://store.steampowered.com/app/523050/Artstage/
Artstageは一定の成果を収めて、モデリングの苦行をある程度取り除けたと思ってます。
しかし、それでもやはりまだキャラクターモデル制作には面倒さが色々と残ってます。
私は理想を言えばキャラクターモデルは、ゲームのキャラクリエイトみたいな感じでサクッと作れるようになるべきだと思ってます。
それを実現するための方法として、このブログでは以前にDAZ Studioを提案しました。
DAZ Studioはリアル調のキャラ作成には便利ですが、アニメ調のキャラは不得意です。
じゃあアニメ調のモデルをキャラクリ感覚で作る方法ってないの?という話ですが、昔から有力な選択肢として存在したのが3Dカスタム少女という2008年発売のエロゲです。
3Dエロゲの世界では、自分の好みの女の子を自由自在にカスタマイズしてエッチな事をして遊べるゲームが常に人気を博しており、3Dカスタム少女もそのようなエロゲの一つです。
3Dカスタム少女では、ユーザーによるMod制作コミュニティが存在していて、作ったキャラをBlenderやMMDに持っていける環境が有志によって構築されています。
さらに画期的なのが、公式の利用規約で、3Dカスタム少女で作ったキャラモデルを自分の漫画やゲームなどに自由に使用していい事が明記されてる事です。↓
http://tech3d.sakura.ne.jp/3dcustom/c_xp/3dxp.html
というわけで、3Dカスタム少女は自作のゲーム用にアニメ調のキャラを用意するためのツールとして長らくのあいだ、唯一といっていい選択肢であり続けてました。
しかし、さすがに14年前のソフトウェアなので、作れるモデルに微妙に古さを感じはじめるような気がしなくもありません。
有志のModを色々導入すれば見栄え良くする事は可能ですが、有志Modの使用は上の利用規約の許諾には当然含まれません。
そんななか、新たな有力ツールとして登場したのがVRoidStudioです。
このツール、以前のバージョンではなんかクセが強いキャラしか作れなさそうなイメージでしたが、最近公開された正式版ではクセの無い顔立ちになっており、さらに顔パーツや体形の編集も充実していました。
VRoidStudioで一番画期的な機能は、髪形作成機能です。
なんかヘアネットみたいな手描きガイドを置いて、ガイドに沿ってマウスやペンタブでなぞれば毛束が描けます。
3次元的なややこしい操作はあまり要求されず、極めて簡単に髪形をコントロールできます。
VRoidStudioは完全に無料で使用可能で、さらに作成したモデルはほぼ自由に使用する事が可能です。
ハッキリ言って相当素晴らしいツールです。
しかし、じゃあこのツールで全てが完結するのか?というと、やや弱い点もあります。
それは”服“です。
用意されてる服のバリエーションは、以前のバージョンに比べるとかなり充実してきてるものの、着せたい服を何でも着せられるというほどではありません。
ちなみにこの問題はDAZも同様です。DAZは一見すると金さえ払えばありとあらゆる種類の服装でも売ってるように見えますが、じゃあ自分達が普段着てるような服を探しても意外と無かったりします。
3Dモデルの服は昔から根深い問題であり続けていました。
「服がないならBlenderで作ればいいじゃない」と言うだけなら簡単ですが、服と言うのはむやみに複雑な形状をしており、モデリングするのは困難です。
さらに、あるキャラクター用に服を作ったとしても、その服を別のキャラクターに着せ替えようとした場合にこれまたイチイチ面倒な作業が発生します。
この点については、DAZにアドバンテージがありました。DAZでは”Genesis 8“という素体キャラクターが全ての編集の起点になっており、つまりこの素体用に作った服は、体形(ボディモーフ)の変更に合わせて自動フィットしてくれますので着せ替え時の編集作業が不要です。
さて、そんなわけで3Dモデルキャラに服を用意するのは大変な作業なのですが、この作業を決定的に簡単にするために導入するのが”Marvelous Designer“(マーベラスデザイナー:MD)というツールです。
上で書いたように、Blenderでマウスを使って複雑な3D形状の服を作るのは非人間的な作業でしたが、MDでは基本的にそのような苦行は不要になります。
と言うのも、Blenderでは服を着た状態の複雑な形状をモデリングする必要がありますが、MDでは2次元上で服の型紙だけ作れば済むからです。
これはMDの画面の例ですが、左のスカートのモデルを作るには、右の型紙を用意するだけでOKです。あとはクロスシミュレーションによって自動的に左のような服を着た状態の複雑な形状が生成されます。↓
Blenderにもクロスシミュレーションは存在しますが、MDはシミュレーションのクオリティが圧倒的で、まるで本物の布のように動きます。だからこそ型紙だけから服の形状をシミュレートする事が可能になります。
服は形状が複雑でモデリングが大変という話でしたが、ドレープ(ひだ)やシワ(Wrinkle)の形状がややこしいだけで、型紙の時点では全然シンプルな2次元の形だったりするので、そこに着目したMDは画期的です。
MDはあまりにもシミュレートが迫真なので、現実の服飾デザインの知識がそのまま使えます。逆に言うと、服飾デザインを知らないと自由に服が作れません。
服飾デザインを勉強するのはやや面倒ですが、とは言えBlender上で複雑な形状を作るよりも負荷は小さく、何よりも圧倒的にたのしくて人間的な作業です。遊び感覚で色んな服がサクサク作れてしまいます。
さらにMDの強力な機能がオートフィット(自動試着)です。
MDで作った服は、全く体形が異なるキャラにもサクッとフィットさせる事が可能です。
動画ではリアルな女性が来ていた服を、棒人間みたいな極端に異なる体形のキャラに一瞬で着せ替えてます。
MDは3DCGにおける服を、本物の服と同じように制作して、取り回すことができるのがとにかく革命なのです。
DAZの中ではこのような事は可能でしたが、MDを使えばDAZに限らずVRoidだろうがカートゥーン調のキャラだろうが服に互換性を持たせる事が可能だという事です。
というわけで、ArtstageによるVRモデリングと、VRoidStudioまたはDAZ Studioによるキャラクリ的なモデル生成、そしてMarvelous Designerによる服の制作、これらにより非人間的なモデリングの苦行から解放されたキャラクターモデル制作が可能になる…というのが私のキャラ制作理論でした。
Marvelous Desingerをさわってみた
というわけで実際にMDを触ってみようと思いましたが、3Dモデリングの常識を覆すソフトだけあって、取っ掛かりがサーパリ掴めません。
というわけで書籍を読んでみました。↓
この本では、最初にメッチャ簡単な服を作るチュートリアルがあります。↓
なんか四角い型紙(パターン)を前後2枚用意して、左右対称コピーします。
それから縫い合わせ(繋ぎ合わせ)る線と線を指定します。
それだけです。それだけで画面左のようなそれっぽい服が作れます。
このチュートリアルをやって理解しましたが、MDの基本的な使い方はこれだけです。
パターンを描いて、縫い合わせる。マジでこれだけ。
これだけで服が作れます。
他はまあ細々とした便利機能が色々と付いてるので困った時にそれらを使えばいい感じです。
「でも、ゼロからパターンを作るなんてどうすればいいのかさっぱり分かりませんが?」と思うかもしれません。
そういう場合は、すでに用意されてるサンプルを元に改造していけば大体何とかなりそうです。
あるいは、現実での服の型紙を入手して、それをトレスするという方法も考えられます。
他にも、アバターの身体にピッタリフィットする服が作りたければ、アバター上にマウスでポチポチ線を引いて、それをパターンに変換する方法もあります。
使い方がわかった所で、じゃあとりあえず自分でなにか服を作ってみようと思いました。
せっかくなので、VRoidStudioと組み合わせてまどマギのまどかちゃんを作ってみる事にします。
魔法少女服はややこしそうなので、学校の制服にします。
VRoidのキャラをアバターとしてMDに持ち込む
MDでは服を着せる3Dキャラと言うか素体の事を”アバター“と呼びます。
デフォルトのアバターのお姉さんはなんかリアルで可愛くないので、VRoidからモデルをインポートしてMDに持ち込んでアバターにしたいですね。
というわけでVRoidでアバター用キャラを作ります。
とりあえず初期状態のベースヘアのみで服無しキャラでいいと思います。↓
ちなみにMDのデフォルトアバターお姉さんの髪形が可愛くないのは理由があります。
ロングヘアとかだとクロスシミュレーション時に引っかかって邪魔になるから髪をまとめてるわけです。
ですからVRoidアバターもベースヘアだけにしとくのが安牌です。どうしてももっとかわいくしないと作業のテンションが上がらない場合はしょうがないですが。
あとでまどかちゃんを作る時は、体形を変更すると思いますが、MDはどうせ体形変わってもオートフィットできるので今は気にしなくて大丈夫です。
(ちなみに、そうは言っても理想を言えばリアルなアバターで服を作っておく方が互換性が高そうな気がします。例えば棒人間みたいなアバターで作った服をリアルアバターにオートフィットしようとしても上手く行かなそうな予感がします。逆なら大丈夫な気がします。まあ本来着せたいアバターで服を作っておくに越した事はないでしょう。)
さて、VRoidStudioで作ったアバター用キャラをVRMファイルとしてエクスポートしてください。
この時、ファイル名に日本語は使わない方が無難です。
次に、VRMファイルをBlenderにインポートして、FBXファイルに変換する必要があります。
Blenderに2つのアドオン(無料)を導入する必要があります。
まず、「Cats Blender Plugin」です。
BlenderにインポートしたVRMファイルをいい感じにするために必要なアドオンです。
https://github.com/absolute-quantum/cats-blender-plugin
このプラグインは、私が使用した時はバージョン0.19.0で、Blender2.93に対応していました。
つまりBlender2.93をインストールして使う必要があります。(Blender3.2で試したらエラーが出て失敗しました)
次に、「VRM Add-on for Blender」です。
Blender上でVRMファイルを扱えるようにするために必要なアドオンです。
私が使った時はバージョン2.3.29でした。
https://vrm-addon-for-blender.info/ja/
というわけでBlender2.93を開いてこれらのアドオンをインストールして有効化してください。
次にBlenderにVRMファイルをインポートします。
サイドバーから”CATS”のタブを開いて、右上のアイコンをクリック、”VRM”のボタンを押して、VRMファイルをインポートします。
VRMファイル選択のオプション選択で、”テクスチャ画像をフォルダに展開”にチェックを入れてください↓
アバター用のキャラが読み込まれます。
次に”モデル修正“ボタンを押すと、ワンクリックで諸々をいい感じに修正してくれます。
ちなみにこれをしないとどうなるか?というと、MD上でひじの形がおかしくなったりします。
あとは”モデルのエクスポート”を押してエクスポートするだけです。
ただし、なんか警告が表示されるので、”OK”じゃなくて”Continue to Export”の方を押してください。
これでアバター用のFBXファイルができました。
MDを開いて、”ファイル”→”開く”→”アバター”を選択します。↓
ファイルダイアログが開くので、右下のファイルタイプからFBXを選択すると、FBXファイルが開けるようになります。↓
FBXインポートオプションが表示されますが、”サイズ”が”m(メートル)“になってるかだけ気を付けてください。
これでMD上にアバターが読み込めました!
ちなみにアバターのポーズを変えたい時は、”X線関節表示“をオンにするとボーンが表示されて、選択するとボーンを回転できるようになります。
オートフィット機能
せっかくアバターが表示されたので、サンプルのTシャツを着せてみようと開いてみると、こうなっちゃいます↓
なんか位置とかサイズとかが全然合ってません。
こんな時こそオートフィット機能を使いましょう。
まず、メニューから”試着スーツ作成”を選んで、アバターの首回りやウエストサイズを測定します。
一瞬で終わる簡単な作業です。
終わったら、試着スーツ作成済みのアバターをavtファイルとして保存できます。
“試着スーツ作成”はアバターごとに1度だけやればOKです。
ちなみに、試着スーツ作成のイラストはAポーズをしてますが、VRoidのアバターはTポーズです。「ポーズが異なるけど大丈夫なの?」と思うかもしれませんが、試したところ割と大丈夫でした。
ではあらためてTシャツを開いて、オートフィットしてみましょう。
2Dパターンウインドウのメニューから”自動試着”を選ぶとオートフィットが実行されます。
「うわっ!失敗した!?」
まあ…こういう時も稀にあります。
こんな時はどうするか?というと、一つ目の方法して、”無理やり着せる”方法があります。
シミュレーションをオンにして、服の端を引っ張ると割と無理やり着せられる場合もあります。
ほら着せれた↓
まあシンプルな半袖のTシャツだから無理やり着せられましたが、長袖とか靴下だとこの方法ではもう無理です。
そんな時はさっさと諦めて、メニューから”全パターン再配置“を選びます。
すると、服の縫い目がほどけてばらけます。↓
今回はそのままで大丈夫ですが、必要に応じて首や袖が通せるようにパターンの位置を調整してください。
これで再びシミュレーションすれば、ちゃんと袖と首が通った状態になります。
オートフィットを使う時は条件に注意してください。
まず、アバターは試着スーツを作成してある必要があります。デフォルトのアバターは最初から作成済みです。
そして、服は”試着スーツを作成してあるアバター上でシミュレートをかけておく”のが条件です。
アバターと服の両方が条件を満たしてればオートフィットが実行できます。そうでなければなんかエラーが出ます。
まどかちゃんの制服を作る
まどかちゃんの制服を作るにあたって、とりあえずアニメの資料を観察しました。
で、今回実際にMDで作った制服がこちらになります↓
まず、今回作ったのは上半身のブレザーだけです。
スカートと靴下は特に特徴のない普通のそれだったので、ArtStationで購入した学校制服のMDファイルから流用しました。(なるべく手を抜きたい)
胸元のリボンとローファー(靴)については、MDで作らずに、VRoidStudioで用意されている物を使いました。
作ったブレザーに関しても、デフォルトのTシャツを改造しただけです。
Tシャツのパターンはこんな感じですが、見比べると違いがよく分かります。
まず、Tシャツは丈が短かったので、単純に縦に伸ばして丈を長くしました。
襟(えり)
まどマギの制服の襟は、なんか首の上の方まで来てますよね。
あれはループカラーだかスタンドカラーだか言うヤツで、単にTシャツの襟に長方形を縫い付ければOKです。
詳細は書籍に書いてます。
ダーツ
Tシャツに比べるとまどマギ制服の方には何かひし形の切れ込みが一杯入ってる事に気付きます。
これらは”ダーツ”というものです。
ダーツが無い服は、なんかダボッとして寸胴な見た目になりがちです。
ダーツの切れ込みを入れて縫い合わせると、そこだけ絞られた形にできます。
ウエストに合わせて形を絞ったりできます。
まどマギ制服は肩やウエストに絞りがあるので適当にダーツを入れまくってみました。
現実の布だと適当に切り刻んだら取り返しが付きませんが、MDはダーツ入れた後に動かしたり消したり簡単にできるので深く考えずに入れまくってます。
長袖
Tシャツは半袖ですが、制服は長袖なので、単純に袖の先に長方形を追加して長袖にしました。
襟もそうですが、縫い合わせる二つの線が同じ長さになるように気を付けてください。
そうじゃないと、短い方の布に長い方の布を無理やり縫い合わせることになるので、そこがクシャクシャになっちゃいます。
「え?でもこれ全然長さ合ってねえじゃん」と思うかもしれませんが、これはわざとクシャクシャになるように敢えて縫い合わせる布の長さを変えてます。”ぐし縫い”というテクです。
なんか肩の膨らんでるヤツ
アニメのまどマギ制服はなんか肩の所が膨らんでます。
鉄板でも入ってんのか?ってくらいパキパキしてますが、あいにくMDでどうやればパキパキにできるのかは分かりません。
要するに白雪姫の肩のヤツみたいな事だろ?と解釈する事にしました。
ギャザースリーブかつパフスリーブにすれば良さそうです。(詳細は書籍を参照)
まどマギのRAHでの表現を見ても大体そんな感じだよな↓
というわけで、Tシャツの肩の部分を単純に横方向に2倍くらい伸ばしました。
こうすると”ぐし縫い”されてクシャクシャになります。
なんか肩のとこだけモコモコに膨らんでるのは、ここだけ圧力をマックスにしてるからです。
圧力を減らすほど、布が身体にピッチリと吸い付きます。圧力を増やすとモコモコ膨らみます。
裾(すそ)
まどマギの制服の裾は、なんか赤いラインが入ってて、その下に白いギザギザが付いてます。
MDでは色を変えたい時は分割して別マテリアル(Fabric)を割り当てます。
まあデカール的にグラフィックを貼り付けるという方法もありますが、とりあえず今回は分割します
まず赤いラインです。
ラインを入れたい線を選択した状態で右クリック→”内部線としてオフセット”を選ぶと任意の幅を指定して内部にオフセットした内部線を引けます。
内側じゃなくて外側に伸ばしたい時は、右クリック→”パターン外周線延長”の方を使ってください。(内部線作成にチェックを入れる)
オフセットされた内部線が選択された状態になるので、もう一度右クリック→”カット 縫い合わせ”を選ぶと、別のパターンに分離して、なおかつ縫い合わせてくれます。
同じような要領で、内部線を引いてカットして、首周りのブラウス部分とブレザー部分の分離もできます。本来ならちゃんとブラウスの上にブレザーを着せるような作りにすべきかもしれませんが、ひとまず見た目さえそれっぽくなればいいのでそこまでやってません。
さて、白いギザギザですが、これは”スカラップ(Scallop)”と呼ばれるものだそうです。
スカラップの作り方はこちらの動画が参考になりました。↓
まず線を選んで、右クリックから”分割”で等分割を選択して適当に分割します。
次に、手動で一つ置きに頂点を選択してまとめて移動するだけです。
袖の折り返し
まどマギ制服はなんか袖が折り返しみたいになってます。
MDで袖を折り返すには、まず折り返したいところに内部線を引きます。
次に3Dウインドウの”折りたたんで配置”ツールを選択して、折り返したい内部線を選択すると矢印が出てきて、矢印をドラッグすると折り返しが出来ます。
ただし、折り返そうと頑張ってみるってだけで、構造的に無理があると失敗するようです。
ダメな時は”タック”で無理やり留めてみたりすると何とかなるかもしれません。
その他の細かいテク
・スチーム
パターンの一部を縮めたり伸ばしたりしたい時は、アイロンのアイコンの”スチーム”ツールでパターンを塗る事で収縮させられます。
収縮率がマイナスだと縮んでいきます。(青色)
プラスにすると伸びていきます。(赤色)
便利に見えますが、シワを伸ばしたかったのにむしろシワだらけになったりしがちです。
調子に乗って塗りまくると服がどんどん縮んでいきます。
また、消しゴムツールが無いので、ペイントをキャンセルしたい時は右クリックでパターン単位で全消しするしかないようです。
・収縮率
なんか服がパツパツすぎる!とかダボダボすぎる!と言う時は、パターンのプロパティから”横の収縮”と”縦の収縮”でシミュレーション時のパターンの大きさを拡大縮小できます。
収縮を大きくすると拡大、小さくすると縮小です。
・裏地の材質を変える
マテリアル(Fabric)のプロパティで、”Front”や”Back”で表面と裏面の材質設定をそれぞれ設定できます。
なんか私の環境では最初上手く行きませんでしたが、”テクスチャマッピング”の項目を一旦”Repeat”から”Unified”に切り替えてから戻したら正常に設定できるようになりました。理屈は分かりません。
・粒子間隔
粒子間隔を小さくするほど、シミュレーション時のポリゴンが細分化されます。
つまり、これを小さくするほど見た目が綺麗になったりしますが、代わりにシミュレーションの負荷が上がって動作がもっさりします。
作業中は粒子間隔を大きく(20くらい)しておいて、仕上げに小さくする(5とか)のがいいんじゃないでしょうか。
ちなみにデフォルトの粒子間隔の値は環境設定で変更できます。
・布の厚みを変える
こちらの画像、分かりにくいですが襟の端と茶色い所が盛り上がってるのがお分かりいただけますか?↓
材質全体の厚みは”Thickness”の値で変更できます。
「このパターンだけ厚くしたい」と言う場合は”追加の厚さ – レンダリング”と言う項目で設定できます。
ただし、素材の厚さを見た目に反映させるには、表示設定を”テクスチャ(厚み有り)”にする必要があります。
VRoidStudioでまどかちゃんを作る
というわけでMDでまどかちゃんの制服ができたので、次はそれを着せるためのまどかちゃんの中身をVRoidStudioで作成します。
VRoidStudioはかなり簡単に扱えるツールで、沢山あるパラメータを弄ってくだけでかなりまどかちゃんに寄せられます。
服はハイソックスとローファー、胸元のリボンだけを着けた状態にしておきます。リボンはテクスチャ編集で赤く塗っておきます。
髪については既存のプリセットからちょっとアレンジしただけです。↓
ツインテールに付いては、小っちゃいツインテのつけ髪プリセットを改造してます。
うしろ髪もツインテ用の物があるにはありましたが、まどかちゃんとは髪を結んでる高さが異なります!これについては違和感はありますが、一旦気にしない事にしました。
後からVRoidStudioに戻って来て再調整するのは大して大変ではありません。
アニメに寄せるなら髪のテクスチャも編集すべきかもしれませんが、これも一旦そのままにしてます。
まどマギキャラの特徴的な”眼”については、アイラインと眼球のテクスチャを加筆しました。
VRoidStudioでの作業はこんなもんです。
完成したらVRMファイルにエクスポートします。
それから、アバター用素材のVRMをMDに入れた時と同じ要領で、まどかちゃんのVRMをBlenderでFBXに変換してMDに入れます。
この時、胸のリボンはクロスシミュレーションの邪魔になるのでBlender上で消しておいてください。
制服をまどかちゃんの体形にフィットさせる必要があるので、試着スーツを作成してからオートフィットを実行します。
それでシミュレートしてみると、何か知らないけど裾がスカートに押されて上にめくれ上がっちゃいました。↓
こういう場合、無理やり何とかするならば、例えばピン止めツールとか使って一旦裾を下まで引っ張り下げます。
それからピン止め解除するとゴムみたいに裾が上に戻っていきますが、戻りきる前にシミュレーション止めちゃえばOKです。
これで今度こそまどかちゃん用の制服が完成です。
Blenderでまどかちゃんに制服を着せる
MDで完成した制服をobjファイルにエクスポートします。
それからBlenderを開いて、まどかちゃんの中身のVRMと制服のobjファイルをインポートします。
MDからインポートした制服は、ポリゴン数がバチクソ多い状態です。
せいぜい数万ポリゴンまで抑えらえるように、デシメートモディフィアを使ってバチバチにポリゴン数をリダクションしとかないとマズいです。(1/10~1/20くらいまで減らさないといけないかも)
ところでこの時点でまどかちゃんのツインテールのリボンが足りてません。
これについてはしょうがないのでBlender上でサクッとモデリングしてください。
さて、制服をスキニングする方法ですが、制服オブジェクトをまどかちゃんのアーマチュアに親子付けしてからウエイト転送すればOKです。
ウエイト転送の方法についてはこちらの記事などを参照ください↓
自動のウエイト転送だと細かい部分で破綻が起きるかもしれません。
目立つ破綻はしょうがないので手動でウエイトペイントして修正するしかありません。
細かい破綻はとりあえず放っておきます。
どうせ後からBlenderに戻って来てウエイト修正し直すのは簡単です。
ただし、MDまで戻って制服を修正してしまうと、Blender上で行ったウエイト修正は消えてしまう事に注意してください。
まあ、その場合は旧制服(手動でウエイト修正しちゃったヤツ)のウエイトを新制服にウエイト転送すればOKだと思います。
これでスキニングはOKですが、まどかちゃん本体がトゥーンシェーダ(MToon)で描画されてるのに対して、制服はPBRでリアル調に描画されてるという違いに気付きます。
制服のマテリアルをMToonに変更するなら、サーフェスをプリンシプルBSDFからMToon_unversionedの放射に変更します。
そしてMainTextureとShadeTextureに元のテクスチャを再設定します。
それからアウトラインの調整も行う必要がありますが、正直言ってBlender上だとアウトラインとかがプレビューできないので、調整は困難です。(MToonでの見た目をプレビューする機能もありますが、私の環境ではエラーが出ます)
ぶっちゃけVRMのマテリアル調整はUniVRMを入れたUnityエディタ上で行うのが一番正確で簡単なのでオススメです。(一旦BlenderからVRMをエクスポートして、Unityにインポートして、マテリアル調整してからまたVRMエクスポートする)
というわけで、マテリアル調整が終わったらVRMファイルとしてエクスポートします。
これで制服まどかちゃんの3Dモデルが完成しました。
まどかちゃんのVRMをUE5に持ち込んで使用できるようにする
せっかくなので完成したまどかちゃんVRMをUE5に入れてみます。
UnrealEngineでVRMを扱うといえばもちろんはるべぇさんのVRM4Uを使うので、インストールして有効化してください。
UEにVRMをインポートすると生成されるスケルタルメッシュをビューポートに放り込むと、ただちにまどかちゃんが表示されます。
かわいいですが、まだアウトラインとかが表示されてません。
・見た目の調整
こちらを参考に、MToonAttachActorをセットしてあげればアウトラインやシャドウマップが表示されます。↓
よくなりました。
ちなみにこちらを参考にして、マテリアル調整ウインドウから、別の雰囲気のマテリアルに変更する事も可能です。↓
たとえばマテリアルを”SubsurfaceScatteringProfile”に変更するとこうなります。↓
ややリアル調のシェーディングです。
しかし、顔のシェーディングの入り方が気に入らない場合はNormal to CameraやNormal to Lightの値を調整するとシェーディングの入り方を変えられます。
背景がフォトリアルな場合だと、キャラだけトゥーンシェーダだと浮いてしまいがちなのでSSSを使う選択肢もアリかもしれません。
UE5上でもMToonのアウトラインの太さとかをマテリアルで調整する事は可能っちゃ可能なのですが、なんか一旦MToonAttackActorを削除しないといけないとか色々ややこしいです。
・ゲーム向けのサードパーソンキャラクターとして使う
ゲームキャラとして使う場合の設定をしてみます。
UEのマネキンとVRMのキャラクターでは骨構造が異なるので、互換性がありません。
つまり、サードパーソンのアニメーションブループリント(ABP)をまどかちゃんに使いたければ、リターゲットする必要があります。
そして、UE5ではIKリターゲットという仕組みを使います。
そのためには、自キャラ用のIKリターゲッタを構築する必要があり、これは本来なら面倒な作業です。
ですがVRM4Uは最初からIKリターゲッタを自動生成してくれてます。
というわけで、こちらのページを参考に、サードパーソンのABPをリターゲットすれば、まどかちゃんを自キャラとして操作できます。↓
・コントロールリグを作成する
コントロールリグを設定すると、まどかちゃんに自由にポージングできます。
モーフリグを設定すると表情も自由に変更できます。
これはイラストや漫画、動画制作用に便利です。
コントロールリグのセットアップも、本来は面倒な作業ですが、例によってVRM4Uなら自動生成してくれます。
まず、こちらのページを参考にして、ボディリグとモーフリグを作成します。↓
それからこちらのページの”複数のRigを同時に利用する”の項目を参考にして、リグをセットアップします。
これでコントロールリグを使ってポージングを付けたりできるようになります。
ちなみにいつもコントロールリグのコントローラの出し方を忘れるのでメモっておきますが、まずエディタをアニメーションモードにする必要があります。
そして、レベルシーケンスを開いて、シーケンサーのトラックのコントロールリグアクタの子供の子供?あたりをクリックしないとコントローラが出てきません。↓
また、WBP_MorphTargetのウィジェットからは、表情が操作できます。
シーケンサーに表情のキーを打つ事も可能です。
おわり
というわけで、今回は主にMarvelous Designerを使ってみた話でした。
使い方を覚えたのでとりあえずまどかちゃんを作ってみました。
まあ次はまどマギのキャラ5人を作ってみる感じですかね。
制服さえ作ってしまったので、あとは顔と髪だけ用意すればOKでしょう。
いや~、VRoidStudioとMDを使ってキャラを作るワークフローはすっごく簡単ですね。素晴らしい!
「でもブログ記事がメッチャ長くなっとるやん。どこが簡単やねん!」という意見もあるかもしれません。
しかし、ブログ記事1本に収まってる時点で相当画期的な事です。
今回は使い方を覚えながらだったので2~3日かかりましたが、次からは1日に収まるだろうと思います。
もしもこれがMDもVRoidStudioも無しで、フルスクラッチでモデリングしてたら50倍くらい大変だったと思います。
だって本来なら、モデリング→UV展開→テクスチャペイント→骨入れ→ウエイトペイント→表情モーフという苦行に次ぐ苦行の工程が必要なハズだし。今回のワークフローではこれらの苦行工程をほぼゼロ化できてる点が革命的です。
MDは基本的にさわってて楽しいだけのソフトで、苦行性は感じませんでした。
まあ、シミュレーションはシミュレーションで、必ずしも狙った通りに上手く作れるとは限らないという問題もあるかもしれませんが。
例えば、今回作った制服はやたらシワシワですが、そんな風にしたかったわけではありませんがどうやれば直るのか分かりませんでした。
Blenderで頂点ポチポチ操作して服をモデリングするのは、苦行は苦行ですが全ての要素を完全にコントロールできるメリットはあるでしょうね。逆に言えばMDはシミュレーション任せなので結果を完全にはコントロールしきれない面があるっちゃありそうです。